Shigeru Matsuo

自己紹介

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最近の記事

【映画感想】オッペンハイマー

公開初日のオッペンハイマーを鑑賞。 科学技術のジレンマ 原子爆弾というかつてない大量破壊兵器が産まれた過程が詳細に描かれる。理論に傾倒していたオッペンハイマーにとって、ピカソやマルクスのような革命的なアイデアを夢見ていたようにも思える。爆弾としての現実が近づくと、「物理学300年の集大成が大量破壊兵器なのか」という問いが重くのしかかる。 賞賛と転落、そして嫉妬 オッペンハイマーの人間的な物語として、賞賛される立場から批判される立場へと転落する過程が描かれる。ありがちで

    • アートフェア東京2024感想メモ

      金曜日の夕方にアートフェア東京に行ってきました。ざっと感想のメモです。 今回もっとも印象に残ったのは、FUMA Contemporary Tokyo。金巻芳俊さん、山田航平さんの作品、素晴らしかったです。 そして、SH GALLERYはさすがです。Backside works.さんの作品が充実。この後のギャラリーで開催される個展にも足を運ぶことになりそうです。 kaikaikikiのMr.さんも目立つ展示。 バルーン🎈が一際目立ったKoichi yamamura ga

      • 【現代アート鑑賞】養蜂と現代アートを考える(團上祐志さん)

        ART FAIR TOKYO 2024を訪問。今年は現地でコレクターの友人たちと落ち合い、ギャラリストやアーチストの方とも会話することもできた。さらには、そのメンバーでフェアを出て、現代アーチストで起業家の團上祐志さんのアトリエを訪問した。 團上さんは、武蔵野美術大学の油絵学科在学中に渡米しニューヨークで展覧会を開催、帰国後に愛媛県の大洲で古民家を活用したアーティストインレジデンスを手がかけられるなど、アートと文化とビジネスの架け橋となる活動をされている。 雑誌Forbe

        • 東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ」

          東京都美術館の「印象派 モネからアメリカへ」を訪問。作品の写真撮影は不可のため、感想のメモだけ。 モネとも交流し、印象派をアメリカに伝えることに貢献したジョン・シンガー・サージェント。肖像画を得意としたそうだが、「キャサリン・チェイス・プラット(1890年 ウスター美術館)」は、ドレスの白が美しくて印象に残った。 アメリカの印象派として代表的なフレデリック・チャイルド・ハッサム。「コロンバス大通り、雨の日(1885年ウスター美術館)」は、雨に濡れた石畳みが特に美しい。フラ

        【映画感想】オッペンハイマー

          PERFECT DAYSのような日常のひとコマの記録20240130

          2024年1月30日、井の頭公園の片隅でフクジュソウが咲いているのを見つけました。 この時期になると、春の訪れを感じます。子どもが幼稚園の頃「二月の庭には福寿草🎵」という唄を歌っていたのを思い出します。 今日、フクジュソウの写真を撮ろうとしたら、ご老人が先にカメラを向けていました。つい私から「今年も咲き始めましたね」と声をかけたところ、ご老人は「そうなんです、一昨日は咲いていなくて、昨日は来られなかった、今日来たら咲いてたんです」と嬉しそうに教えてくれました。よくお顔を見

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          【経営学】入山教授の講演「イノベーション創出への示唆」メモ

          今年も新年の「稲門経済人の集い」に参加。大隈講堂に参集しました。以前に上場企業の子会社の代表取締役を務めていた時にはじめて招待されました。参加者名簿にはそうそうたる大企業の代表が並び、かなり気後れするアウェイの場ですが、少しずつ仲間を増やしながら参加を続けています。 田中総長からのご挨拶、冒頭は能登地震の犠牲者の方に全員で黙祷を捧げました。続いて2032年の創立150周年以後のビジョンについてご紹介。大隈重信が1912年に述べた教旨〜学問の独立、学問の活用、模範国民の造就〜

          【経営学】入山教授の講演「イノベーション創出への示唆」メモ

          PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる

          PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる。トイレ掃除や木漏れ日にワクワクする。毎日のルーチンが大切に思える。 起床から就寝まで、主人公の平山の生活はルーチンでできている。それはミニマリズムでもあり、善の精神であるかもしれない。 自分も、自然の写真を撮ったり、同じ場所で食事をしたりしているが、誰もがルーチンを持っているし、主人公の平山の生活に自分を重ねる人も多いのではないか。 2023年12月22日公開の「PERFECT DAYS」 は、ヴィム・ヴェン

          PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる

          村上春樹presents白石加代子の怖いお話「雨月物語」

          夏の終わりに早稲田大学の村上春樹ライブラリーに寄付した人向けのイベントがあった。メインは白石加代子さんによる朗読の村上春樹さんと白石加代子さんの対談ではあるが、冒頭の村上春樹さんの挨拶が印象に残ったので書き留めておきたい。 村上春樹presents白石加代子の怖いお話「雨月物語」2023年9月28日@早稲田大学 大隈講堂 白石加代子(朗読)/村上春樹(対談)/ロバート キャンベル(解説)/坂本美雨(司会) 村上春樹さんの挨拶要約(記憶ベース) 昨年は演劇博物館の階段で

          村上春樹presents白石加代子の怖いお話「雨月物語」

          あえて無計画のススメ

          「パラサイト 半地下の家族」で、ソン・ガンホ演じる父親役のキム・ギテクは言う。 「絶対に失敗しない計画はなんだと思う?無計画だよ、無計画。ノープランだ」 これは一理あると思った。 世に中の自己啓発本なんかでは、一日のスケジュールを紙に書き出せとか、30年プランを立てろとか、コスパとかタイパとか、やたらと計画や目標を立てることを推奨してくるけれど、実は実際の人生においては上手くいかない事の方が多いのだ。 逆に、計画を立てると、計画が上手くいかなかったり、進捗がよくなかっ

          あえて無計画のススメ

          西荻窪の湯気というメニューがいらない定食屋さん

          2022年4月、西荻窪にオープンした小さな定食屋「湯気」さんには、メニューがない。 いや厳密には、壁の黒板とテーブルの上の紙ペラにメニューはあるのだが、選択肢は「今週の定食」だけで、あとは「白ご飯」か「炊き込みご飯」を選ぶことしかできない。 メニューを一つに絞ると、顧客の好き嫌いに対応できないし、週に複数回来店する顧客は捨ててしまうことになる。勇気がいるマーケティングだと思う。それだけ「今週の定食」自信があるとも言える。 そんな「湯気」さんは、オープンから一年が経ち、開

          西荻窪の湯気というメニューがいらない定食屋さん

          あまちゃんのロケ地を巡ると物語をさらに楽しめる

          あまちゃん133回は震災の回だった 小袖海岸の神秘的な風景とは? 海女さんの実演場所を見れば、ウニ漁の大変さがわかる! 現地であまちゃんを体感しすてみよう! テレビドラマ「あまちゃん」の133回目は、震災をテーマにした回でした。私自身も先週、現地を訪れたばかりで、その光景に心を揺さぶられました。 物語の舞台となる小袖海岸は、久慈から細い道を数キロ進んだ先にある集落です。しかし、久慈へのアクセスは八戸や宮古からでも電車での移動が必要で、小袖海岸へ向かうまでも時間と労力

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          2023年の井の頭、春から夏へ

          2023年の井の頭、春から夏へ

          7つの街

          どの街も不確かな壁に囲まれていた。 わたしは7つの街で働いてきた。まるであちらの街からこちらの街へと旅するように。 昔は街から出ようと考えるものはいなかった。街で与えられた役割をこなしていれば老いるまで比較的幸福に暮らすことができたからだ。街の外に出れば後ろ盾がなくなり、まるで舵を失ったヨットのように大海をさまようことになってしまう。どの街も外に出ると危険だと思い込ませることで世の中の仕組みが成り立っていた。 壁の外の世界を知りたいという思いにかられるまま、わたしは7つ

          建礼門院に学ぶ落ちぶれ方

          思ひきや 深山の奥に 住まひして 雲井の月を よそに見んとは (建礼門院) 平清盛の娘、平徳子は、高倉天皇に入内し安徳天皇を産む。しかし、壇ノ浦の戦いで母、安徳天皇とともに入水、徳子だけが生き残る。徳子は京都の大原に送られて出家し、建礼門院の院号を受ける。 2022年6月25日のブラタモリでは、建礼門院が過ごした京都、大原の寂光院が紹介された。大原の地の中でも、山が迫った谷の奥の奥に、ひっそりと5畳半の部屋で暮らしたという。自然に囲まれたしみじみした場所だった。 焼けて

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          井の頭2020春

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