マガジンのカバー画像

エッセイ・コラム

246
運営しているクリエイター

#哲学

心地よく生きるなら自分を知るって大事だよねって話

心地よく生きるなら自分を知るって大事だよねって話

高校のころ、世界史の先生から「毎年合格体験記とかみんなこれ見よがしに書いてるけど、実際不合格体験記のほうが役に立つよ」と言っていたことがあった。成功体験など別に人それぞれだから、むしろ「これだけはだめだ」という失敗ケースを避けることのほうが重要だと説明してくれたのをよく覚えている。

今思うと、確かにそうかもしれない、という思いがする。先日、個人で塾を経営している方と話す機会があった。長らく教育に

もっとみる
自分との対話って大事よね

自分との対話って大事よね

「内省」ということばがある。自分自身の考え方や思い、哲学と向き合うことを指している。もっといえば、自己対話という言い方をしてもいいかもしれない。

内省ができるのは、ある程度の時間がある時である。時間があって特に何もやることがない時に「そういえば自分って…」などとふと考えるものだ。
子育てなんかをしていると一生懸命子どもの世話をするので、その間に「自分の人生って…」などと考えることはまずない。子供

もっとみる
無駄な時間だったって言うけどそれも込みで自分だからしゃあない

無駄な時間だったって言うけどそれも込みで自分だからしゃあない

誰しも無駄なことをしたいとは思わない。
でも人生を振り返ると、不思議と無駄なことばかりしているものだ。
毎日を振り返ってみても「なんでこんなことしてたんだろう」とか「変な暇つぶしをしてしまったな」とか、いろんな後悔があるものだ。

仮に、理想の境地に一切寄り道せずに至ることができていたら、と考えてみる。
それは非常に無駄がなくて、いろんなことに使う時間ができそうな人生ではある。でも、どこか味気なく

もっとみる
人生は短い(多分)

人生は短い(多分)

「人生の主役は自分自身である」ということばがある。考え方はいろいろあろうが、人生の捉え方は往々にして自分中心のものになりやすく、利己的で視野狭窄に陥りやすい。
私自身はその傾向が顕著で、20代は「自分が人生をどう作るのか」という視点しか持ち合わせていなかったし、他人との関係性のなかで自分を捉える努力を怠ってきた。結婚願望もなく、子供がほしいと思ったこともなかったというのは、その証左といえるかもしれ

もっとみる
オタクとJDと仕事できる風の若者からイデア論を考える

オタクとJDと仕事できる風の若者からイデア論を考える

いまではもう死語なのであろうが、かつて「オタク」と呼ばれていたひとたちには、ファッションや体形などで一定のモデルに収斂する傾向があった。
大体はチェックのシャツでめがねをかけていて小太りで、そして滑舌があまり良くなく、総じてハキハキとはしゃべらない。もちろんオタク全員がそうだというわけではないのだが、不思議と近似していくのが世の常であった。

人間が、一定のモデルに収斂するという現象はオタクだけの

もっとみる
納得「感」のナゾ

納得「感」のナゾ

世の中で起きていることを正確に理解するというのは難しい。
それだけに、一個一個の事象を丁寧に説明してもらい、ようやく納得することが多い。

納得をした際に、「納得”感”がある」ということを言う人がいる。または理屈が通っていることでも、説明をするとなぜか「うーん、納得感がない」といったフィードバックを受けることがある。

「納得感」というのは思わず素通りしてしまう言葉の一つなのだが、よく考えてみると

もっとみる
どう生きるかを考える前に「どう生きて来たか」を振り返ってみよう

どう生きるかを考える前に「どう生きて来たか」を振り返ってみよう

映画「君たちはどう生きるか」が、このたびアカデミー賞の長編アニメーション賞をとったという。実にめでたいことである。同作については前に感想も書いているのでご覧いただければ幸いだ。

さて、「どう生きるか」というのは極めて抽象的な問いだ。考えようとしてみても、これからどう生きるのかにあれこれ施策をめぐらせるのはそれほど簡単ではない。

しかし、今までをどう生きてきたのかは、私たち自身がよくわかっている

もっとみる
たくさんのことばは、こころのなかに

たくさんのことばは、こころのなかに

きわめてどうでもいい話だが、私はあまり饒舌なほうではない。
それゆえ、いろいろしゃべった数時間後なんかに「あれ言っておけばよかったな…」と後悔する日々を常に送っている。
幼少期にも口げんかをして(大体負ける)、寝る時間なんかになると「そうか、あの時ああいえばこうなったな…」と悔しい思いをしたことは一度や二度ではない。

「氷山の一角」ということばがある。ぴょこっと氷山が海から出ているが、実はその海

もっとみる
金を積まれてもできないことがサラっとできちゃう人は人間性がすげえのかも

金を積まれてもできないことがサラっとできちゃう人は人間性がすげえのかも

お金を単に積まれればなんでも頑張れるほど世界は単純ではないし、何ならお金を積まれてもできないこともある。

足元では至る所で戦争が起きている。兵隊だけではなく、自らの意志で戦うことを決めて戦地に赴き、そして命を落とした方々も多くいるのだ。かつて日本でも特攻隊の方々がいたが、上からの命令で飛行機や人間魚雷で命もろとも敵に突っ込んでいった人たちが実際にいた。

こうしたことを「10億円やるからやって」

もっとみる
「転職するほどの気力もない」とこぼす20代

「転職するほどの気力もない」とこぼす20代

ある時、激烈な仕事に追われる20代の社会人女性と話す機会があった。
創業社長のように死ぬほど働いて成功したるぞという気概を持って爆裂に働いているのであれば何も問題はないのだが、聞くところでは彼女はいたく疲れた様子で「この間も退職者が出て…」とすっかり落ち込んだようである。

仕事が大変でも続けるのかどうかは個々人のキャリアビジョンや人生観に依るところも大きいので、辛いからやめたらいいよと無責任に言

もっとみる
「ポロリ」を哲学する

「ポロリ」を哲学する

ときおり、YouTubeなんかで「女性タレント○○のポロリ!」といった品の無いタイトルの映像がある。
私もあきれ返りつつやましい気持ちは一切無いなかで念のため見てみると、どう見ても「ポロリ」はしていない。

こうした事例に触れるたび、「ポロリ」という言葉が間違って使われているように思えてならない。「ちょっとはみ出した/ちょっと出た」ことをなんでもかんでも「ポロリ」と表現している。
以下に触れる本当

もっとみる
けばけばしい化粧をしたニュースと、その中にあるすっぴんの事実と

けばけばしい化粧をしたニュースと、その中にあるすっぴんの事実と

三が日というのは毎年穏やかな時間が過ぎ、昨年の振り返りをしたり一年の目標を立てたりするものだが、2024年は元日に大きな地震が北陸に起き、2日は不幸な事故で飛行機が燃え、3日は小倉で商店街が燃えた。過去振り返ってみても類を見ないほど大きなニュースが多い一年のスタートになったと思う。

マスメディアの報道を見ていると「いやはや…」という気持ちになるのだが、世の中の人の中には「まあ別に関係ないし…」と

もっとみる
何かを評価することは意思決定に他ならない

何かを評価することは意思決定に他ならない

ある先生から情報とは「収集・分析・評価」の三段階を経るものであるという話を聞いたことがある。
簡単に言えば、集めて・正しいかどうかなどを見極め・価値判断をするということである。

最近、最後の「評価」というものが極めて重要であり、そして非常に難しいということに思いが至った。そして、上の人間になればなるほどこの「評価」をせねばならないということにふと気づいたのである。

仕事の時、したっぱの時は「こ

もっとみる
隣の芝より自分の芝のほうがもしかしたら青いのかもしれない

隣の芝より自分の芝のほうがもしかしたら青いのかもしれない

隣の芝は青いとはよくいったもので、どんなに恵まれても人間は自分にないことを求めてしまう。
金持ちの人であれば「時間が欲しい」といってみたり、金がなく時間ばかりあると「金が欲しい」といってみたり、オムライスを食べながらカレーを頼んだ友人を見ると「カレーのほうがうまそうだな…」と思ったりと、人は実に気まぐれで身勝手な欲求を持っている。

私自身も気まぐれかつ身勝手な欲求を持つ人間のひとりである。
いっ

もっとみる