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I think about son⑨

早朝、購入したばかりのゲーミングPCが全く動かなくなった。

私の眠気は一気に吹き飛び、初めて経験する事態に手が震え心臓がばくばくし始めた。泣きながら事情を話した彼は若干パニックになって布団をかぶって固まっている。
私は彼がやってしまった事より、信じていたのに裏切られていた事に傷ついていた。悲しくて泣きたかった。ゲーム時間がすんなり守れていた事に感心までして馬鹿みたい。

怒りと悲しみで彼を責めた。信じていたのに酷い、親に嘘をついていたからこういう事が起きた、結局は自分に返ってくるんだ、と。
彼はうずくまりながら泣いて謝っていた。

私は気持ちが少し落ち着いたところで再び彼に伝えた。この事で学びなさい、大人になって経験する人も多い中、今経験できた事を貴重に思って学びなさいと。

それから私は色々調べたり、24時間やっているサポートセンターに問い合わせた。彼は泣き疲れたのかそのまま眠ってしまっていた。

強力なウィルスブロックできるものに加入していたせいか、なんとかPCは回復した。
その後1週間は布を掛け触らずにいて、再び使ってみると誰かが遠隔操作している様な画面が数秒現れた為、不安になり出張でパソコンをみてもらうことにした。完全にウィルスを消してもらい新たに広告ブロックも入れた。25000円の出費だった。これでも被害が軽い方だと知り、ネットの怖さを実感した。

彼はしばらく元気のない日が続き、翌月の3月はカウンセリング以外学校に行けず、PCで遊ぶことはなかった。

〈明るい場所へ続く道が
 明るいとは限らないんだ
 出口はどこだ 入り口ばっか
 深い森を走った〉

 引用
 宇多田ヒカルー
                   【忘却 feauturing KOHH】

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