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#詩
【エッセイ】花はグロい
花は、グロテスクだ。
断じて詩的な意味ではない。花を美しい、きれいだなんて思うのは、我々人間の、一種の思考停止だ。まやかしだ。花そのものを、見ていない。
試しに今度、花を改めて観察して花びらのひとつひとつや茎や根や、花弁のなかをじっくりと見てみてほしい。花が発する臭気を感じてみてほしい。
生々しくて、仕方がない。花は、生きることの、生の、かたまりみたいな形をしている。臓器のよう
【エッセイ】詩人カメラ
詩が最もその力を発揮するのは「フォーカス」する力だ。ひとつの詩のなかでも、急にレンズを振り、アングルを変えることのできるカメラのように、縦横無尽に視点が変化する点が面白い。
読者はその唐突さに、最初はついていけない。日常ではあり得ない、断片みたいなことばの羅列と、論理の飛躍や跳躍。心情やシーンについて詠っているくせに、一体他人に分からせる気があるのか、と憤慨したくなるほど、詩は不親切であ
【エッセイ】テンプレートの乱
わたしたちは、テンプレートを生きている。
朝起きてから夜眠りにつくまで、テンプレートなことばが、毎日ひしめき合っている。
人と話したり、メールしたりする内容なんて似たり寄ったりで、相手を怒らせないように気を遣って、常套句を吐き出す。世間仕様のわたしが発することばは、口に出す前に粒をそろえている。わたしの口は、わたしの意志とは別の生き物のようににゅるにゅると、自動運転で蠢く。
大
【エッセイ】脳内師匠と星の見えない夜
私が小説家について語るとき、放課後の誰もいない小学校の、音楽室を思い出す。
バッハ、モーツアルト、ベートーヴェン。
壁一面にずらりとならんだ作曲家たちの肖像画。生きた時代も、生まれた国も、世の評価を受けた歳だって皆ばらばらなのに、彼らは一団として、ぞろぞろと教室を見守っている。
ましてや、死んでから生前の楽譜を掘り起こし、再評価され、額縁に収まった人もいるというのに。
正装に身を包んだ彼らは、