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アニータ少尉のオキナワ作戦(15)、石垣島Ⅷ、石垣島侵攻開始5/4日前

 長い!

 1万字だよ。

 こんなもの、誰も最初から最後まで読むわけがない。

 書いている自分自身で、読み返すのに苦労する。なんせ、辻褄合わないとダメだからな。

 でも、仕方ない。

 後で見直せば割愛できる場面は多々あるが、しかし、とりあえずはこれだけの字数が必要。

 荒唐無稽の千字程度のフィクションじゃないんだから、申し訳ないがお付き合いしていただく他はない。

 今更ながら、荒唐無稽のSFでも書いておけばよかったな、と後悔しております。

 十話までの総集編はこちらから。
 アニータ少尉のオキナワ作戦総集編Ⅰ(1)~(5)
 アニータ少尉のオキナワ作戦総集編Ⅱ(6)~(10)
 
アニータ少尉のオキナワ作戦(11)、寧波(ニンポー)Ⅰ
 アニータ少尉のオキナワ作戦(12)、寧波(ニンポー)Ⅱ
 
アニータ少尉のオキナワ作戦(13)、石垣島Ⅵ
 アニータ少尉のオキナワ作戦(14)、石垣島Ⅶ

 過去アップした「エレーナ少佐のサドガシマ作戦」は、
エレーナ少佐のサドガシマ作戦、時系列
「マガジン『エレーナ少佐のサドガシマ作戦』」こちらからどうぞ。

石垣島侵攻開始:Dディ

アニータ少尉のオキナワ作戦(15)、石垣島Ⅷ、石垣島侵攻開始5/4日前

前回の話(14)
次回の話(16)

楊少校の居室、解放軍海軍旗艦龍虎山(Longhushan)艦上、石垣島侵攻開始5日前、(前回までのお話)

 中国の071型揚陸艦は商船を転用したもので、純粋な軍艦と違い、佐官の居室も広々したものだった。楊少校の居室も軍船としては広い20平米の部屋で、コンパクトに執務机、ソファーセットが設えてあり、壁面は跳ね上げ式のベッドだった。ユニット型の一体型トイレとシャワーセットも付随していた。
 
 金少尉を呼んだ楊少校は、40分間ほど彼女に体をなぶられて悶え狂う。まったく、処女狂いで早漏の林中校(中佐)や変態ドMの王少校(少佐)と代わり映えはしない。レズのネコ役で、任務中でも攻めて欲しい性欲過多のババアじゃないか?と金少尉は思った。
 
「欣怡(シンイー)姐姐(お姉さま)、容洙(ヨンス)は怖いですわ。これは武力紛争から戦争状態に発展する事態でしょう?どのような理由で石垣島に侵攻するんですか?武力紛争法(戦時国際法、国際人道法)では、に抵触しないでどう石垣島を攻めるのでしょう?」と二人してシャワーを浴びたあと、白湯を飲みながら金少尉が楊少校に聞いた。

「それはどうにでもこじつけられる。ロシアがウクライナでやったように。沖縄県は我が第一列島線の内側にある。有史以来、中国の冊封体制に琉球王国は組み入れられていた。それが日本領土の沖縄県として大日本帝国に編入されたのだ。これを琉球処分と呼ぶが、この琉球処分や敗戦によるアメリカ統治後の沖縄返還は国際法上の根拠はない。我が中国の解釈では沖縄には合法的主権がないのだ。そして、元々の琉球王国の時代より、中国は沖縄諸島に主権を有している」
中国人による沖縄県への認識
琉球処分

「欣怡姐姐、楊少校、それは外交上の理由ですが、具体的に今回の侵攻作戦ではどう侵攻の理由をつけるのでしょうか?」


★楊少校の居室、解放軍海軍旗艦龍虎山(Longhushan)艦上Ⅱ、石垣島侵攻開始5日前

「ヨンス(金少尉)、そんなものは後付でいくらでも説明ができるわ。国際裁判所などが我が中華人民共和国にあれこれ指図できるわけはないわ」

 ただ、一応は、国際法も使わないと。まず、

 領海は、領海の基線からその外側12海里(約22km)の線までの海域で、沿岸国の主権は、領海に及ぶわよね?ただし、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有する。領海は、沿岸国の基線に沿う一定の幅(「国連海洋法条約1982年4月30日採択」では、基線から12海里をこえない範囲)の帯状の水域。陸上の領土の従物としての海。まさに、領土の一部よね。

 次に、接続水域は、領海の基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く)で、沿岸国が、自国の領土又は領海内における通関、財政、出入国管理(密輸入や密入国等)又は衛生(伝染病等)に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められた水域。

 領海の侵犯は国家主権への挑戦だそうよ。我々の知ったことではないけどね。領海内では、一定の条件のもとに無害通航権を認めているけど、沿岸国の立法管轄権、執行管轄権が全面的に及ぶ。
 
 しかし、海は陸と違って、たとえ領海内であっても、船舶の航行にとっては必要不可欠な『道』。ここを閉ざされては世界の自由な交易や交流はできない。そこで、海洋法条約19条により、外国船舶に対し、無害通航権を認めている。

 無害通航のためだけに認められるのだから、通航は、平穏に、しかも、継続的かつ迅速でなければならない。そして、停泊、投錨は、通常の航海に付随するか又は不可抗力若しくは遭難により必要とされる場合又は危険若しくは遭難に陥っている人、船舶若しくは航空機を援助を与えるために必要とされる場合に限り、通航に含まれると定められている。したがって、海洋法条約18条2項により、航路は沿岸に沿って進むことになるが、内水に出入りする場合は、当然、沿岸国の港湾施設に向かって航行することが認められる。
領海侵犯に対する権力行使
自衛権行使における武力紛争法の適用

「沖縄と宮古島の間の宮古海峡の距離は約300キロ。領海外、接続水域外でもある。だから、この海峡は当然、外国船舶に対し無害通航権が認められる。ただ通過するだけなら。だから、台湾侵攻部隊の第一艦隊は台湾海峡を、こちらの第二艦隊は宮古海峡を目指す。そして、第一艦隊からは与那国島侵攻艦隊が東に転進、第二艦隊の石垣島侵攻艦隊と宮古島侵攻艦隊は西に転進する。領海外、接続水域外ギリギリで航路を取る。手間がかかるけど仕方がないわ。そして、与那国島、石垣島、宮古島正面の接続水域外で航続距離の短いホバーを出す。726型エアクッション揚陸艇だ。仕様は、

 満載排水量:170トン
 全長 :33.0メートル
 最大幅:16.8メートル
 主機:UGT 6000ガスタービン×2基か、QC-70ガスタービン×2基
 推進器:シュラウド付き大型プロペラ×2軸
 速力:40ノット (74 km/h)
 航続距離:370キロ
 搭載能力:兵員250名、または重量約60トンの貨物
 乗員:2名以上
 車両甲板長:28.8m
 車両甲板幅:7.2m

 我々の071型揚陸艦726型エアクッション揚陸艇を4隻積載できるから、与那国島部隊の071型揚陸艦1隻で千名、石垣島、宮古島部隊の071型揚陸艦2隻ずつで各二千名を運べる。接続水域44キロは、速度74キロで36分で走破可能。
 
 そこで、726型エアクッション揚陸艇が18分で接続水域を突っ切り、領海内に侵入。陸地までは残り18分。バカな海上保安庁巡視艇、護衛艦、空自の哨戒機、ヘリなどは領海侵入を通告。五度くらいするはず。それで威嚇射撃をする。その威嚇射撃の弾幕にわざと突っ込ませる。1隻だけでいい。これで、最初に敵対行動を取ったのは日本国だと言い張れるのさ。相手は、海上保安庁、防衛省、首相官邸などの腰抜け共に確認や承認をしている間に、我が揚陸艇は岸に乗り上げ、陸戦隊と陸戦車輌を上陸させられる。
 
 専守防衛とか、憲法九条とか言っているバカはこうなる運命だ。上陸作戦は逐一ビデオにとって、都合のいい部分だけ編集して、中国国内放送、海外放送、Youtubeで全世界に流してやるのさ。本来の我が第一列島線の中の沖縄列島を違法に占拠し続けている日本国から我が国固有の領土を奪還する、ということ。
 
 上陸後は、余計な民間人は日本政府に引き取らせて、占領区域は、敵レーダー基地、レーダー車輌、ミサイル基地、空港、港湾施設のみとする。その他の民間区域は放置しても問題ない。なにせ、沖縄よりも寧波の方が近いくらいさ。
 
 在日米軍は、沖縄本島の自分らの基地のある区域が攻撃されなければ、事を荒立てたくないはず、中国に対する戦闘行為はしないだろう。武器供与程度はするかもしれないが、南西諸島に手を出してはこない。

「とこういうように当作戦は進行するというわけだよ」と楊少校。
「お姉さま、素晴らしい構想ですわ。きっとうまくいきます。これで、お姉さまは二階級特進、大校(大佐)間違いありません!もしかすると、少将に任官されるかも!」と金少尉。

「おや、おまえもそう思うかね?北京で政治指導部入りも夢じゃないよ。そうしたら、ヨンス、おまえも引き立ててあげるからね。私についてくるんだよ」
「もちろんですわ、お姉さま」

「さあ、上海で調達した新しいオモチャがあるんだろう?それを試そうじゃないか?」
「そうでした!新しいオモチャはですね、まず、この」と言ってチューブを自分のポーチから取り出した。「媚薬クリームです。膣に塗り込むと十数倍感度が上がります。それから、そろそろお姉さまの後ろの穴も開発いたしませんと。浣腸もあります。これは麻酔軟膏です。痛くないように。それで肛門拡張用に振動アナルプラグを買いました。少しずつ拡張するので小型から揃えましたわ。首、手首、足首の拘束具とムチも!」
「おおお!ヨンス、すごいじゃないか!」

「まずは、私が試しませんといけませんので、既に浣腸はいたしました。媚薬クリームも塗り込んで、振動アナルプラグもつけてあるんですよ」
「だから、ブブブという音がしていたのかい?」
「無線リモコンがありますから、お姉さま、私を虐めてくださいませ」
「おおお!たまらないね!ヨンス、私にもやっておくれでないか?」
「あら?私を虐めるよりも先に?」
「最近、おまえを虐めるよりもおまえに虐められる快感のほうが高くなったのだよ」

「そうでしたの?わかりました!お姉さま、四つん這いになって、お尻を持ち上げて!自分でお尻を広げて御覧なさい・・・そうですわ・・・お姉さま、恥ずかしい肛門が丸見えですわよ?」
「あああ・・・」
「じゃあ、まずは軟膏を・・・では、浣腸を・・・あらあら、何本も入りますわね?」
「・・・ヨンス、トイレに・・・」
「ダメですわ。我慢なさい!じゃあ・・・麻酔クリームを塗って・・・一番小型の振動アナルプラグで出ないように蓋をして差し上げますわ」
「・・・ああああああ・・・なに、これ・・・」
「フフフ、お姉さま。お姉さまは、今は私の可愛い奴隷。我慢していて下さいね。もう少ししたら、トイレに連れて行って差し上げますわよ。それで、私の見ている前で恥ずかしいものを垂れ流すんですわよ」
「・・・ア~、ア~、ア~・・・」

 ちょろいもんだ、これでしばらくは体で楊少校をつないでおけるだろう。まったく、ババアの脱糞なんて見たくもないが、仕方がないわ。でも、最近、このババアが可愛く思えてきた。情が移ってきたのかしら?
 
 可愛いついでに、ベッドに首、手首、足首の拘束具で縛り付けて、うつ伏せにして、尻をムチで引っ叩いてやりましょう。あれ?猿轡・・・いいわ、私がさっきお漏らししたパンツを噛ませてあげましょうね。この前、オシッコを飲ませたらよがっていたし、お好きなのかしら?

 さぁって、人民解放軍が勝てばいいけど、これだけ戦力をナーニャに伝えたんだし、五分五分かしら?
 
 こっちが負けたら、いつ逃げ出しましょうか?
 
 でも、どこへ?
 
 エレーナ少佐、受け入れてくれるかしら?
 
 私のような悪女を?
 
領海侵犯に対する権力行使
自衛権講師における武力紛争法の適用

★陸上自衛隊与那国駐屯地

 与那国島は東西に長いサツマイモのような島である。

 面積28.95平方キロで、小笠原諸島の硫黄島や父島より若干大きい程度だ。人口約1,700人、年平均気温23.8℃、年間降水量2,353.6mm。石垣島からは約127キロの国境の島で、台湾(中華民国)宜蘭県蘇澳鎮までは約111キロしかなく、年に数回晴れて澄んだ日には、水平線上に台湾の山々を望むことができる。島は東西に細長く、ちょうどサツマイモのような形をしていて、起伏は激しい。自転車で3~4時間で一周が可能な大きさだ。
 
 日本最西端の島であり、東京からの直線距離は約2,000キロメートルを超え、日本の領土の中で東京から最も離れた島である。安全保障上重要な位置にあるため、2016年に陸上自衛隊の与那国駐屯地が開設されて沿岸監視隊が配備された。自衛隊員とその家族320人が移り住み、人口の20%近くを占めるようになった。
 
 沿岸監視隊は陸上自衛隊に所属し、日本の沿岸を航行する船舶の情報収集を主任務とする。任務は情報収集であり国境警備隊ではない。侵攻してきた敵の迎撃は他の部隊が行うため、武器は隊員および装備品を防護するための小火器のみである。隊長は2等陸佐で与那国駐屯地司令を兼務する。
 
 島の北岸の中央に2千メートル級の与那国空港がある。空港の滑走路の東側の先にフェリーターミナルがある。与那国町役場はそこから約500メートルの市街地中心にある。
 
 陸上自衛隊与那国駐屯地は、島の西岸にあり、町役場から約9キロ、車で15分程度の距離にある。
 
 島は東西約12キロ、南北約4.5キロ。島の平地は北岸に集中していて、南岸には一部しか平地がない。島南部はほぼ丘陵地帯になっている。島で最も標高の高いのは宇良部岳で231メートル。
与那国島
沿岸監視隊 (陸上自衛隊)

 紺野、エレーナたちは島の空港近くの祖納港フェリーターミナルにオスリャービャとペレスヴェート、ポモルニク型エアクッション揚陸艦一号艇と二号挺で与那国島に到着した。
 
 畠山、広瀬は、島の西岸、陸上自衛隊与那国駐屯地から500メートルの久部良漁港に三号艇と四号挺で到着した。
 
 久部良港フェリーターミナルで、ポモルニク揚陸艦一号艇と二号挺は全面デッキを開き、沖縄から搬送してきた機材を積み下ろす。港には与那国駐屯地司令の河野2等陸佐(二佐、中佐)が出迎えに来ていた。
 
「迎えに参りました。与那国駐屯地司令の河野二佐であります」と敬礼をした。畠山が答礼する。「水陸機動団石垣島臨時分遣隊の畠山三佐であります!こちらが水陸機動団の副司令の広瀬二尉であります!そして、こちらが防衛装備庁の・・・」

 南禅が「畠山、顔見知りだよ。河野ちゃん、お久しぶりね」と言った。河野がなぜか顔を赤らめる。「南禅二佐、羽生二佐、お久しぶりであります!」と言う。
 
「まあ、他人行儀なこと。私を忘れちゃった?」と南禅。
「南禅、こんなところで・・・あの・・・なんだ、後で・・・」と河野。

 畠山が「羽生さん、なんすか?この二人?」と羽生に聞いた。「あ~、この二人はね、一時期恋人だったんだよ」と羽生。「ほぉ~、南禅さん、モテるんですね?」「外見はこの通りだから、そりゃあモテるよ。紺野も同じだ。しかし、中身は魔女だ。みんな後で気づくんだよ。エレーナがよく言う体の相性とか、ありゃあ、片手落ちだよ。性格、生活習慣の相性だってあるわけで・・・」

 広瀬が「羽生さん、私とソーニャは両方ともバッチリですよ!」と言う。「ま、割れ鍋に綴じ蓋。お互い補完して生きていくってことだ。それがうまくいかないと離婚になるわな」

「羽生!くだらん話はいいから、本題に入ろう!」と南禅が言う。何を言ってやがる?自分は『私を忘れちゃった?』なんて言っていて。

「よし、河野、本題だ。東京から連絡は来てるな?」
「統合幕僚監部双方から連絡があった。事情は理解している。しかし、そんなに事態が急変しているなんて思っても見なかった」
「そりゃ、そうだ。こっちも諜報情報が入ったのはここ数日のこと。ただし、東ロシア共和国経由で寧波の指令部高官の直接情報が入っているから確度は非常に高い。つまり、ここ数日内に起こる、ということになる」
「そうか。まったくなあ。独身だからちょうどいいと言われて与那国島に赴任、住心地も良く満足してたんだけどな」
「遅かれ早かれこの島はこういうことに巻き込まれる運命だった。地政学的にこれほど台湾に近いんだからな。さて、」

 この与那国駐屯地は、沿岸監視任務だ。任務は情報収集。国境警備隊じゃあない。武器は隊員および装備品を防護するための小火器のみ。ということで、敵の海上戦力、航空戦力、陸戦隊が押し寄せてきたら、島民の保護、島のインフラ防衛はおろか自分らも守れない。
 
 大事なのは、遠隔操縦観測システム、通信情報収集システムの保護だ。敵に取られる訳にはいかない。それで、畠山、広瀬の水陸機動団400名を配置することとした。広瀬の部下の三尉を隊長として、河野の指揮下につける。
 
 で、沖縄経由でいろいろと装備を持ってきた。与那国駐屯地は3.5、1.5、半トントラックと高機動車しかあるまい。銃だって旧式の89式5.56mm小銃だろう?
 
 新小銃20式5.56㎜小銃にアドオン式グレネードランチャー、イタリアのベレッタのGLX160 A1を装着した銃二百丁、グリップと銃床を装着した単体のGLX160 A1百丁を持ってきた。通信士官だろうが、水陸機動団と一緒に戦闘してもらわないといけないからな。
 
 それから、沖縄から分捕ってきた87式偵察警戒車3台、96式装輪装甲車(ロシアのタイフーンL相当)8台。
 
 さらに、佐世保から沖縄に運んできた、03式中距離地対空誘導弾2輌、12式地対艦誘導弾1輌とその他車輌だ。沖縄の奴ら、本島の防衛はどうする!とかほざいていたが、バカ野郎!前線は、与那国、石垣、宮古であって本島じゃねえだろ?と言って、こっちに追加配備することにした。
 
 海上戦力は、フリゲート護衛艦FFMくまの、潜水艦SS508せきりゅう、それから、ロシアのポモルニク揚陸艦四号艇を配置する。航空戦力は未定だ。今、空自の鈴木三佐がかき集めている。
 
「羽生、与那国町議会や沖縄県議会の承認が・・・」

「日本国民、日本国土のために憲法、民主主義はある。逆じゃない。このような非常時に民主主義的手続きをとっていたら、手遅れになり本末転倒だ。何も敵基地攻撃に使おうというんじゃない。敵の侵攻作戦の阻止に使おうと言うんだ。大丈夫だ。これら兵器の持ち込みは、首相官邸、統合幕僚監部が根回ししている。さらに、与那国町議会は紺野二佐がこれから町長らに説明する。島民退避の事態に町民、町議会なんて言っていられないだろう?」
「了解だ!・・・って、ちょっと待て!あそこに居るのはマスコミじゃないか!」

「ああ、あれはテレ◯の取材クルーだ。卜井アナ、藤田アナ、佐々木カメラマン、佐渡ヶ島で有名だろう?彼らは我々のチームだ。心配ない。無統制な報道の自由を行使しないという協定を結んでいる。俺たちとは佐渡ヶ島以来の戦友だよ」

「さて、そこでだ、河野、キミの部下を二班に分け、ちょっと沖合に出て、ポモルニク型エアクッション揚陸艦一号艇で訓練をしてみたいと思う。取り扱い注意の兵器があるんでね。地平線の向こうに出て試さないといけない代物なんだ」

★与那国島南西の沖合

 揚陸艦一号艇の艦上で羽生が単体のGLX160 A1に装着した2種類のパイクミサイルを河野に見せた。「これだ」

 羽生がパイクミサイルをランチャーの尾部から装填した。「なんだね?それは?おかしなグレネードだ。ランチャーの先端から弾体がからはみ出している」と河野。
★パイクミサイル

「これは、アメリカのレイセオン製パイクミサイルだ。標準の40mmグレネードランチャーから発射できる小型のレーザー誘導ロケットだ。スペックは、全長:427㎜、重量:770g、直径:40㎜、射程距離:2,000m。通常のグレネードの6~10倍の射程距離だ。なぜならロケットモーター内臓だから。発射後、2、3メートルでロケットモーターに着火する仕組みだ。固定および低速度で移動する中距離目標を攻撃可能。例えば海面を移動するホバークラフトとかだな」

 このミサイルはレーザー誘導が可能だ。デジタル式セミアクティブレーザーシーカーを使用する。1人の兵士がターゲットを指し、別の兵士がこいつを発射して、目標に誘導する。
 
 河野、レーザーシーカーを操作してくれ。この操作モニターにあるモード1は通常炸薬のパイクミサイル。レーザーシーカーの標準そのままで誘導される。
 
 羽生は曳航していた標的ブイ2つを離させて、艦を1キロほど後退させた。
 
「河野、どうだ?シーカーを標準したな?」「オッケーだ」「じゃあ、発射する。3、2、1・・・」

 パイクミサイルはランチャーを離れると数メートルの軌道を飛んだあとロケットモーターに点火した。速度を上げたミサイルは数秒で標的ブイに命中した。普通のグレネードよりも多少爆発力が大きいようだ。標的ブイは粉々になった。
 
「これは普通のグレネードランチャーよりも射程が長い。上陸を目論む敵の舟艇やホバーに有効だ」「まあ、そうだ。次に、レーザーシーカーのモードを2にしてくれ。モード2はレーザーシーカーの標準20メートル上空で爆発するように設定してある。そしてこれが」と河野に同じようなパイクミサイルを見せた。「これが炸薬の代わりに燃料気化弾を詰めたもの」「燃料気化弾?って、それは・・・」「まあ、いいから、標準しろ。じゃあ、発射する。3、2、1・・・」

 標的ブイの頭上、20メートルでパイクミサイルが爆発した。燃料が気化して直径60メートルほどの蒸気雲が広がったかと思うと着火されて、普通のグレネードの数倍の大きさの爆発雲となった。その雲はしばらく消えない。十数秒続いた。標的ブイは通常炸薬の比ではなく、衝撃波で吹っ飛んで水面下に消えた。

「なんだ?これは?あんな爆発雲の大きさだと、かなりの大きさの上陸用舟艇やホバーでもいちころだぞ?乗員も・・・」

「ああ、爆発雲が目標の直上で炸裂すれば、上陸用舟艇やホバーの乗員も瞬時に死亡する。北朝鮮や米軍のものは酸化エチレンと酸化プロピレンを使用している気体爆薬だが、これはナノ粒子以下の超微粒子のマグネシウムとアルミニウムも添加してある。だから、正確には気体爆薬の燃料気化爆弾とサーモバリック爆薬のハイブリッドだ。爆発力は、北朝鮮や米軍の燃料気化爆弾の2倍程度になる」
「おいおい、相当物騒だぞ、これは」

「だから、通常炸薬とこれと比較して撃ってみせた。諸君」と羽生はこの光景を見ていた与那国島駐屯隊員と畠山の部隊隊員に向かっていった。「通常炸薬かこれか、どちらを使用するかは、諸君の上官が指示する。見ての通り殺傷能力は甚大だ。爆発蒸気雲の直下では、敵兵器は甚大な損傷を受ける。敵兵士は衝撃波と無酸素で即死する。よって、我が方の海上航空戦力が敵艦を撃ち漏らし、敵の陸戦戦力が上陸を敢行しようとする時に使用して欲しい。あるいは、敵陸戦戦力が接近し、我が方の戦力、兵器を奪取される危険にある時使用して欲しい。判断は貴官らに任せる。敵は我が方に倍する勢力で向かってくるだろう。普通兵器の防衛体制では我が方の不利は免れ得ない。現状の事態は演習と異なる。実戦、戦争である。心してくれたまえ。以上だ」

西部方面情報隊
※主要装備
 遠隔操縦観測システム
 通信情報収集システム - ES用器材
 1/2tトラック/73式小型トラック
 1 1/2tトラック/73式中型トラック
 3 1/2tトラック/73式大型トラック
 高機動車
 89式5.56mm小銃

次世代兵器 「レールガン」 防衛省が本格開発へ 極超音速兵器迎撃、対艦攻撃の切札として実用化を目指す

★与那国町役場

 いやぁ、最近、佐世保からわざわざいつも自衛隊の駐屯の調整をしに来てくれるこの紺野さんという女性、いつも思うがアラフォーだろうけど凄い美人だよなあ、東京からくる観光客なんてレベルじゃないな、と町長は思った。おまけに今日はあのテレビに出ていたロシア軍の美人の少佐が一緒だよ。
 
 でも、佐世保の営繕の事務職なんだからなあ。まさか、沖縄県知事や首相官邸のあの話じゃないよなあ・・・

尖閣から150Km 日本最西端で監視“現代の防人”(2020年12月5日)

【防衛】自衛隊配備が進む“国境の島” 中国の海洋進出で…

島嶼部に対する攻撃への対応

この動画で大型護衛艦が映っていたが、喫水の深いこれら大型船は水深10メートル未満の与那国島、石垣島の港湾には接岸できないのである。画餅。絵に描いた餅。

前回の話(14)
次回の話(16)


島崎藤村 - 椰子の実

島崎藤村作詞・大中寅二作曲

名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ

故郷(ふるさと)の岸を 離れて
汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)

旧(もと)の木は 生(お)いや茂れる
枝はなお 影をやなせる

われもまた 渚(なぎさ)を枕
孤身(ひとりみ)の 浮寝(うきね)の旅ぞ

実をとりて 胸にあつれば
新(あらた)なり 流離(りゅうり)の憂(うれい)

海の日の 沈むを見れば
激(たぎ)り落つ 異郷(いきょう)の涙

思いやる 八重(やえ)の汐々(しおじお)
いずれの日にか 国に帰らん


マガジン『エレーナ少佐のサドガシマ作戦』


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