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祈り|詩

祈り|詩

「祈り」

透け見ゆような心もとなげ
必ずだとか永遠ほどに
哀しく聴こゆもの他にはなくて

下手くそで佳い
否、それがいいのだと

小指の代わりに絡めんや
ひとつとして要らぬ糸はなし
きみへと繋がる祈り
揺れのぼる静穏なる想いたち

潮風と星のすな|詩

潮風と星のすな|詩

「潮風と星のすな」

分かたれた南の海と夜の空
瓶詰めされた潮風と星の砂が
あの娘の腰に揺れている

誰が悪いとかじゃない
あのね、
季節が違っていたんだよ

せめぎあう
みなもの小さな子供たち
浜辺には恋を知った歌うたい
ほら、誰かのために
今日も明日を弾き語っているよ

きみが里|詩

きみが里|詩

「きみが里」

空に去りゆく影法師
海へと飛びたつ鼻の唄

ほ、ほっ……

ほたるの里すぎ見知らぬ土地ぞや
そちらの水は甘いであろうか

寂しくなったら還っておいでと
いつぞの優しい夢をみる

ほ、ほっ……

ほら視てごらんよ
あの日の景色
そちらの暮らしは如何なるものか
風は、想いを運んでおるか

夏のうた|詩

夏のうた|詩

「夏のうた」

蝉の声を貼りつけた空が
寂しいさみしいと鳴いていた

誰よりも激しい太陽は
薄化粧の山で君をさがしている

吐きそうなほどの我が儘と
狂いそうなほどの愛おしさが
泳ぎを忘れた人魚みたいに
白の砂浜にうちあげられていた

聴こえない、
いちばん逢いたいひとに
この夏を届けたいと海鳥はうたう

祈り星|詩

祈り星|詩

「祈り星」

噛られた空に浮かぶ月
夜を紡ぐ白い風の足どり朧に

追いかけ見つめるその先に
名のない星座を貼りつけながら

知っている
そこに名前をつけたなら
風は空には居られないこと

濡れた朝の霧のように
堕ちて地球へと還ること

Mau loa|詩

Mau loa|詩

「Mau loa」

足もと散らばる
不揃いの正義かかえた想いたち
迷子の魂ひとさし指
螺旋をえがいた魔法の呪文

小説などは読まないと
すべては僕から生まれる物語
掬いあげる不器用な真心
それでいい、
根無しの雲が瞳を弧にする

空、それは
静かなる永遠を囁きつづけて

ひとつぼし|詩

ひとつぼし|詩

「ひとつぼし」

君を独りにはしないから

空に
まだ星が遊んでいた

存在意義を失くした僕と
見失いそうに立ち尽くす君と

決して、君を……

あの日の君が
そう言って空を見上げていた

君、物語|詩

君、物語|詩

「君、物語」

天色に紛れこんだ優しい嘘
みなみの海に眠る桜の貝殻は
遠いお空をみはるかす

囲った想いの水面に触れて
くるりくるりと左にまわす
心を軸にしたならば
ゆるり愛おしさが弧をえがく

君の声が聴きたいんだ
どんな物語だって構いはしない

君の声が、聴きたいんだ……

Ka'pilina|詩

Ka'pilina|詩

「Ka'pilina」

蹴破られた扉の向こう側
弱さの中にある強さの意味を知る

甘くて苦いひかり白く激しく
メザメルト消えていく黒の記憶たち

愛してると触れる指先
永遠を意味する
マウロアのくちづけ心地よく

始まりの雨|詩

始まりの雨|詩

「始まりの雨」

ふくよかに芽吹いた君が
堪えきれず溢れさせた雨の理由

見抜けなかった理不尽と
なにも出来ずの自分が悔しいと
すがり辿々しく語る小さな肩
それでも守りたいものがあるのだと
細い腕は力強く震えていた

君ならきっと大丈夫
僕ならずっと傍にいるから

陽だまりを抱きしめて
ただ愛していると伝えて欲しい

君に花束を|詩

君に花束を|詩

「君に花束を」

嘘が嫌いだと言った君は
誰よりも嘘つきな僕に恋をした

そして、
僕を嫌いだと叫ぶ君は
何よりも僕を必要としている

嘘つきな君に
僕は、薔薇の花束を贈ろう