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PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる

PERFECT DAYSを見ると日常生活がちょっと楽しくなる。トイレ掃除や木漏れ日にワクワクする。毎日のルーチンが大切に思える。

起床から就寝まで、主人公の平山の生活はルーチンでできている。それはミニマリズムでもあり、善の精神であるかもしれない

自分も、自然の写真を撮ったり、同じ場所で食事をしたりしているが、誰もがルーチンを持っているし、主人公の平山の生活に自分を重ねる人も多いのではないか。

いつも散歩している井の頭公園


2023年12月22日公開の「PERFECT DAYS」 は、ヴィム・ヴェンダース監督作品で、主演の役所広司がカンヌの主演男優賞を受賞した。光や色の表現、俯瞰ショットや二人斜め並び等の小津を思わせる構図、ロードムービー的な躍動感と音楽、どれも美しい作品だ

2023年は、宮崎駿、是枝裕和、岩井俊二、ヴィム・ヴェンダース、そして村上春樹の新作が見られるというなかなか稀有な年になった。

ヴィム・ヴェンダースは小津安二郎に影響を受けていると言われる。12月30日、BS4Kで小津安二郎の「東京物語4Kデジタル修復版」が放映されたので、数十年ぶりに見直してみた。ローアングルとアップと俯瞰で構成され、パンも移動もズームもしないカメラ、最小限のBGMとゆっくりした台詞回し、どのシーンにも緊張感が漂う。都会に出た子と地方の両親のギャップ、希薄化する家族関係という今でも通用する設定。どこでもタバコが吸えたり、一間のアパートの暮らしだったり、美容室や病院の様子からは、戦後昭和の暮らしぶりが、ドキュメンタリー映画のようにも観られる。

ドキュメンタリーのような映画、ドラマと言えば、是枝裕和監督を思い出す。さらには、亡くなった山田太一さんを思い出す。12月18日の山田太一氏を追悼するクローズアップ現代で、是枝監督は山田太一脚本のルールとして、「決して英雄は描かない、安易な成長を描かない、何かが努力で克服される事態を極力避ける、それでいてその人たちを決して否定しない」と解説した。

「PERFECT DAYS」も、雑誌「SWITCH Vol.41 特集 すばらしき映画人生! ヴィム・ヴェンダースの世界へ」を読むと、ドキュメンタリー的に撮られた事が分かる。

ヴィム・ヴェンダースの世界、小津安二郎の世界、山田太一の世界、是枝裕和の世界がちょっとつながってみえた2023年12月だった。

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