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面白い本、おすすめの本を紹介していきます。
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最近読んでいる本の紹介(5冊)

最近読んでいる本の紹介(5冊)

先日、「趣味は読書の人の醍醐味〜私の本の読み方・買い方〜」というタイトルで記事をアップしたが

その中で私は、5冊くらいの本を並行して読んでいるということを書いた。それはふだん持ち歩いて読む本、お風呂に入りながら読む本、そしてトイレにこもって読む本など、読む場所によって読む本を分けるという読み方だ。

このnoteの読者の方から「どこで、どんな本を読んでいるのか気なる」というコメントをいただいたの

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「趣味は読書」の人の醍醐味〜私の本の読み方と買い方〜

「趣味は読書」の人の醍醐味〜私の本の読み方と買い方〜

「本を読まない人が増えた」と言われるようになって久しい。私のように出版社に籍を置く人間や本屋さんからしてみたら、商売あがったりの実に厳しい時代である。

ネットやスマホの影響はもちろんあるが、私は何よりも本(活字)というコンテンツに魅力を感じる人が少なくなったことが、大きな理由だと思っている。

つまり本よりも魅力のある娯楽やコンテンツが増えたということだ。

可処分時間はサブスクの映画やドラマ、

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ロシア文学に出てくるロシア料理で、食の妄想をふくらませる

ロシア文学に出てくるロシア料理で、食の妄想をふくらませる

ロシアというとあまりよいイメージのない昨今ではあるが、本屋で思わず手に取り即買いしてしまったのが

『ロシア文学の食卓』(ちくま文庫)である。

本書は、東京外語大学教授の沼野恭子さんによる、ロシア文学に登場する食や料理をテーマにした本である。

有名なロシア文学作品に登場する料理や食事のシーンが紹介され、その料理や食事に込められた意味や背景が解説されている。

例えばこんな具合だ。

それに対す

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スチームパンクとサイバーパンクが融合したSF小説に酔いしれる

スチームパンクとサイバーパンクが融合したSF小説に酔いしれる

サイバーパンクと呼ばれるジャンルの映画が好きだ。

例えば、リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』、大友克彦監督の『アキラ』、押尾守監督の『ゴースト・イン・ザ・シェル』、そしてウォシャウスキー監督の『マトリックス』シリーズ。

サイバーパンクとは、近未来の世界を舞台にしたサブカルチャーの一つで、高度なテクノロジーや人工知能、サイバーネティックスが進化した社会を描いたフィクション作品や文化運動

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生産性とは、罠なのか⁉︎

生産性とは、罠なのか⁉︎

人間の平均寿命が80年くらいと考えた時、それははたして長いのか?短いのか?

百獣の王であるライオンの平均寿命が15年くらい、ライオンすら恐れて闘いを挑まないゾウの平均寿命が70年くらい、(陸の生物ではないが)野生のアオウミガメの平均寿命が80年くらいだそうだ。

つまり人間の平均寿命はアオウミガメと同じくらいで、それは他の生物と比べるとやはり長いほうなのだろう。

しかし80歳まで生きるとして、

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分厚いSF小説を読むことは、限りなく贅沢な時間を過ごすこと

分厚いSF小説を読むことは、限りなく贅沢な時間を過ごすこと

私の周りには「趣味は読書」と言いながらも、ビジネス書や自己啓発書以外は読まないというタイプの人たちがいるが、(あえて誤解と偏見を恐れずに言うならば)、私はそういう人たちにどこか貧相なイメージを持たずにいられない。

この本を読めばすぐに役に立つとか、すぐに使える知識が得られるとか、私がそういう即時的で生産的な読書が好きではないからだと思う。

効果があるとかないとか、ためになるとかならないとか、そ

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この正月休みに、「人類の進化」についての確かな知識を得よう。

この正月休みに、「人類の進化」についての確かな知識を得よう。

ダーウィンの進化論を、人生やビジネスなどの文脈で語る人は少なくない。

そういう人はまず、「ダーウィンの進化論にもあるように」と前置きをつける。そして次のように断言する。「生き残れるのは強い人間ではなく、時代に適応できる人間なんです」と。

なるほど、確かにその通りなのかもしれない。進化とは強くなることでも優越することでもなく、変化し続ける環境に適応することなんだと。かのチャールズ・ダーウィンがそ

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今日はダルイなと思うときほどチャンス−狩猟系遺伝子をオンにして、いつもは選ばなかった人生を生きてみる–

今日はダルイなと思うときほどチャンス−狩猟系遺伝子をオンにして、いつもは選ばなかった人生を生きてみる–

アドラー心理学では、いわゆる「遺伝」も否定しなければ「環境」も否定しない。

遺伝や環境の影響は確かにあるよねと考える。例えば、アドラー心理学で「器官劣等性」と呼ばれる考え方は、弱い器官(や臓器)なんかは遺伝することを認めているし、「きょうだい順位」を重視するのも、環境の影響を受けていることの何よりの証拠だ。

ただ、それらが人生の決定因であるとは考えない。

つまり、人間は遺伝や環境の影響を受け

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会社がなくなる?-大企業とタテ型組織の未来-

会社がなくなる?-大企業とタテ型組織の未来-

会社がなくなるという。

堀江貴文さん風に、「会社はいらない」ではなくて

会社自体がなくなってしまうというのだ。

私も会社員なので、会社がなくなっては困る。

しかしこの本のタイトルは何だ??

会社がなくなる!

しかもエクスクラメーションマーク「!」まで付いている

おどしているのか?不安を煽りたいのか?あるいは単なるハッタリか?

これは買って読んでみるしかないと思い、4泊5日の北陸出張

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人生に必要なことは全てスマホの中にあるのか?-紙の雑誌という、精選された情報とその専門性-

人生に必要なことは全てスマホの中にあるのか?-紙の雑誌という、精選された情報とその専門性-

紙の雑誌というものを、久しぶりに買いました。

ホント何年ぶりだろう。
お金を払って雑誌を買ったのは。もしかしたら10ぶりくらいか、あるいはそれ以上かもしれない。

私も20代の頃は(つまり2000年代前半の頃とかは)、ファッション誌とか男性誌とかカルチャー誌みたいなものをわりあいよく買っていたのだけど、いつの日からかすっかり買わなくなってしまった。

理由はいわずもがな、タブレットやスマホの普及

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働かざるもの、食うべからずなのか?

働かざるもの、食うべからずなのか?

働かざるもの食うべからずという言葉があります。

その語源を調べてみたら、もともとは新約聖書の「働こうとしない者は、食べることもしてはならない」から来ているとの説が有力だそうで

そう考えるとずいぶん昔から人は「働け、働け」と言われ続けてきたんだなあと改めて思うわけです。

私が学んでいるアドラー心理学の創始者であるアルフレッド・アドラーも、人間が避けることのできない人生の課題として、「社会の課題

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「弱さ」にこそ社会の伸びしろがある

「弱さ」にこそ社会の伸びしろがある

正直に言って、自分を強いと思ったことは一度もありません。

大学生の頃にあさくハマったレイモンド・チャンドラーの探偵小説。その主人公であるフィリップ・マーロウの有名なセリフは

男は強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない

というものでした。その時はカッコいいなぁと思い、「そんな男に私はなりたい」と思ったこともありましたが、

40も半ばを過ぎた今、「強さ」とか「強味(st

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奴隷根性から脱却するための本

奴隷根性から脱却するための本

「今の政治はひどい」と思っている人は少なくないかもしれません。しかし「そもそも政府なんて必要ない」と思っている人がいたとしたら、これは全然違う話になってきます。

政府なんて必要ないという考え方を、無政府主義(アナキズム)と呼びます。今からおよそ100年前、明治の終わりから大正時代にかけて、このアナキズムの急先鋒と言われ注目されていたのが大杉栄という人です。

個人的には大好きな、この大杉栄につい

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ダラダラしたい時に読む本

ダラダラしたい時に読む本

ダラダラしたい時に読む本というのがあります。例えば寒い冬にコタツにくるまりながらうつらうつらと読む本、あるいは「今日はもう何もしない」と決めた休日にソファでごろごろしながら読む本。

そんな本を考えた時に、今パッと思いつくのが内田百閒の『阿呆列車』です。(「あほうれっしゃ」と読みます)

用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来よ

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