糸と文〈不登校の君と私の記録〉

海と山のある町で2人の子育て中。元幼稚園教諭。  子の不登校の日々、自分の中学時代、今…

糸と文〈不登校の君と私の記録〉

海と山のある町で2人の子育て中。元幼稚園教諭。  子の不登校の日々、自分の中学時代、今の心情を綴っています。

記事一覧

I think about me16

毎日、眠い目をなんとかこじ開けてやっとの思いで家を出る。人の波に押され、息が止まるかと思うくらいに電車の中で圧迫されながら、ようやく辿り着いた学校の門をくぐる。…

I think about son16

青森旅行をした2023年の夏が終わり、9月に突入。始まってすぐ定期テストだった為、彼はなかなか別室登校したがらなかった。 夏休み明けは親も不安なので、とりあえず、9月…

小さな枠と大きな窓

 今日も皆、俯いてる。首を傾け、その小さな枠の中に夢中になり、ひたすらに指を動かしたり目玉が忙しく動く。駅のホームや電車の中で見慣れた光景。いつからだろう?昔と…

不登校と諦め⑦

キッチンのシンクには昨日から溜まり続けている食器類が溢れて、ついに周りの高さを超え始めていた。そして、あろうことか真ん中に包丁が刺さっていた。それも刃の部分が上…

I think about me15

高校生となった4月。3月まで着ていたブレザーから憧れのセーラー服で通学が始まった。 電車通学は慣れていたが、相変わらずの満員電車に度々合う痴漢被害にはうんざりして…

I think about son15

夏休みの終わりは31日ではなかった。 なんとも中途半端に、確か、8/26から始まった。お盆が過ぎるとなんだかイライラが募っているような彼。学校の始まりを意識していたよ…

不登校と諦め⑥

今朝も、水飛沫でびしょ濡れの洗面所を拭く。鏡まで水がはねて濡れていた。いつものことだ。濡らした犯人は既に仕事へ行って何も言えない。もう何も言う気にならない。ため…

I think about me14

卒業式の後、高校入学を前に私はどう過ごしていたっけ。高校から制服や春休みの宿題が届いた気がする。 初めて着るセーラー服に喜んだけど、母には「◯◯(姉)には見せな…

I think about son14

2023年の夏。 8月に入ってすぐ家族で青森へ旅立った。 7月下旬から不安になってきたのか、彼は口数が少なく表情がない事が増えた。時折「1人で長く居るとか無理だろ」など…

不登校と諦め⑤

【アソパソマソ】 この言葉を見て聞いて、人はどう思うだろうか。何かの呪文だろうか。ゲーム用語か。 昨晩から下の子が時折呟いていたり、突然「アソパソマソ!」と言っ…

I think about me13

卒業式の日は今でも覚えてる。 3月16日。 式の中盤で突然涙が出て止まらなくなって、それが周りの女子にも伝わったこと。 泣き顔で最後の大地讃頌を歌ったこと。 学校の外…

I think about son13

2023年、中学2年の夏休み。 毎年来る夏休みは保護者、特に母親にとっては多少憂鬱感があると思う。異常な暑さの中、毎日の食事、洗濯、子どもとのお出かけ、里帰り、、 …

I think about me12

その人からもらった写真とルーズリーフの言葉を見た親友は一言「◯◯君はずるい」 半ば怒ってそう言った。 私のことをずっと横で見てた親友の私の味わってきた辛さ、切な…

I think about son12

2023年、6月。中学2年生のメインイベントのキャンプが近づいていた。山で焚き火をしたり料理が好きな彼は行きたい気持ちがあるようだった。でも、キャンプだけ行ったら普段…

不登校と諦め④

中学3年生になってもうすぐ3週間。 始まってすぐ、私だけ中学へ行き新しい担任の男性の先生に挨拶をし面談した。1、2年と女性の先生で、特に昨年は先生の方針に親子でつい…

I think about me 11

卒業式まであと1週間ほど前だったと思う。 堅苦しい授業はほとんどなく、卒業制作とか式典の練習とか自習とかの日々。 そんな緩い時期の休み時間か放課後か忘れたけど、3…

I think about me16

I think about me16

毎日、眠い目をなんとかこじ開けてやっとの思いで家を出る。人の波に押され、息が止まるかと思うくらいに電車の中で圧迫されながら、ようやく辿り着いた学校の門をくぐる。

夏休みまで指折り数えて過ごした1学期がようやく終わり、秋の風が吹く頃、中学時代の友人から連絡が来た。学園祭の誘いだった。

私の胸は高鳴った。何故なら、その友人が進学した高校にその人もいたから。都内トップの公立の進学校。迷ったけれど会っ

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I think about son16

I think about son16

青森旅行をした2023年の夏が終わり、9月に突入。始まってすぐ定期テストだった為、彼はなかなか別室登校したがらなかった。

夏休み明けは親も不安なので、とりあえず、9月はお休みすると担任の先生に伝えた。先生は夕方に来てもらって少し話すだけでも、、と言ったが彼の心は全く動いてないようだった。

10月に入り、彼の体調が気にかかり始めた。顔色が悪くかなり痩せてきていた。そんな様子から、給食だけ食べに行

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小さな枠と大きな窓

小さな枠と大きな窓

 今日も皆、俯いてる。首を傾け、その小さな枠の中に夢中になり、ひたすらに指を動かしたり目玉が忙しく動く。駅のホームや電車の中で見慣れた光景。いつからだろう?昔と今で大きく様変わりしてると、わたしは度々体感する。

私が制服姿だった頃、その「小さな枠」は別の形をしていて、皆が必ず持っている訳ではなかった。持っていてもそれは主に連絡手段としての存在。だから、会えば会話が始まり、互いに目を見合ってた。「

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不登校と諦め⑦

不登校と諦め⑦

キッチンのシンクには昨日から溜まり続けている食器類が溢れて、ついに周りの高さを超え始めていた。そして、あろうことか真ん中に包丁が刺さっていた。それも刃の部分が上向きに。

私の中で何かが切れた。怒りではない。
また、諦めの糸。

夏休みが始まって7月の下旬にさしかかり、酷暑、家事、子ども達のゲーム管理、自分の体調の波(女性特有の)が重なり寝込んでしまった。

こうなると厄介なのか家事が滞ること。

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I think about me15

I think about me15

高校生となった4月。3月まで着ていたブレザーから憧れのセーラー服で通学が始まった。
電車通学は慣れていたが、相変わらずの満員電車に度々合う痴漢被害にはうんざりしていた。あの時代、女子高生が世間では流行の発信者であり、どの世代より圧倒的な存在感を得ていた。「制服」がそれをより際立たせていた。

ただ、私はキラキラと目立つ高校生では決してなかった。でも、制服を着ているというだけで世間に対して怖いもの知

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I think about son15

I think about son15

夏休みの終わりは31日ではなかった。
なんとも中途半端に、確か、8/26から始まった。お盆が過ぎるとなんだかイライラが募っているような彼。学校の始まりを意識していたようだ。週2くらいで行ってみよう、とカレンダー片手に彼に言ったことが、今思えば追い詰めていたんだと反省した。

2日前から苛立ちがピークに達し、彼の心は夜は荒れに荒れた。ゲームの延長を頻繁に求め、不安を忘れようとしていた。

夏休み明け

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不登校と諦め⑥

不登校と諦め⑥

今朝も、水飛沫でびしょ濡れの洗面所を拭く。鏡まで水がはねて濡れていた。いつものことだ。濡らした犯人は既に仕事へ行って何も言えない。もう何も言う気にならない。ため息すら出ず、ひたすら「無」になって拭く。
諦めが増えていく日々だ。

嵐のような6月がもうすぐ終わる。下の子はキャンプ、田植え、地域活動、体調不良、彼は修学旅行と兄弟でイベント続きと気候変化もあり、心身共に疲れ果てた。

6月に入ってすぐ、

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I think about me14

I think about me14

卒業式の後、高校入学を前に私はどう過ごしていたっけ。高校から制服や春休みの宿題が届いた気がする。

初めて着るセーラー服に喜んだけど、母には「◯◯(姉)には見せないでくれる?」と言われて深く心に傷ついたことはよく覚えている。姉は中学から不登校で高校も制服のない定時制に行ったからだ。

受験を終えた時も喜んでくれたのは父だけだった。その父も2012年に亡くなり、今はもういない。

彼が不登校になって

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I think about son14

I think about son14

2023年の夏。
8月に入ってすぐ家族で青森へ旅立った。

7月下旬から不安になってきたのか、彼は口数が少なく表情がない事が増えた。時折「1人で長く居るとか無理だろ」など呟いていた。そんなこと言われたってもう後戻りできない。叔父さんも待っているしチケットも予約済みだ。

当日はきちんと起きたものの、東京駅へ向かう道中、スマホをいじるか外を眺めるかだけで、全く元気が無かった。

新幹線の中ではゲーム

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不登校と諦め⑤

不登校と諦め⑤

【アソパソマソ】

この言葉を見て聞いて、人はどう思うだろうか。何かの呪文だろうか。ゲーム用語か。

昨晩から下の子が時折呟いていたり、突然「アソパソマソ!」と言っていた。
上の子も私も気になりつつ、何も突っ込まない。

考えつつ、今日は以下の文章を読んでいただけたらと思う。

3年生が始まってもうすぐ2ヶ月が経つ。
相変わらず彼の睡眠リズム、食生活は乱れている。が、私はもう細かく言わずアメとムチ

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I think about me13

I think about me13

卒業式の日は今でも覚えてる。
3月16日。

式の中盤で突然涙が出て止まらなくなって、それが周りの女子にも伝わったこと。
泣き顔で最後の大地讃頌を歌ったこと。
学校の外は沈丁花の甘い香りに包まれていたこと。
友人と何枚も写真を撮って、笑顔で終われたこと。

卒業アルバムにはその人と互いにメッセージを残した。その人が好きだったある詩を用いて、憧れがあったことをきちんと伝えた。 

卒業後の春休みに、

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I think about son13

I think about son13

2023年、中学2年の夏休み。
毎年来る夏休みは保護者、特に母親にとっては多少憂鬱感があると思う。異常な暑さの中、毎日の食事、洗濯、子どもとのお出かけ、里帰り、、

私の夏休みはコレにプラスして、旦那さんが繁忙期でほぼウチにいない→お盆休みも関係ない→私は完全ワンオペ。彼が中学1年の夏までは「この夏」だった。

「この夏」と違う夏の中学2年の夏休み。
部活もない。
サマースクール(補習授業)に誘わ

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I think about me12

I think about me12

その人からもらった写真とルーズリーフの言葉を見た親友は一言「◯◯君はずるい」
半ば怒ってそう言った。

私のことをずっと横で見てた親友の私の味わってきた辛さ、切なさを分かってくれてたからこその言葉だと思う。

でも、私は舞い上がっていた。完全に満足し切っていた。いいんだよ、これで。その人には選ばれなかったけれど、卒業間近に楽しい時間を過ごせたから、いいんだよ。そんな気持ちだった。

中学生の恋って

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I think about son12

I think about son12

2023年、6月。中学2年生のメインイベントのキャンプが近づいていた。山で焚き火をしたり料理が好きな彼は行きたい気持ちがあるようだった。でも、キャンプだけ行ったら普段、学校来ないくせにキャンプは来てるって言われるに決まってる、、と妄想していた。

確かにクラスに1人、2人そう思う人はいるかもしれない。でも、彼には「穏やかで優しい子が多いクラスだし、そんな事思わないよ。例え言われても開き直って堂々と

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不登校と諦め④

不登校と諦め④

中学3年生になってもうすぐ3週間。
始まってすぐ、私だけ中学へ行き新しい担任の男性の先生に挨拶をし面談した。1、2年と女性の先生で、特に昨年は先生の方針に親子でついていけなくてかなり悩んだ1年だった。
年明け頃には彼は先生に対して信頼感ゼロになっているようだった。私も同じ気持ちだった故、2月には学年主任の先生に連絡し、3年生になって同じ先生にはしないで欲しいと配慮をお願いした。ご丁寧に他の希望を聞

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I think about me 11

I think about me 11

卒業式まであと1週間ほど前だったと思う。
堅苦しい授業はほとんどなく、卒業制作とか式典の練習とか自習とかの日々。

そんな緩い時期の休み時間か放課後か忘れたけど、3年生では別のクラスだったその人が私のクラスに来た。白い物を渡された。
当時、流行ってた折り方で一枚のルーズリーフで何か包まれてあった。
開けてみたら一枚の写真があった。放課後の教室で私とその人の彼女が話してる被写体。
何でこの写真なの、

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