Shigeru Matsuo

自己紹介

Shigeru Matsuo

自己紹介

記事一覧

【旅行記】 葉山に住むという選択肢

ゴールデンウィークの谷間、7年前に葉山に移住した友人を訪ねた。 葉山に行くには、車を使わない場合、逗子駅が最寄りとなる。横須賀線や湘南新宿ラインを使えば、東京や…

9

【映画感想】悪は存在するか

唐突に突き放され、頭を整理するまでしばらく時間がかかる。問いが投げかけられ、どのように解釈するかは見た人に委ねられている。 2日経って、私としては「自然への畏怖…

4

【映画感想】オッペンハイマー

公開初日のオッペンハイマーを鑑賞。 科学技術のジレンマ 原子爆弾というかつてない大量破壊兵器が産まれた過程が詳細に描かれる。理論に傾倒していたオッペンハイマーに…

Shigeru  Matsuo
1か月前
20

アートフェア東京2024感想メモ

金曜日の夕方にアートフェア東京に行ってきました。ざっと感想のメモです。 今回もっとも印象に残ったのは、FUMA Contemporary Tokyo。金巻芳俊さん、山田航平さんの作品…

Shigeru  Matsuo
1か月前
8

【現代アート鑑賞】養蜂と現代アートを考える(團上祐志さん)

ART FAIR TOKYO 2024を訪問。今年は現地でコレクターの友人たちと落ち合い、ギャラリストやアーチストの方とも会話することもできた。さらには、そのメンバーでフェアを出…

Shigeru  Matsuo
1か月前
16

東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ」

東京都美術館の「印象派 モネからアメリカへ」を訪問。作品の写真撮影は不可のため、感想のメモだけ。 モネとも交流し、印象派をアメリカに伝えることに貢献したジョン・…

Shigeru  Matsuo
2か月前
12

PERFECT DAYSのような日常のひとコマの記録20240130

2024年1月30日、井の頭公園の片隅でフクジュソウが咲いているのを見つけました。 この時期になると、春の訪れを感じます。子どもが幼稚園の頃「二月の庭には福寿草🎵」と…

Shigeru  Matsuo
3か月前
6

【経営学】入山教授の講演「イノベーション創出への示唆」メモ

今年も新年の「稲門経済人の集い」に参加。大隈講堂に参集しました。以前に上場企業の子会社の代表取締役を務めていた時にはじめて招待されました。参加者名簿にはそうそう…

Shigeru  Matsuo
3か月前
3

PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる

PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる。トイレ掃除や木漏れ日にワクワクする。毎日のルーチンが大切に思える。 起床から就寝まで、主人公の平山の生活はルー…

Shigeru  Matsuo
4か月前
25

村上春樹presents白石加代子の怖いお話「雨月物語」

夏の終わりに早稲田大学の村上春樹ライブラリーに寄付した人向けのイベントがあった。メインは白石加代子さんによる朗読の村上春樹さんと白石加代子さんの対談ではあるが、…

Shigeru  Matsuo
7か月前
7

あえて無計画のススメ

「パラサイト 半地下の家族」で、ソン・ガンホ演じる父親役のキム・ギテクは言う。 「絶対に失敗しない計画はなんだと思う?無計画だよ、無計画。ノープランだ」 これは…

Shigeru  Matsuo
7か月前
2

西荻窪の湯気というメニューがいらない定食屋さん

2022年4月、西荻窪にオープンした小さな定食屋「湯気」さんには、メニューがない。 いや厳密には、壁の黒板とテーブルの上の紙ペラにメニューはあるのだが、選択肢は「今…

Shigeru  Matsuo
8か月前
22

あまちゃんのロケ地を巡ると物語をさらに楽しめる

あまちゃん133回は震災の回だった 小袖海岸の神秘的な風景とは? 海女さんの実演場所を見れば、ウニ漁の大変さがわかる! 現地であまちゃんを体感しすてみよう! テレ…

Shigeru  Matsuo
8か月前
4

2023年の井の頭、春から夏へ

Shigeru  Matsuo
11か月前
3

7つの街

どの街も不確かな壁に囲まれていた。 わたしは7つの街で働いてきた。まるであちらの街からこちらの街へと旅するように。 昔は街から出ようと考えるものはいなかった。街…

2

建礼門院に学ぶ落ちぶれ方

思ひきや 深山の奥に 住まひして 雲井の月を よそに見んとは (建礼門院) 平清盛の娘、平徳子は、高倉天皇に入内し安徳天皇を産む。しかし、壇ノ浦の戦いで母、安徳…

3
【旅行記】 葉山に住むという選択肢

【旅行記】 葉山に住むという選択肢

ゴールデンウィークの谷間、7年前に葉山に移住した友人を訪ねた。

葉山に行くには、車を使わない場合、逗子駅が最寄りとなる。横須賀線や湘南新宿ラインを使えば、東京や新宿から直通で1時間で到着する。乗車料金は東京や新宿から1000円弱で、さらに1000円プラスすればグリーン車に乗れるのでさらに快適だ。

逗子駅から葉山方面へは京急バスに15分ほど乗車する。1時間に3本か4本ほど走っている「海岸回り」と

もっとみる
【映画感想】悪は存在するか

【映画感想】悪は存在するか

唐突に突き放され、頭を整理するまでしばらく時間がかかる。問いが投げかけられ、どのように解釈するかは見た人に委ねられている。

2日経って、私としては「自然への畏怖」、「寓話」と解釈した。

前半で美しい自然の映像が続くが、どこか怖い自然も内包されている。自然の怖さへの伏線が繰り返される。後半では前半をなぞりつつ怖い自然が姿を見せる。

単なる都会対田舎、文明対自然の争いにとどまらない深さがある。

もっとみる
【映画感想】オッペンハイマー

【映画感想】オッペンハイマー

公開初日のオッペンハイマーを鑑賞。

科学技術のジレンマ

原子爆弾というかつてない大量破壊兵器が産まれた過程が詳細に描かれる。理論に傾倒していたオッペンハイマーにとって、ピカソやマルクスのような革命的なアイデアを夢見ていたようにも思える。爆弾としての現実が近づくと、「物理学300年の集大成が大量破壊兵器なのか」という問いが重くのしかかる。

賞賛と転落、そして嫉妬

オッペンハイマーの人間的な物

もっとみる
アートフェア東京2024感想メモ

アートフェア東京2024感想メモ

金曜日の夕方にアートフェア東京に行ってきました。ざっと感想のメモです。

今回もっとも印象に残ったのは、FUMA Contemporary Tokyo。金巻芳俊さん、山田航平さんの作品、素晴らしかったです。

そして、SH GALLERYはさすがです。Backside works.さんの作品が充実。この後のギャラリーで開催される個展にも足を運ぶことになりそうです。

kaikaikikiのMr.さ

もっとみる
【現代アート鑑賞】養蜂と現代アートを考える(團上祐志さん)

【現代アート鑑賞】養蜂と現代アートを考える(團上祐志さん)

ART FAIR TOKYO 2024を訪問。今年は現地でコレクターの友人たちと落ち合い、ギャラリストやアーチストの方とも会話することもできた。さらには、そのメンバーでフェアを出て、現代アーチストで起業家の團上祐志さんのアトリエを訪問した。

團上さんは、武蔵野美術大学の油絵学科在学中に渡米しニューヨークで展覧会を開催、帰国後に愛媛県の大洲で古民家を活用したアーティストインレジデンスを手がかけられ

もっとみる
東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ」

東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ」

東京都美術館の「印象派 モネからアメリカへ」を訪問。作品の写真撮影は不可のため、感想のメモだけ。

モネとも交流し、印象派をアメリカに伝えることに貢献したジョン・シンガー・サージェント。肖像画を得意としたそうだが、「キャサリン・チェイス・プラット(1890年 ウスター美術館)」は、ドレスの白が美しくて印象に残った。

アメリカの印象派として代表的なフレデリック・チャイルド・ハッサム。「コロンバス大

もっとみる
PERFECT DAYSのような日常のひとコマの記録20240130

PERFECT DAYSのような日常のひとコマの記録20240130

2024年1月30日、井の頭公園の片隅でフクジュソウが咲いているのを見つけました。

この時期になると、春の訪れを感じます。子どもが幼稚園の頃「二月の庭には福寿草🎵」という唄を歌っていたのを思い出します。

今日、フクジュソウの写真を撮ろうとしたら、ご老人が先にカメラを向けていました。つい私から「今年も咲き始めましたね」と声をかけたところ、ご老人は「そうなんです、一昨日は咲いていなくて、昨日は来

もっとみる
【経営学】入山教授の講演「イノベーション創出への示唆」メモ

【経営学】入山教授の講演「イノベーション創出への示唆」メモ

今年も新年の「稲門経済人の集い」に参加。大隈講堂に参集しました。以前に上場企業の子会社の代表取締役を務めていた時にはじめて招待されました。参加者名簿にはそうそうたる大企業の代表が並び、かなり気後れするアウェイの場ですが、少しずつ仲間を増やしながら参加を続けています。

田中総長からのご挨拶、冒頭は能登地震の犠牲者の方に全員で黙祷を捧げました。続いて2032年の創立150周年以後のビジョンについてご

もっとみる
PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる

PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる

PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる。トイレ掃除や木漏れ日にワクワクする。毎日のルーチンが大切に思える。

起床から就寝まで、主人公の平山の生活はルーチンでできている。それはミニマリズムでもあり、善の精神であるかもしれない。

自分も、自然の写真を撮ったり、同じ場所で食事をしたりしているが、誰もがルーチンを持っているし、主人公の平山の生活に自分を重ねる人も多いのではないか。

もっとみる
村上春樹presents白石加代子の怖いお話「雨月物語」

村上春樹presents白石加代子の怖いお話「雨月物語」

夏の終わりに早稲田大学の村上春樹ライブラリーに寄付した人向けのイベントがあった。メインは白石加代子さんによる朗読の村上春樹さんと白石加代子さんの対談ではあるが、冒頭の村上春樹さんの挨拶が印象に残ったので書き留めておきたい。

村上春樹presents白石加代子の怖いお話「雨月物語」2023年9月28日@早稲田大学 大隈講堂

白石加代子(朗読)/村上春樹(対談)/ロバート キャンベル(解説)/坂本

もっとみる
あえて無計画のススメ

あえて無計画のススメ

「パラサイト 半地下の家族」で、ソン・ガンホ演じる父親役のキム・ギテクは言う。

「絶対に失敗しない計画はなんだと思う?無計画だよ、無計画。ノープランだ」

これは一理あると思った。

世に中の自己啓発本なんかでは、一日のスケジュールを紙に書き出せとか、30年プランを立てろとか、コスパとかタイパとか、やたらと計画や目標を立てることを推奨してくるけれど、実は実際の人生においては上手くいかない事の方が

もっとみる
西荻窪の湯気というメニューがいらない定食屋さん

西荻窪の湯気というメニューがいらない定食屋さん

2022年4月、西荻窪にオープンした小さな定食屋「湯気」さんには、メニューがない。

いや厳密には、壁の黒板とテーブルの上の紙ペラにメニューはあるのだが、選択肢は「今週の定食」だけで、あとは「白ご飯」か「炊き込みご飯」を選ぶことしかできない。

メニューを一つに絞ると、顧客の好き嫌いに対応できないし、週に複数回来店する顧客は捨ててしまうことになる。勇気がいるマーケティングだと思う。それだけ「今週の

もっとみる
あまちゃんのロケ地を巡ると物語をさらに楽しめる

あまちゃんのロケ地を巡ると物語をさらに楽しめる

あまちゃん133回は震災の回だった

小袖海岸の神秘的な風景とは?

海女さんの実演場所を見れば、ウニ漁の大変さがわかる!

現地であまちゃんを体感しすてみよう!

テレビドラマ「あまちゃん」の133回目は、震災をテーマにした回でした。私自身も先週、現地を訪れたばかりで、その光景に心を揺さぶられました。

物語の舞台となる小袖海岸は、久慈から細い道を数キロ進んだ先にある集落です。しかし、久慈へのア

もっとみる
7つの街

7つの街

どの街も不確かな壁に囲まれていた。

わたしは7つの街で働いてきた。まるであちらの街からこちらの街へと旅するように。

昔は街から出ようと考えるものはいなかった。街で与えられた役割をこなしていれば老いるまで比較的幸福に暮らすことができたからだ。街の外に出れば後ろ盾がなくなり、まるで舵を失ったヨットのように大海をさまようことになってしまう。どの街も外に出ると危険だと思い込ませることで世の中の仕組みが

もっとみる
建礼門院に学ぶ落ちぶれ方

建礼門院に学ぶ落ちぶれ方

思ひきや 深山の奥に 住まひして 雲井の月を よそに見んとは (建礼門院)

平清盛の娘、平徳子は、高倉天皇に入内し安徳天皇を産む。しかし、壇ノ浦の戦いで母、安徳天皇とともに入水、徳子だけが生き残る。徳子は京都の大原に送られて出家し、建礼門院の院号を受ける。

2022年6月25日のブラタモリでは、建礼門院が過ごした京都、大原の寂光院が紹介された。大原の地の中でも、山が迫った谷の奥の奥に、ひっそり

もっとみる