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2020.04.03 淡々東京ぐらし#4 汲めども尽きぬ電気の泉

汲めども尽きず、は確か能の『猩々』か何かで出てくる、無限にお酒が湧いてくる酒壺だったと思うけど、わたしはお酒を飲まないので、要らない。もし猩々に出くわして、丁寧に道案内とかしてあげて、お礼にうっかりその酒壺を貰ってしまったら、申し訳ないけどメルカリで売ると思う。

代わりに、無限にお湯が湧いてくる電気ケトルがほしい。毎日、ティーバッグの緑茶や紅茶、粉末のインスタントコーヒーや紅茶飲料をとっかえひっかえ飲むからだ。

まだ寒いので、飲みたいときにさっと電気ケトルでお湯を沸かせば事足りるけれど、暑い時期になったら水出しのお茶なんか作って冷蔵庫にストックしたほうがいいのかなと想像している。夏が来る想像なんて正直まだおぼろげだけれど。

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入社三日目を終え、初めての週末を迎える。相変わらず、東京都のCOVID-19の感染者は増えていて、今週末も「不要不急の外出自粛要請」が出ている。

自分がかかったり、うつしたりしないために、この土日も、食料品の買い出しや公的手続きのほかは家にいるつもりだ。読みたい本や、作りたい料理が次々と思い浮かぶ。

北村薫『六の宮の姫君』はどこにしまったかな、池澤夏樹の『異国の客』と香山哲『ベルリンうわの空』を比較して何か書きたいな。ストレスがたまると甘いものが食べたくなるし、りんごのコンポートでも作ってみようか。にんじんって塩バター味で炒めると美味しいかな?

一方、飲食店やライブハウスを運営する知人たちの、苦渋の決断がSNSのタイムラインを流れていく。自分がライブやイベントで訪れた店舗が、予約の大量キャンセルに困ったり、一時閉店を決めたりしている。家にいるしかなくて、何の力にもなれないことが歯がゆい。

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書いているうちに日付が変わってしまった。ものすごい勢いで、眠くなっている。

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