糸と文

海と山のある町で2人の子育て中。元幼稚園教諭。  子の不登校の日々、自分の中学時代、今…

糸と文

海と山のある町で2人の子育て中。元幼稚園教諭。  子の不登校の日々、自分の中学時代、今の心情を綴っています。

最近の記事

不登校と諦め⑥

今朝も、水飛沫でびしょ濡れの洗面所を拭く。鏡まで水がはねて濡れていた。いつものことだ。濡らした犯人は既に仕事へ行って何も言えない。もう何も言う気にならない。ため息すら出ず、ひたすら「無」になって拭く。 諦めが増えていく日々だ。 嵐のような6月がもうすぐ終わる。下の子はキャンプ、田植え、地域活動、体調不良、彼は修学旅行と兄弟でイベント続きと気候変化もあり、心身共に疲れ果てた。 6月に入ってすぐ、下の子がキャンプで不在になると私と彼だけの時間が増え、いつもより苛立つようになっ

    • I think about me14

      卒業式の後、高校入学を前に私はどう過ごしていたっけ。高校から制服や春休みの宿題が届いた気がする。 初めて着るセーラー服に喜んだけど、母には「◯◯(姉)には見せないでくれる?」と言われて深く心に傷ついたことはよく覚えている。姉は中学から不登校で高校も制服のない定時制に行ったからだ。 受験を終えた時も喜んでくれたのは父だけだった。その父も2012年に亡くなり、今はもういない。 彼が不登校になって、母のあの時の気持ちがわかった。彼が部活でやっていたバトミントンを下の子が町のク

      • I think about son14

        2023年の夏。 8月に入ってすぐ家族で青森へ旅立った。 7月下旬から不安になってきたのか、彼は口数が少なく表情がない事が増えた。時折「1人で長く居るとか無理だろ」など呟いていた。そんなこと言われたってもう後戻りできない。叔父さんも待っているしチケットも予約済みだ。 当日はきちんと起きたものの、東京駅へ向かう道中、スマホをいじるか外を眺めるかだけで、全く元気が無かった。 新幹線の中ではゲームをし始め、その時は下の子とワイワイ話しながら楽しそうにしていた。 新青森駅に到

        • 不登校と諦め⑤

          【アソパソマソ】 この言葉を見て聞いて、人はどう思うだろうか。何かの呪文だろうか。ゲーム用語か。 昨晩から下の子が時折呟いていたり、突然「アソパソマソ!」と言っていた。 上の子も私も気になりつつ、何も突っ込まない。 考えつつ、今日は以下の文章を読んでいただけたらと思う。 3年生が始まってもうすぐ2ヶ月が経つ。 相変わらず彼の睡眠リズム、食生活は乱れている。が、私はもう細かく言わずアメとムチで対応してる。ゲームに関しても然り。 何より私が私の精神状態を乱さない為だ。 こ

        不登校と諦め⑥

          I think about me13

          卒業式の日は今でも覚えてる。 3月16日。 式の中盤で突然涙が出て止まらなくなって、それが周りの女子にも伝わったこと。 泣き顔で最後の大地讃頌を歌ったこと。 学校の外は沈丁花の甘い香りに包まれていたこと。 友人と何枚も写真を撮って、笑顔で終われたこと。 卒業アルバムにはその人と互いにメッセージを残した。その人が好きだったある詩を用いて、憧れがあったことをきちんと伝えた。  卒業後の春休みに、学年委員会担当の先生が食事会をしてくださるとその人が伝えに来てくれた。 また、

          I think about me13

          I think about son13

          2023年、中学2年の夏休み。 毎年来る夏休みは保護者、特に母親にとっては多少憂鬱感があると思う。異常な暑さの中、毎日の食事、洗濯、子どもとのお出かけ、里帰り、、 私の夏休みはコレにプラスして、旦那さんが繁忙期でほぼウチにいない→お盆休みも関係ない→私は完全ワンオペ。彼が中学1年の夏までは「この夏」だった。 「この夏」と違う夏の中学2年の夏休み。 部活もない。 サマースクール(補習授業)に誘われても行かない。 ポツポツと個人塾に行くだけ。 多分友達にも会わない。 猛暑の中

          I think about son13

          I think about me12

          その人からもらった写真とルーズリーフの言葉を見た親友は一言「◯◯君はずるい」 半ば怒ってそう言った。 私のことをずっと横で見てた親友の私の味わってきた辛さ、切なさを分かってくれてたからこその言葉だと思う。 でも、私は舞い上がっていた。完全に満足し切っていた。いいんだよ、これで。その人には選ばれなかったけれど、卒業間近に楽しい時間を過ごせたから、いいんだよ。そんな気持ちだった。 中学生の恋って何だろう。時代や地域やその2人にもよると思うけれど、一緒に帰るとか、夜公園で会っ

          I think about me12

          I think about son12

          2023年、6月。中学2年生のメインイベントのキャンプが近づいていた。山で焚き火をしたり料理が好きな彼は行きたい気持ちがあるようだった。でも、キャンプだけ行ったら普段、学校来ないくせにキャンプは来てるって言われるに決まってる、、と妄想していた。 確かにクラスに1人、2人そう思う人はいるかもしれない。でも、彼には「穏やかで優しい子が多いクラスだし、そんな事思わないよ。例え言われても開き直って堂々としてればいい。焚き火だって料理だって得意なんだから。」と励ました。 キャンプ直

          I think about son12

          不登校と諦め④

          中学3年生になってもうすぐ3週間。 始まってすぐ、私だけ中学へ行き新しい担任の男性の先生に挨拶をし面談した。1、2年と女性の先生で、特に昨年は先生の方針に親子でついていけなくてかなり悩んだ1年だった。 年明け頃には彼は先生に対して信頼感ゼロになっているようだった。私も同じ気持ちだった故、2月には学年主任の先生に連絡し、3年生になって同じ先生にはしないで欲しいと配慮をお願いした。ご丁寧に他の希望を聞いて下さった為、親子共に話しやすく寄り添ってくれた男性の先生の名前を伝えた。別室

          不登校と諦め④

          I think about me 11

          卒業式まであと1週間ほど前だったと思う。 堅苦しい授業はほとんどなく、卒業制作とか式典の練習とか自習とかの日々。 そんな緩い時期の休み時間か放課後か忘れたけど、3年生では別のクラスだったその人が私のクラスに来た。白い物を渡された。 当時、流行ってた折り方で一枚のルーズリーフで何か包まれてあった。 開けてみたら一枚の写真があった。放課後の教室で私とその人の彼女が話してる被写体。 何でこの写真なの、、と肩を落として胸がズキリとした。 写真の下のルーズリーフに何か書いてあった。

          I think about me 11

          I think about son 11

          2023年4月。中学2年生になり新学期が始まったが2日行って、また彼は休み始めた。私も背中を押す事をやめ、仕事を休まず普通に出勤した。行かなくていい、と言った事で吹っ切れた感覚だった。 ただ、休んでいてもいいけど充実した時間を過ごして欲しい。そう彼に伝えてざっくりしたタイムスケジュールを一緒に作った。 午前中、学習をしたらお昼まで自由、食べたらまた学習、夕方からまた自由。ご飯は一緒に食べてお風呂もきちんと入ること。 3日しか続かなかった。 私は常に彼の様子を慮った上で

          I think about son 11

          I think about me⑩

          いよいよ卒業間近の3月に入った。 ほとんどの人が進路が決まり、皆残りの中学生活を緩んだ気持ちで過ごしていた。 そんな締まりのない生徒たちに学年主任の先生は、卒業までは最高学年として、、なんとかかんとかぼやいていた。 気持ちを引き締める為に、と学年委員会をしていたその人と私は呼ばれ仕事を依頼された。 放課後、残って模造紙に文字を書いたり色を塗ったり私の大好きな作業。幼稚園教諭の仕事を考えたのもここが原点な気がする。 その人と私ともう1人の3人で誰も通らない廊下での作業。ドラ

          I think about me⑩

          I think about son⑩

          中学1年生の3月の終わり。不登校が始まって半年が経った。 パソコンから離れていた事で、あの時受けたショックと彼なりの後悔は薄らいできたようだった。春休みはスマホやSwitchで遊び、空いた時間は近くの山へ行ったり、外食しに出かけたり穏やかに過ごせた。 進級する4月になると「もう、2年生からは毎日行くし」とあっけらかんと話していた。 え、不登校終わりか!と半分拍子抜けした気持ちで私は読み漁っていた不登校関連の本を手放した。 そして、私は彼の言葉を聞いて背中を押す為になるかも

          I think about son⑩

          不登校と諦め③

          明日からまた中学が始まる。 彼は最高学年の3年生だ。 そして昨日彼は15歳になった。 この春休み、私の心境は変わった。仕事を辞めて何にも属さない人になり、気が楽になったが虚しくなった。家の中の事、子どもたちへの対応、いくら気持ちに寄り添ったり頑張っても報われない。感謝どころかたまに文句言われる。 承認欲求なんてくだらないと思いながら、どこかで自分の存在価値を探してる。 私は本当にくだらない。 これまでに家族以外の人からもらったほめ褒め言葉を思い出す。一日頑張った自分にボ

          不登校と諦め③

          I think about me⑨

          中学卒業があと1か月に迫った2月中旬頃だったと思う。 同じく電車通学をしていた親友と帰ろうと、美術室の前を通った。明かりがついていたから覗くと親友の彼がいた。彼は芸術系の高校を志望していて、試験の為に絵を描いていた。私と親友、親友の彼で話していると廊下を歩きながら壁を叩く音がした。えっ、誰?と3人で顔を見合わせた。 ガラリと扉を開けたのはその人だった。 暖房が効いた夕方の美術室。 4人でどうでもいい話しで盛り上がっていた。私にとってこんなことでも幸せに感じる時間で、心底満

          I think about me⑨

          I think about son⑨

          早朝、購入したばかりのゲーミングPCが全く動かなくなった。 私の眠気は一気に吹き飛び、初めて経験する事態に手が震え心臓がばくばくし始めた。泣きながら事情を話した彼は若干パニックになって布団をかぶって固まっている。 私は彼がやってしまった事より、信じていたのに裏切られていた事に傷ついていた。悲しくて泣きたかった。ゲーム時間がすんなり守れていた事に感心までして馬鹿みたい。 怒りと悲しみで彼を責めた。信じていたのに酷い、親に嘘をついていたからこういう事が起きた、結局は自分に返っ

          I think about son⑨