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民藝ってなんだろう?

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「民藝」の答えを探して、職人さんや民藝に関わる人々にインタビューをする自由研究「 #民藝旅 」のレポートです。最新情報はツイッター( https://twitter.com/to… もっと読む
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民藝旅 vol.2 沖縄 \“うぶる” 作りのふみえさん/

民藝旅 vol.2 沖縄 \“うぶる” 作りのふみえさん/

「焼きサバか、ぶっかけ丼か、刺身定食か。」
なんとも贅沢な悩みである。

朝ごはんをもとめて、市場をふらふら。
Wi-Fi完備の魚屋さん「魚友」の野外テーブルで、手書きのメニューをながめていた。

朝からお刺身だなんて、贅沢すぎるわ。と、いつもの貧乏性から焼きサバを注文したのは午前8時半。

脂の乗ったサバ、海ぶどう、お豆腐、卵焼き。
お味噌がふつふつと回るあら汁に、口からよだれがあふれる。

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民藝旅 vol.2 沖縄 \プロローグ/

民藝旅 vol.2 沖縄 \プロローグ/

4月某日。

ぼんやりと天井を眺めながら、つぎは沖縄に行こう、と思った。
柳先生が「民藝四十年」で取り上げた沖縄。大学時代を過ごした沖縄。

東堂は貧乏学生だった。たこ焼きの具材は、コンニャク。詰め放題100円のもやしと、ゆし豆腐ラーメンが好きな学生だった。

手仕事に興味はあったけれど、ヘアゴムなどの小物を買うだけで精一杯。

「窯元でピザパーティーがあるから来ませんか?無料ですよ。」という後輩

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「民藝」って何だろう?

「民藝」って何だろう?

「職人の手仕事で作られた、美しい日用品」それが、「民藝」だと思っていました。雑誌で見かけたり、地元の市で焼物を手に取るたび、民藝ってカッコいいな。心惹かれるな。と、民藝を身近なものに思っていました。

でも、民藝には定義があって、実はもっとややこしい物らしい。

日本民藝協会さんのサイトで、民藝を定義した思想家・柳宗悦さんの「民藝品の定義」が紹介されていました。

ー柳が定義した「民藝品」の条件に

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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \5日目/【鳥取県 岩美町】

民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \5日目/【鳥取県 岩美町】

4月12日金曜日 晴れ。

そうだ、「白波の乙女」と名付けよう。
岩美町は、鳥取県の東端にある。イカ釣り漁船と、陶芸と、温泉の町。

鳥取駅の観光案内所で紹介されたので、車でふらり。

まずは、道の駅「きなんせ岩美」で情報を集めよう。
それにしてもこの道の駅、デザインやサイトが、おしゃれ。

鳥取は、練り物が美味しい…おっといけない。目的を忘れるところだった。

スタッフのお姉さんに、岩美町で民藝

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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \7日目/【愛媛県 砥部町】

民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \7日目/【愛媛県 砥部町】

4月13日日曜日 雨。

お皿がいいと、ごはんも嬉しそうに見える。
レーズンパンの乗った砥部焼が、ふふっと笑ったように見えた。

ほだかさんのお家は、素敵な手仕事でいっぱい。

ほだかさんは漆作家だから、自分で金継ぎする。

久しぶりの納豆に、心がほどける。やっぱり馴染みの味が一番落ち着く。
漆作家ほだかさんは、よく味のしみたコンソメスープを置きながら、テーブルについた。

ほだかさんは、魔女の宅

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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \8日目/【愛媛県 内子町】

民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \8日目/【愛媛県 内子町】

4月14日 月曜日 快晴。

朝日がぼんやり川面を照らす。鯉の干物がペロンとしていた。

(お昼頃、太陽が風を連れてきて、鯉はふくふく、空を泳いだ。)

本日は、内子町で伝統的な製法で和紙を作る「天神産紙」さんにお約束。
その前に、コインランドリーで洗濯物を洗いながら、川原で朝ごはんをむしゃり。

腹の虫が静かになった。さて、内子町へと参ろうか。
と、目力ギラギラにハンドルを握ったのに、迷子にな

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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \9日目/【島根県 奥/出雲】

民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \9日目/【島根県 奥/出雲】

4月15日 火曜日 晴れ。

朝ごはんは道の駅にかぎる。なんちって。

愛媛の「じゃこ」をもうちょっと味わいたくて、朝から揚げ物にぱくついた。もちろん、このあと胸焼けにもぞもぞ。

それでも、やっぱり甘いものは別腹。

エネルギーを補給したら、観光案内所へ。

「斐伊川和紙」というところが、民藝と関係があるかも、と教えてもらった。出雲大社でおみくじを引きたい気持ちをこらえて。まずは、取材へ。

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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \9日目/【島根県 湯町】

民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \9日目/【島根県 湯町】

4月16日 水曜日 くもり。

稲佐の浜から砂をいただいて、素盞嗚尊のお社に納めました。

まずは、斐伊川和紙でオススメいただいた出西窯へ。
オープンは9:30から。少しはやく着いてしまったので、のんびり近くをうろうろ。

*  *  *

出西窯は見学自由の工房と、直売所が併設。
窯の周りは「出西くらしのvillage」というオシャレスポット。

マガジンハウスの雑誌「& premium」にも掲

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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \3日目/【鳥取 2】

民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \3日目/【鳥取 2】

4月10日水曜日、くもり雨。

1週間のレンタル車旅、はじまり。最初の目的地は、鳥取県倉吉市。

ツイッターとディレラボでお世話になっているヨネノさんのご紹介で知り合った、鳥取のWebデザイナー小島さんが倉吉を案内してくださるのだ。

中学高校で、先生に口すっぱく「インターネットで出会った人に会っちゃダメ」と言われたけれど、インターネットで出会った人にたくさん助けてもらっている。

10時すぎ。

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民藝旅 Episode:0/日本民藝館「柳宗悦の直観」と 21_21「Another Kind of Art」 (1)

民藝旅 Episode:0/日本民藝館「柳宗悦の直観」と 21_21「Another Kind of Art」 (1)

柳先生の著書「手仕事の日本」いい本でした…

「どこそこの何がいい」と知識は読んだけれど、それがどんな形で、大きさで、色なのか、検討もつかない。どんどこ妄想が広がって、期待感が高まるばかり。

“日本民藝館には、先生の選んだ民藝品が展示されているから、若い人にぜひ訪れてほしい” という、柳先生のお言葉に背中を押され。民藝品の総本山、日本民藝館を訪れることにしたのは、1月の終わりのことでした。

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民藝旅 Episode:0/日本民藝館「柳宗悦の直観」と 21_21「Another Kind of Art」 (4)

民藝旅 Episode:0/日本民藝館「柳宗悦の直観」と 21_21「Another Kind of Art」 (4)

4. ふたたび日本民藝館へせっかく東京にいったのに、展覧会の論考を持って帰るのを忘れたり、行きたかった展覧会は休館日だったり、あちゃーなオトボケを連発した前回。

しなしなレタスのような平日をすごしていたある日、Twitterで繋がっていた武田さんから、「テーブルウェア・フェスティバル」へのお誘いをいただいたのです。開催日は、その週末。湧き水をあびて心がシャキシャキ。すぐさま、土曜日に日帰りで東京

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民藝旅 Episode:0/日本民藝館「柳宗悦の直観」と 21_21「Another Kind of Art」 (4)/最終回

民藝旅 Episode:0/日本民藝館「柳宗悦の直観」と 21_21「Another Kind of Art」 (4)/最終回

ながらく、お待たせいたしました。民藝旅 Episode 0、いよいよ最終回です。

前回は、2度目の東京来訪で、武田さんとテーブルウェアフェスティバルを訪れ、はじめて漆器に触れました。

6. 「民藝 -Another Kind of Art」展へ黒柳徹子さんのトークショーを見た後、いよいよ目指すは六本木。21_21 DESIGN SIGHT、「民藝 Another Kind of Art」展へ向

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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \1日目/【東京→鳥取】

民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \1日目/【東京→鳥取】

2019年4月8日

くもり空、灰色の東京。赤坂のワーキングスペースで、私は深夜バスを待っていた。

年末にnoteで、民藝について調べる宣言をして、数日後にZOZO TOWNの前澤社長からお年玉として100万円が振り込まれた。派遣社員として自転車操業していた銀行口座に、初めて見る桁数の残高。

やるって言っちゃったから、逃げちゃダメだし。始めちゃったから、とりあえず、やってみるしかない。細々とす

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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \2日目/【鳥取 1】

民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \2日目/【鳥取 1】

4月9日火曜日、晴れ。

イギリスへ行けちゃう12時間のエコノミーなバス旅で、鳥取県に到着。
トイレの失敗がなかったことに、ほっとした。

駅の近く、公園わきにバスは止まった。荷物を受け取る。
ひとまず、顔を洗って、歯を磨きたかった。時刻は9時35分。
駅に行けばお手洗いがあるはず。

5分ほど歩いて、駅に到着する。
駅前に新しいお手洗いがあったので入ってみる。清潔で、落書きもない。
鳥取県民には

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