ロシアというとあまりよいイメージのない昨今ではあるが、本屋で思わず手に取り即買いしてしまったのが
『ロシア文学の食卓』(ちくま文庫)である。
本書は、東京外語大学教授の沼野恭子さんによる、ロシア文学に登場する食や料理をテーマにした本である。
有名なロシア文学作品に登場する料理や食事のシーンが紹介され、その料理や食事に込められた意味や背景が解説されている。
例えばこんな具合だ。
それに対する著者の解説はこんなふうに続く。
このロシア人の貪欲な食欲の描写を読んでいると、ブリヌィという食べ物ががむしょうに食べたくなるのは私だけだろうか?
本書の最大の魅力は、沼野さんの解説にある。例えば、このロシア人がバカ喰いしている「ブリヌィ」についての解説はこんな感じだ。
ちなみに、これがブリヌィだ。
もちろん、本書には豊富な口絵が用意されており、それを見ながら活字を追っていくことでさらに妄想をふくらませることができる。
そう、本書はロシア文学+ロシア料理+著者解説+口絵で、一冊で四度美味しい本なのである。