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I think about son14

2023年の夏。
8月に入ってすぐ家族で青森へ旅立った。

7月下旬から不安になってきたのか、彼は口数が少なく表情がない事が増えた。時折「1人で長く居るとか無理だろ」など呟いていた。そんなこと言われたってもう後戻りできない。叔父さんも待っているしチケットも予約済みだ。

当日はきちんと起きたものの、東京駅へ向かう道中、スマホをいじるか外を眺めるかだけで、全く元気が無かった。

新幹線の中ではゲームをし始め、その時は下の子とワイワイ話しながら楽しそうにしていた。

新青森駅に到着。叔父さんと3年ぶりの再会をし、自宅へ向かう。叔父さんの車、いつもと違う青森の街並みに興味が出たのか窓の外に彼はしばらく夢中だった。でも、表情は暗く言葉はあまりない。

久しぶりの旅で、しかも私と下の子は初の青森旅行。気分は昂っていたが、彼を見るとモヤモヤした。時折、腫れ物を触るかの様に声をかける。とても、とてもしんどい。

この計画は間違いだったのだろうか。
多分、彼が大人になった時、あの光輝くねぶたや、海鮮丼、日本海を思い出すだろう。
その時、何を思うのか。2023年の夏はつらい思い出でも、例えば2033年の夏に思い出して楽しかったと感じるのだろうか。

そう思えてくれたら、いつもと違う夏にした甲斐があるのかもしれない。
そう信じたい。

〈「ーどれだけ愛してる相手であれ、他人の心を覗き込むなんて、それはできない相談です。そんなことを求めても、自分がつらくなるけです。
しかしそれが自分自身の心であれば、努力さえすれば、努力しただけしっかり覗き込むことはできるはずです。
ですから結局のところ僕らがやらなくちゃならないのは自分の心と上手に折り合いをつけていくことじゃないでしょうか。
本当に他人を見たいと望むのなら、自分自身を深くまっすぐ見つめるしかないんです。僕はそう思います」〉

引用
村上春樹ー【ドライブ・マイ・カー】



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