木曽路縦走(中津川~上松)
白糸のように細い道が渓谷の間を抜ける。
西は恵那から始まり、東の諏訪におよぶ
一本の街道。
その道の両端は崖に近く、
平地は・・・ほとんどない。
この道が中山道、
いわば日本の大動脈の中核だったと聞くと
不思議な感じがする。
三国志や史記の逸話だと
大軍が壊滅するのは大概こうした山路であって、
この街道を通過するのは怖い。
ただ東海道と北国街道にも
同じようながあるか・・・
この街道沿いには木曽路11宿が定められている。
南から順に並べると:
◾馬籠(まごめ)
◾妻籠(つまごう)
◾三留野(みどの)
◾野尻(のじり)
◾須原(すはら)
◾上松(あげまつ)
◾福島(ふくしま)
◾宮ノ越(みやのこし)
◾藪原(やぶはら)
◾奈良井(ならい)
◾贄川(にえかわ)
この中で文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区」に
指定されているのは馬籠、妻籠、奈良井。
私は今回の旅を南の中津川からスタートした。
中津川自体には何も期待していなかったが
宿場町のぬくもりが十分残っていた。
くりきんとんと五平餅の香りがする。
2時間かけて苗木城まで歩き、
城を堪能した(別の記事で紹介予定)のちに、
宿を予約していた馬籠に向かった。
2日目は一気に上松まで歩く。
と予定していたものの、
馬籠宿と妻籠宿の風情に惹かれ、
動画撮影で1時間以上予定が遅れてしまった。
結果的に須原で日没になり、タイムオーバー。
3日目は激しく雨が降っていたため、
上松で潔く旅を中止した。
この旅を振り返り、
宿場町の風情を順位付けすると、
須原 > 馬籠 > 妻籠 > 中津川 >
上松 > 野尻 > 三留野。
須原と野尻は変に観光地化されていなかった。
住人が格子の掃除をしていたり、
このみすぼらしい旅人に話しかけてくれたり、
スペインの巡礼路の記憶が蘇った。
馬籠と妻籠はアトラクション化が否めないが
丁寧に整備されていて観光地としては
完成系に近い。
中津川と上松については
建築物が江戸風、昭和風、平成風と
バラついていて惜しい印象。
そして、野尻と三留野は
素朴を通り越して退廃的だった。
そして、それぞれの宿場で
盟主となる山が異なる。
◽中津川と馬籠:恵那山
◽妻籠と三留野:南木曽岳
◽野尻と須原:空木岳と越百山
◽上松:木曽駒ヶ岳
◽福島:御嶽山
野尻宿から見え上げた
空木岳(うつぎだけ)と越百山(こすもさん)は
威圧的で主張が強い。
いわば筋肉モリモリな山容・・・
今まで「こすも」というかわいらしい名前に
騙されていたことに気づいた。
無性に悔しい。
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