辻元よしふみ

服飾史・軍装史研究家。陸上自衛隊需品学校部外講師。陸自の新型制服(16式常装など)制定…

辻元よしふみ

服飾史・軍装史研究家。陸上自衛隊需品学校部外講師。陸自の新型制服(16式常装など)制定に関わり、陸上幕僚長感謝状を授与。『図説 戦争と軍服の歴史』(河出書房新社)『軍装・服飾史カラー図鑑』(イカロス出版)など著書多数。「美の壺」「ヒューマニエンス」(いずれもNHK)などに出演。

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辻元よしふみ、辻元玲子 著

※これは、2008年3月10日に彩流社から初版が刊行された同名書籍の改訂版です。この書籍は現在も絶版はしていないものの、版元さんの事情もあって、事実上は再版未定となっています。
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◆「軍人は傘を差してはならない」

雨傘の本場といえば、雨の多い英国である。英国紳士は十九世紀後半から、ステッキの代わりに傘を携行するようになった。雨傘は英語でアンブレラだが、これは

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◆三菱グループと無関係の三菱鉛筆

 ファッション関連からいうと少し外れるかもしれないが、洒落者には必携の小道具、筆記用具の話を二、三しよう。どんなに日常のビジネスではスマートフォンやタブレ

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第十一 サングラスと眼鏡、万年筆、傘の章

◆眼鏡はフランシスコ・ザビエルが日本に持ち込んだ

眼鏡という物はすでに十三世紀後半にイタリアで発明され、一五五一年には戦国時代の日本に宣教師フラ

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◆航空機と世界大戦が普及させた腕時計

一九〇〇年代はじめ、初期の飛行家として有名なブラジル人、アルベルト・サントス・デュモン(一八七三~一九三二)の依頼により、パリの宝石商カルティエが腕に

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十、時計の章

◆最初の懐中時計はヘンリー八世か

紳士服のルーツの起源を求める本書の最後に、ミリタリー・オリジンのもう一つの典型として、腕時計の歴史にも触れておこうと思う。今や、時間を知る

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◆エリートのための熊毛帽、貴族のためのパパーハ帽

冬場となれば防寒用の帽子も出番となる。
特に毛皮の帽子となると、先ほども挙げたが、ウズベキスタンの民族帽チョギルマからオスマン・トルコ軍経

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『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第110回

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③シルクハットの時代

◆さまざまな帽子が出そろう十九世紀後半

ナポレオンが好んだ二角帽は、軍隊では十九世紀半ばまでに官帽子などに座を譲って、特殊な儀式などの大礼帽となった。また、折りたた

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『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第109回

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◆現代的な「官帽」の成立

そして、この時代(十九世紀初め)の帽子で見逃せないのが、現代の各国軍人や警察官、日本の自衛官、鉄道の職員などが被るいわゆる「官帽子」あるいは「官帽」である。英語圏

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『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第108回

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◆古代から続く敬礼の歴史

ネルソン時代のボーター帽と、軍隊や警察などで今日でも使われる挙手の敬礼(ハンド・サリュート)にはかかわりがある。
右手を挙げ、肘を曲げて、帽子のつばにふれるような

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②敬礼と脱帽の歴史

◆ネルソン提督のボーター帽

十九世紀の水兵帽としては、ネルソン提督が部下の英国海軍水兵の制帽として麦わら帽を採用した。水兵帽なのでボーター(船乗り用)と呼ばれた。いわ

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『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第106回

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◆軍帽から生まれたさまざまな様式

三角帽は身分階級にはあまりかかわりなく、また軍人でなく民間人もかぶったが、二角帽は主に将校用だった。ナポレオンが一八〇三年以後、新式の軍帽として筒型のシャ

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◆三角帽、そして二角帽に変化

さて、巨大なハットはいかにも洒脱で見栄えは良かったが、その後、マスケット銃の使用が急速に広まると、大きなつばがいかにも邪魔になってくる。特に前装式の当時の銃で

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『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第104回

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◆王様のハゲ隠しから二百年も流行したカツラ

帽子を取り上げるついでに、その下にある男性の髪型についてもふれておくと、ギリシャ人やローマ人は短髪を好んだ。特にローマ人は短髪主義で、ギリシャ人

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『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第103回

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九、帽子の章
 ①二角帽までの時代

 ◆フードの「ターバン巻き」が流行った中世

 帽子は、他のものにも増して遺物が少ない。記録もなく、歴史的経緯をたどるにしても、憶測の要素を差し挟むしか

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『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第102回

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③金属製のトランク

◆月に行った「ゼロハリ」と、ドイツ空軍仕様の「リモワ」

金属製のトランクといって、多くの人がすぐに思い浮かべるのは、アメリカのゼロ・ハリバートンだろう。一九六九年に人

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