西荻窪の湯気というメニューがいらない定食屋さん
2022年4月、西荻窪にオープンした小さな定食屋「湯気」さんには、メニューがない。
いや厳密には、壁の黒板とテーブルの上の紙ペラにメニューはあるのだが、選択肢は「今週の定食」だけで、あとは「白ご飯」か「炊き込みご飯」を選ぶことしかできない。
メニューを一つに絞ると、顧客の好き嫌いに対応できないし、週に複数回来店する顧客は捨ててしまうことになる。勇気がいるマーケティングだと思う。それだけ「今週の定食」自信があるとも言える。
そんな「湯気」さんは、オープンから一年が経ち、開店時間前に行列ができる人気店となった。毎日、開店時間で入りきれずに待ちが出るほどだ。
いったい「湯気」さんの何がそれだけ人を惹きつけるのか。
実は、「湯気」さんの「今週の定食」は、開店以来一度もメニューが被っていない。一年以上、毎週毎週、新しいメニューの定食が出されているのだ。
しかも、そのどれもがいわゆる定食屋の水準を超えている。出汁がこの上ない美味で、季節の旬の食材が使われ、まるで料亭のまかないのように感じられる(私は料亭のまかないを食べた今年はないのだが)。
七夕の週に七夕汁が出されたのには感動したし、夏の冷や汁も新鮮だった。
レパートリーは和食をベースにしつつ、和洋アジアと幅広い。夏の暑い週には、なぜか「カオマンガイ」が出されて驚いたが、完全に和食だった。実に多彩なレパートリーである。
毎週通っていると、今週はこんなメニューで来たか!なるほど!と、店主のお二人との駆け引きのように思えてくる。最初の一年は、お二人だけでお店を切り盛りされていたが、お店の運営だけでも大変なのにいつメニューを考えているのだろう。
ほぼ毎週通っているので写真は上げきれないほどある。なにせ一年以上、毎週、新たなメニューを出されているから。
「湯気」さんのある西荻窪の街は、チェーン店が少なく、さまざまな個人店個性を競っている。どのお店も店主の皆さまの創意工夫が感じられる。
自分は飲食業をやっている訳ではないが、ランチをいただくだけで、インスピレーションやモチベーションの源となっている。
追記
※新たなメニューの写真を追加していきます
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