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情報収集の意外な視点「『捨てる』集め方」とは? (考える力を鍛える工夫)

「捨てることが集める上で重要ということか」

先日、下記の記事で「考える力」をどのように身に着けるのかについてまとめました。

この中で書き切れなかった、情報収集、メモ、理解というプロセスについて、改めてまとめてみたいと思います。

そもそも「考える力」とは

ヒントを得るために参考にしたのは「東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方」。この本は考えるとはそもそもどういうことか、そして正しく考えるステップ含めて、分かりやすく教えてくれます。考える仕事をしている人や、答えるのが困難な問題に向き合っている人にはぜひおすすめです。

この本では考える力を「自ら考え、創造する力」と定義し3つの力に分類しています。

「自ら考え、創造する力」とは
 1.問題を見つける力
 2.解く力
 3.諦めない人間力

この1つ目の「問題を見つける力」が考える力の中でも何より重要です。そもそも「問題」はどのように見つければよいのでしょうか。いくつか工夫できるポイントがありそうです。

問題に直面した時の対処(メモの重要性)

問題を見つけるのは簡単なことではありません。何度も同じテーマで考えたり、時間や場所を変えて考え続けてはじめて見つかることもあります。問題の片鱗に触れながらも核心に迫れず「今日は時間がないので、また考えよう」と先送りにするケースもあります。そんな時に意識したいのは「別の機会にすぐに取り組めるようにしておく」こと。言い換えると「再起動しやすい環境」をつくることです。

よくあるのが「これ、どこまで考えたっけ…?」という状態。再起動するまでの時間ははっきり言って無駄ですよね。すぐにコンテニューできるように、ゲームデータをセーブするようにメモを残していくことが大切です。そのポイントを整理します。

ポイント1:いつでも書き残せる状態でいる
小さいメモ帳や、システム手帳、スマホのメモアプリなど、サッと取り出しすぐに書けるものを使いましょう。アイデアやふと頭に浮かぶ疑問は時間と場所を選ばずいつでもやってきます。その時にクイックに掴んで捕まえることが大切です。私はEvernoteというアプリを使っています。同じアカウントであれば、スマホでメモしたことをタブレットやPCでも自由に閲覧、編集可能なので、めちゃくちゃ便利です。

ポイント2:簡潔に書く
できれば箇条書きで書くのが良いです。長い文章は読みにくいですし、読むのに時間がかかります。直観でメモし、後から読んで記憶を呼び起こすのに有効なのは、単語のメモを矢印でつなげる書き方です。思考の巡り方のプロセスをそのままメモれるので、メモした時の脳の状態を後から再現しやすく、直ぐに再起動できます。

ポイント3:疑問系で「問い」で残す
「あとから考えよう」と思ったメモは「〇〇を▢▢するにはどうすればよいか?」、「なぜ〇〇は▢▢なのか?」と考えるテーマを疑問形で「?」を添えてメモすると良いです。そうすることで、自分が考えるべき「問い」が明確になり、直ぐにその問題と対峙(再起動)できます。

情報の集め方

自分が解くべき問題をシャープに切り出していくには、わかっている情報をはっきりさせ、分からないことを明確にしていくことが大切です。そのためにはわかっていることを集める、つまりは情報収集が重要となります。

その際にもいくつか注意すべき点があります。

1.答えを探さない
問題を解くために情報収集しているのに「答えを探さない」というのは逆説的ですが、これは重要な視点です。というのも、「何が分からないのか分からない」といった複雑な課題に向き合っている時に必要な情報はネットや本に転がっているような「既にある情報」ではないからです。もしそれで問題が解決できたのなら、それはただ単に「知らなかった」だけです。それは解くべき本質的な問題ではありません。

つまり、解くべき問題の答えは「今の世の中にはない」ため、答えそのものズバリは探せないということです。例えば何らかの全く新しい新商品の企画を考える場合、検索してヒットする情報はその時点で新しくない情報です。ただそれはヒントにはなります。Aというカテゴリーでは既知でも、別のBというカテゴリーでは新しいケースもあります。答えそのものを探すのではなく、得た情報を活かすために探すという視点が大切です。

2.理解した情報は「捨てる」
情報収集の極意として2番目に挙げるのは「捨てる」技術です。集めているのに捨てるとはどういうことか。これには大きく2つのメリットがあります。

メリット1:脳のハードディスクを空けられる
集めた情報や本を手元に置いておくことは、パソコンのハードディスクにその情報を居座らせるようなものです。これが溜まっていくとパソコンの動作は次第に鈍くなっていきます。これが脳の中に起こるイメージです。

集めた情報を捨てる=また必要な時に再度収集しなければならないのでは?と不安を持ってしまいがちですがこの不安は不要です。というのも、今の時代、一度アクセスできた情報には再度すぐにアクセスできるからです。その些細な心配事の為にハードディスクを使うより、さっぱり捨ててしまって、考えるための容量を確保する方が生産性が高いと言えます。

メリット2:わからないことに集中できる
100枚の単語帳をイメージすると理解しやすいです。明日までに100個の英単語を記憶しなければならない時にどうすべきか。覚えた単語のぺージを捨てていくのが効率的です。残っている単語は自分が覚えられていない単語です。単語をどんどん減らすことで、弱点に集中することができます。100枚の単語を大切に持ち続けることは実は集中力の分散リスクをはらんでいることを知っておくことが重要です。

過去に、尊敬する人にもらったアドバイスの一つが「戦略とは選択である」という言葉。やるべきこととやらないことを分けることで、やるべきことに集中する。その為にも、選ぶ=捨てることが大切です。一度理解した情報はきれいさっぱり捨てるのが有効です。

自分の言葉で理解する

情報は「捨てる」のが良いのですが、その前提は「一度理解した情報」です。理解するとは、さっと目を通すだけでは理解したとは言えません。また、本にアンダーラインを引いてわかった気になったものの、一度本を閉じてしまうと、アンダーラインを引いたことすら忘れてしまう、というケースも少なくないでしょう。これも理解したとは言えない状態です。

正しく理解するためには、自分の言葉でメモをするのが有効です。誰かの言葉ではなく、自分が納得した言葉に翻訳して自分なりの解釈を添えながら、自分のためにメモを残す。このプロセスを踏むことで、自分の理解度がはっきりします。要点を絞って、キーワードと共に箇条書きで整理できれば、自分が論理的に理解できていることを自覚できます。

この状況になってはじめて、それまでのプロセスで得た情報をきれいさっぱり捨てることができます。これをし始めると、それまでの自分がいかに「分かった気になっていたか」が浮き彫りになります。例えば1冊の本を読んで、「面白かったな」で終わるのではなく、「ズバリこの本を一言で表現すると何?」、「3つのポイントに整理すると?」など、要約する癖をつけると、情報を理解する筋肉がつきます。

もう一つ、理解に役立つのは「人に説明する」ことです。例えば、観た映画の魅力を誰かに30秒で説明してみましょう。これ、意外と難しいです。そして自分がその映画の核心の部分の理解が甘いことがわかったりもします。人に説明する時には、自然と論理的に考えることになります。「この映画は面白かった/面白くなかった。なぜなら理由は3つ。まず一つ目は~」と論理的に説明できた時、その映画を構造的理に「理解できた」ということです。「人に説明する」というツールで、自分の理解力をチェックするのも有効です。

実は私にとってはこのnoteが理解ツールとなっています。自分なりに理解して、自分の言葉で紹介することで、理解は一層深まります。noteの記事づくり中でもその最たるものが「タイトル」です。3000文字程度の記事を一言で説明するのは大変ですが、それを表現しているのがタイトルですね。この記事のタイトルは「情報収集の意外な視点「『捨てる』集め方」とは?(考える力を鍛える工夫)」です。私は今この記事を「捨てながら集める」ところに核心を置きながら書いています。要するにどういうこと?と要約する力がnoteを日々続けることで養っていけるように思います。

まとめ

メモや情報収集は誰もが日々やっていることかと思います。しかし、問題を見つけるためのメモの取り方、情報の集め方という視点で考え方時、効果的にやるためにはひと工夫必要です。

特に今回、改めて重要と感じたのが「情報の捨て方」です。これまで何となく意識していたことを文章にすることで、はっきりと認識することができました。

私は昔からメモ魔で、直ぐにペンで書く癖があります。それは脳の中の情報をペンで吐き出すことで脳の中が軽くなる感覚があるからです。子供の頃から空想するのが好きだったので、「脳に考えるスペースを持っていたい」という気持ちが昔からありました。覚えることで脳が一杯にならないように、どんどん外に吐き出す=捨てる、という感覚を大切にしています。

これは情報収集のフェーズでも同じことが言えます。集めた情報はその情報そのものに価値があるのではなく、その情報を翻訳して別のカタチに加工した時にオリジナルの価値が芽生えます。

理解したら捨てる。逆に言うと、「捨てるためにちゃんと理解する」ことが大切です。理解するまで捨てられませんので、どんどん脳のハードディスクに溜まっていきます。捨てるためには、本質的に考えて短時間で理解することが求められます。「捨てる」というアウトプットが、次のインプットにつながっていると改めて気づきました。

メモ、情報収集という仕事における基本行動を「より良い仕方」で取り組むことで、クリエイティブな日々をおくりたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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