ちゅにきち

US育ち(15年) / 東大卒 / 平日はサラリーマン / 週末は旅人 / 一眼レフ片…

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US育ち(15年) / 東大卒 / 平日はサラリーマン / 週末は旅人 / 一眼レフ片手に山を駆ける / 旅先の動画はこちら↓ https://www.youtube.com/channel/UCzSmgv_CEGHjxgYRkmCpfZA

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記事一覧

ガトーショコラ🍰

みぞれの中の静寂

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山を登ればアホになる:山岳文学の話

先日、会社でメンタルヘルスの研修を受けた。 最初に断っておくが、 個人として何か病気を診断されたわけではない。 コロナ禍→リモート→精神病による 生産性低下が最近…

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木曽路縦走(中津川~上松)

白糸のように細い道が渓谷の間を抜ける。 西は恵那から始まり、東の諏訪におよぶ 一本の街道。 その道の両端は崖に近く、 平地は・・・ほとんどない。 この道が中山道、 …

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日本語がおかしくなってしまったJR西日本

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茶:静岡県掛川市

海から歩くこと数千里、 人里離れたはるか山奥、 中国雲南省の山間部で 茶の栽培は始まった。 栽培というより、 生えている🌲の葉っぱを 刈り取ったと書いた方が 正確か…

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民族の分水嶺がここに:埼玉県川越市

7年前、イランからスペインまで 陸路(鉄道・バス)で旅をしていた。 イランからトルコ、ブルガリア、セルビア、 ハンガリー、オーストリア、スイス、フランス、 モナコ、…

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神話の舞台へ:信州黒姫山

福島県の猫魔ヶ岳と並んで 名前が印象的な山。 あちらは人を食べる大きな猫が由来、 こちらは災いをもたらす白い蛇。 その蛇の怒りをおさめるために、 黒姫が命を捧げたと…

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私が勝手に想像した愛鷹山

静岡県の富士市・沼津市・長泉町・裾野市に またがる愛鷹山(あしたかさん)。 足高山とも書きます。 赤城山のようななだらかな裾野を持ち、 地図をみると御嶽山のような…

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吾妻連峰縦走:南のアングル、北のアングル

前置きが長くなってしまった。 吾妻連峰は県境の山である。 福島県と山形県の間の長い屏風のようで、 もしこの山脈がなければ もっと福島県(少なくとも会津地方)は東北…

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吾妻連峰縦走:プロローグ

海外に住んだことがある人は 日本が窮屈な社会だという。 息苦しい社会だという。 生きづらい社会だという。 そうなのかもしれない。 そうでないかもしれない。 が少なく…

「日本が美しい」本当の理由:大塚バラ祭りの話

東京に住みはじめて9年。 初めてJR山手線の大塚駅を訪れた。 きっかけはシンプルだ。 一眼レフを買って2か月が経ち、 動画に適した題材を求めていた。 大塚でバラ祭りが開…

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覚えているが、覚えていない湯河原の梅まつり

このことはよく覚えている。 2年前の春、私は大きな決断をした。 そう、一眼レフを買うことにした。 機種はCanon D80。 カメラの道の方々からすると 安物と笑われるかもし…

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温かさを求めて雪山へ:身延山の話

今年の1月、私は職場のパソコンで天気図と にらめっこをしていた。 「今週末がチャンスかもしれない・・・」 雪山初心者だった私はレベルアップを目指すべく、 降雪のタイ…

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登山中毒になる理由:北アルプス縦走を終えて

2012年の夏の話です。 スペインの巡礼路で こんなことを言われました。 「聖地サンティアゴに到着し、  それで完結したと思う人は  本当の意味での巡礼者ならず。  巡…

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山を登ればアホになる:山岳文学の話

山を登ればアホになる:山岳文学の話

先日、会社でメンタルヘルスの研修を受けた。

最初に断っておくが、
個人として何か病気を診断されたわけではない。

コロナ禍→リモート→精神病による
生産性低下が最近表面化していて、
全員参加必須と会社から義務付けられた研修だ。

その中で面白い話を聞いた。
脳内でアドレナリンが分泌されると、
思考力が一時的に低下するという内容である。

私は医者でも脳科学者でもないので、
この話の真偽はわからな

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木曽路縦走(中津川~上松)

木曽路縦走(中津川~上松)

白糸のように細い道が渓谷の間を抜ける。
西は恵那から始まり、東の諏訪におよぶ
一本の街道。
その道の両端は崖に近く、
平地は・・・ほとんどない。

この道が中山道、
いわば日本の大動脈の中核だったと聞くと
不思議な感じがする。

三国志や史記の逸話だと
大軍が壊滅するのは大概こうした山路であって、
この街道を通過するのは怖い。

ただ東海道と北国街道にも
同じようながあるか・・・

この街道沿いに

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茶:静岡県掛川市

茶:静岡県掛川市

海から歩くこと数千里、
人里離れたはるか山奥、

中国雲南省の山間部で
茶の栽培は始まった。

栽培というより、
生えている🌲の葉っぱを
刈り取ったと書いた方が
正確かもしれない。

司馬遼太郎の「街道をゆく」に
1970年代当時の福建省の茶畑の
現地視察が記録されている。

それによると日本のように列を成しておらず、
集落の回りに自然と木が生えているという。

本来、本場の茶文化というのは

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民族の分水嶺がここに:埼玉県川越市

民族の分水嶺がここに:埼玉県川越市

7年前、イランからスペインまで
陸路(鉄道・バス)で旅をしていた。

イランからトルコ、ブルガリア、セルビア、
ハンガリー、オーストリア、スイス、フランス、
モナコ、スペインと10か国を57日間で渡る長旅だ。

その中でトルコからブルガリアに移動したとき、
食事で主に紅茶を飲む文化から、
コーヒーを飲む文化にシフトした。

つまり、お茶🍵とコーヒー☕の分水嶺がちょうど
ヨーロッパとアジアの境にあ

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神話の舞台へ:信州黒姫山

神話の舞台へ:信州黒姫山

福島県の猫魔ヶ岳と並んで
名前が印象的な山。
あちらは人を食べる大きな猫が由来、
こちらは災いをもたらす白い蛇。

その蛇の怒りをおさめるために、
黒姫が命を捧げたという神話がある。
「黒姫伝説」として知られている。

もうひとつのバージョンでは、
黒姫に恋した蛇が人間に化けたものの、
正体がばれてしまい、
仕返しに水害を引き起こす。

後者の物語は
『日本伝説叢書 信濃の巻』
に収められている。

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私が勝手に想像した愛鷹山

私が勝手に想像した愛鷹山

静岡県の富士市・沼津市・長泉町・裾野市に
またがる愛鷹山(あしたかさん)。
足高山とも書きます。

赤城山のようななだらかな裾野を持ち、
地図をみると御嶽山のような巨体を想像させる。
以前から気になっていたこの山域に
やっと足を踏み入れました。

実際歩いてみるとデデンと天に向かって突き出ていて、
自己主張を感じさせるところがあります。
まさに日本二百名山という
冠👑にふさわしい山容です。

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吾妻連峰縦走:南のアングル、北のアングル

吾妻連峰縦走:南のアングル、北のアングル

前置きが長くなってしまった。
吾妻連峰は県境の山である。

福島県と山形県の間の長い屏風のようで、
もしこの山脈がなければ
もっと福島県(少なくとも会津地方)は東北色が強くなったはず。

吾妻連峰で有名なポイントは
日本百名山で知られる西の端:西吾妻山(標高2,035m)と
「魔女の瞳」という異名をもつ五色沼だろうか。
といっても地元の人か山好きでなければ
知られていないか・・・

私がこの山域を

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吾妻連峰縦走:プロローグ

吾妻連峰縦走:プロローグ

海外に住んだことがある人は
日本が窮屈な社会だという。
息苦しい社会だという。
生きづらい社会だという。

そうなのかもしれない。
そうでないかもしれない。

が少なくとも物理的には
日本が大変窮屈な国であることは
間違いない。

ちょうど一年ほど前、
山林を買おうか迷っていた時期があった。
数百万から数千万の相場だが、
中には無料に近い破格の価格で売りに出ている。
見てみると立地も北海道の山奥と

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「日本が美しい」本当の理由:大塚バラ祭りの話

「日本が美しい」本当の理由:大塚バラ祭りの話

東京に住みはじめて9年。
初めてJR山手線の大塚駅を訪れた。

きっかけはシンプルだ。
一眼レフを買って2か月が経ち、
動画に適した題材を求めていた。
大塚でバラ祭りが開催されているとTwitterで見て、
これはよい動画の素材になると思った。

当日。それは快晴の土曜日だった。
JR大塚駅を降りると、
都電荒川線沿いに満開のバラが咲いていた。
赤、ピンク、黄、白、
何十という品種のバラ。
どれも

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覚えているが、覚えていない湯河原の梅まつり

覚えているが、覚えていない湯河原の梅まつり

このことはよく覚えている。
2年前の春、私は大きな決断をした。

そう、一眼レフを買うことにした。
機種はCanon D80。
カメラの道の方々からすると
安物と笑われるかもしれません。

がこれは私にとって大きな買い物だった。
レンズキットで11万円くらい。

レンズのフードやら、
カメラ用のリュックやら、
SDカードや三脚などの付属品をあわせると15万円くらい。

さらに大量の動画やデータを処

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温かさを求めて雪山へ:身延山の話

温かさを求めて雪山へ:身延山の話

今年の1月、私は職場のパソコンで天気図と
にらめっこをしていた。
「今週末がチャンスかもしれない・・・」

雪山初心者だった私はレベルアップを目指すべく、
降雪のタイミングを見計らっていた。

しかし、ただ雪が降ればいいという話ではない。
降りすぎると不安だし、
少なすぎてもつまらない。
20-30cmのちょうどいい塩梅の積雪はどこにあるのか。
ここに雪山の難しさがある。

山梨県南部にある身延山

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登山中毒になる理由:北アルプス縦走を終えて

登山中毒になる理由:北アルプス縦走を終えて

2012年の夏の話です。
スペインの巡礼路で
こんなことを言われました。

「聖地サンティアゴに到着し、
 それで完結したと思う人は
 本当の意味での巡礼者ならず。
 巡礼はイエスの精神を持ち帰り、
 それを日々実践するところから始まる。」

自分はこれを体現できているかはさておき、
今月初旬、北アルプス縦走の最終盤で、
この言葉を思い出しました。

というのも、
標高が高い槍ヶ岳山頂直下や
尾根

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