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坂の上の異人館を巡る。【神戸北野町】
新神戸駅を出ると、下り坂予報のジメついた空気を夏と錯覚してしまう風景が広がっていた。
朝の上澄みを残す坂道が静かに続く。私はまだ5歳にもならない子どもで、すぐ近くを祖父が歩いている気がする。
跳ねる心臓を感じながらぐんぐんと坂を上っていくと、風見鶏が見えてくる。赤い館の尖塔から、神戸と港を見守る北野町のシンボルだ。
鮮やかな煉瓦作りの館は美しいが、秘める記憶は悲しい。
通称“風見鶏の館”を
腹八分で全部まわりたい「大阪食いだおれマップ」
食道楽の気風漂う大阪で、いちばんやってはいけないのが食い過ぎと飲みすぎである。食いだおれの旅と意気込むのはいいが、後半戦でスポーツ飲料と胃薬しか喉を通らなくなっては惨事だ。…これは経験者だから言うのである。
数日の旅行であれば、1日3食きっかり食べても旨い名店が尽きることはない。腹八分を肝に命じ、最終日までとことん大阪グルメを味わい尽くそうではないか。2023年GW旅行で舌鼓を打った大阪グルメを
息をするように嘘をつく彼女の正体「令嬢アンナの真実」Netflixドラマ感想
何の前情報もなしに、Netflixのリミテッド・シリーズ(オリジナルドラマ)「令嬢アンナの真実」全9話を視聴した。NYの上流階級を欺いた罪で拘束され、裁判を控える“ドイツの令嬢”アンナ・デルヴェルの物語だ。
各話の冒頭には、こんなテロップが挿入される。
最初は信じて、実話として見た。ストーリーが進むにつれ、「これは事実と見せかけたフィクションに違いない」と意識がかわり、最終話近くに一緒に視聴し
とび森の空を見上げて。【 とび森写真館 】
「ああ、森に篭りたい」
もうかれこれ8年、おい森時代を入れると10年以上か。周期的に、どうぶつの森に篭りたい期間がやってくる。遊ぶためではなく、何もしないために。
私もとび森ですっかりお世話になっていた「ニンテンドー3DS画像投稿ツール」が、10月末をもって終了した。ゲーム内で撮ったスクリーンショットを、ネットに接続した3DS本体からSNSに投稿できるサービスだ。ひとつの時代が終わったと思う。
家とはまことに怖い場所。「屋根裏に誰かいるんですよ。」読書感想文
「屋根裏に誰かいるんですよ」
目を離したすきに物の位置が変わっていたり、摺り変わっていたり。心安らげるはずの自宅に何者かが潜んでいるとしたら、大抵の人は恐ろしいはずである。
しかし、実際にそう訴える人たちは、困っているそぶりは見せても怯えている感じではない。
家のなかに誰かがいる。この“妄想”は、孤独な老人が訴えてくるケースが多いという。誰かとの交流を求める願望が、脳の衰えや環境のバイアスか