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【経営学】入山教授の講演「イノベーション創出への示唆」メモ

今年も新年の「稲門経済人の集い」に参加。大隈講堂に参集しました。以前に上場企業の子会社の代表取締役を務めていた時にはじめて招待されました。参加者名簿にはそうそうたる大企業の代表が並び、かなり気後れするアウェイの場ですが、少しずつ仲間を増やしながら参加を続けています。

2024年1月29日大隈講堂で開催された稲門経済人の集い


田中総長からのご挨拶、冒頭は能登地震の犠牲者の方に全員で黙祷を捧げました。続いて2032年の創立150周年以後のビジョンについてご紹介。大隈重信が1912年に述べた教旨〜学問の独立、学問の活用、模範国民の造就〜を元に、グローバル人材が自由に行き来できるようなビジョンが説明されました。

そして今年の講演は、経営学で有名な早稲田ビジネススクールの入山教授(慶應出身ですが早稲田に骨をうずめるそうです)。テーマは「世界の経営学から見る、日本企業イノベーション創出への示唆」。とても学びの多い講演だったので簡単なメモを残します。

雑多とした多様性が土壌となる

11号館のエレベーターは外国人でいっぱい、英語と中国語が飛び交っている。1階のファミマはアルバイトも外国人で、だんだん英語で話すコンビニになってきている。早稲田の多様性、なんでもありな感じは今の時代にマッチしている

日本は大きなチャンスを迎えている

  • 一つ目は、円安、賃金安

  • 二つ目に、デカップリング。中国以外でどこかとなると日本が俄然注目されている。例えば、半導体。北海道はすごいことになっている。ラピダスの千歳に人が集まってその他の企業は人が取れない。

  • 三つ目は、IOTとIOH。これまでは、スマホを窓口にしたインターネット空間がホワイトスペースだった。そこで勝ったのがGAFA。ただそこも飽和しつつある。これからはすべてのモノがネットにつながる。スマホはいっても80億台、モノはその何十倍もある。ものづくりが得意なのは世界でも日本とドイツ。日本のものづくりが再評価される。

不確実性の高まりのなか、変化イノベーションが勝負を分ける

  • なぜ今まで変化しなかったのか。それは「経路依存性」。噛み合っているから変えられない。例えば、ダイバーシティと言いながら、新卒一括採用で終身雇用。評価制度や働き方など、全体を一気に変えるのは難しい。コンフリクトがあるときは取締役の兼任が必要

  • イノベーションの本質は、知と知の組合せ。シュンペーター

  • 両利きの経営。知の探索。知の深化。気を抜くと競争力のワナで知の深化に偏ってしまう。知の探索を続けるのは難しい。

  • イノベーションは模倣から始まる。例えばTSUTAYAと消費者金融。例えばゴーゴーカレー。イノベーションの本質はパクリ。インスパイア。想像力は移動距離に比例する

  • 個人レベルの知の探索。ジョブズは大失敗王。失敗を受け止める組織が必要。評価制度の見直しが重要。例えばSAPはノーレーティングを導入。googleや静岡銀行はOKRを導入。減損を受け入れる。

  • 戦略レベルの知の探索。オープンイノベーションやCVC

  • 組織レベルの知の探索。人材の多様化、ダイバーシティはイノベーションに不可欠

やってはいけないことは、正確な分析に基づいた将来予測

  • センスメイキング理論。絶対にやってはいけないことは、正確な分析に基づいた将来予測。正確性より納得性。

  • 長期ビジョンと従業員の納得が重要。ロングタームオリエンテーション。社長の任期が短いと変革できない

カギはコーポレートガバナンス

  • 日本企業が変わりつつある。バリューアクト、オアシスなど、アクティビストがたくさん来ている。アクティビスト天国。

  • 長期ビジョンと従業員の納得。カギはコーポレートガバナンス。長く社長を任せるが、切るときは切る取締役会。


その後、懇親会での田中総長の挨拶では、スポーツも強くする、青山の駅伝や帝京のラグビーは予算が早稲田の倍という事で、野球やラグビーや駅伝など、フルタイムのコーチがいる部は、倍にはならないものの、予算を増やしたそうです。 

以上です。ありがとうございました。

早稲田大学大学院経営管理研究科・
ビジネススクール 入山教授
稲門経済人の集い 懇親会の様子

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