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映画ラブ

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素人の映画感想文的な何かです。
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#ドラマ

ドラマ『両刃の斧』

ドラマ『両刃の斧』

 私自身は通報した経験が無いが、電話の向こうではこう言うらしい。
「事件ですか、事故ですか。何がありましたか?」
 人が死んでいるのを発見した時に、冷静に判断して説明することなど出来るものだろうか。

 一人暮らしを始めた娘をストーカーに殺された刑事。目撃証言から容疑者の似顔絵が作られる。男はその容貌から、ラクダ男と呼ばれた。
 しかし彼の現役刑事の時代には容疑者逮捕には至らず、後輩の刑事に託され

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Netflixドラマ『殺人者のパラドックス』

Netflixドラマ『殺人者のパラドックス』

 イ・タン。兵役あがりの大学生だ。学校には通っているものの将来に希望が持てず、なんとなく夜のコンビニでバイトをしているだけの平凡な青年。カナダにワーキングホリデーに行こうかと計画していた矢先、そんな彼に降りかかる運命は殺人者という残酷なもの。偶発的に起きてしまった事故ではあったが怖くなって現場から逃げ出してしまう。被害者が当日、イ・タンがバイトしているコンビニに立ち寄っていたことから、彼も事情聴取

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映画かドラマか

映画かドラマか

 映画かドラマかで言えば私は断然映画派だ。なぜだろうかと考えてみると、ドラマよりも映画の方が非日常感があるからだと思う。話の舞台設定だけを見てもドラマは日常に近いところにある。時代劇にしても頭の中で変換されるのか、あまり非日常感を抱かない。来週につづくというのも、日常と並走している様な錯覚を生むというか、日常のスケジュールに組み込まれる感覚がある。もっともこれは、日本のテレビドラマの場合だ。

 

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Netflixドラマ『逆上』

Netflixドラマ『逆上』

 あなたが怒りに駆られることのない人だとすれば、きっと親に感謝した方が良い。
 私を始めとした多くの人は、しばしば怒りに振り回される事がある。それは代々受け継がれる呪いの様なものだ。

 自分の車の前に脇道から別の車が入っていただけで逆上する様な人の何と多いことか。
 怒りという衝動は不思議だ。人間社会にとって決してプラスに働くことのないものなのに進化の過程で篩い落とされなかったのだ。今でも持ち合

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Netflixドラマ『トラベラーズ』

Netflixドラマ『トラベラーズ』

 もし未来の使者がやって来て人類を滅亡から救ってくれたとしたら。
 そんな設定のドラマだ。

 未来からやってくる人々は自らをトラベラーと呼ぶ。

 トラベラーがやって来る舞台となるのは現代だ。現代から見た未来の行く末を微妙に修正することが彼らの使命であるから、現代に生きる人々にとっては何かが変わる訳では無い。
 逆にトラベラー視点で言えば自分たちの現在を変えるために過去にやって来ていることになる

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ドラマ『夜がどれほど暗くても』

ドラマ『夜がどれほど暗くても』

 程度の差こそあれ、人は誰でも何かに巻き込まれている。それと同時に人を巻き込んでいる。

 意図せず不幸の渦中に放り込まれる人もいれば、使命が如くに人を不幸に落とし込む場合もある。一面では人を助ける善意も、逆さから見れば悪意にしか思えないこともある。

 私たちの視野の中には問題事しか無いのが普通だ。どんなに幸せに見える人々でも、全く問題が無いことはない。皆解決しなければならない何かに直面している

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ドラマ『ミセン-未生-』

ドラマ『ミセン-未生-』

 2014年のドラマだから今さらではある。
 でも出会ってしまったのだから仕方がない。

 持たざるものの成功への軌跡みたいな話はドラマや映画に良くあるプロットだが、このドラマは少し違う。かなり違う。
 そうしたドラマでフォーカスされているのは主人公の人生で、成功するのも主人公だ。その点がこのドラマは違っている。
 このドラマの本当の主人公はあなた自身なのだ。

 だから、あらすじを聞いただけで見

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Netflix他『ある日〜真実のベール』

Netflix他『ある日〜真実のベール』

 人間の思い描く未来予測は裏切られることの方が多いのが常だろう。私たちは過去から未来へという勝手な時間軸を想定し、因果関係なる連続性をそこに当て嵌める事で、これから起こるであろう事をまるで真実かの様に創造(想像)する。
 しかし、ある人にとっての当たり前が他の人にとってはそうで無い様に、あなたにとっての真実は決して普遍的なものではない。だから、安易に未来を決め付けない方が身の為だ。

 ごく普通の

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Netflix『サルベーション』

Netflix『サルベーション』

 数カ月後に地球に巨大な小惑星が衝突する。
 誰がどうやって人類を救うのか。

 使い尽くされた舞台設定だが、人類の存亡に関わるほどの自然の危機と言えば氷河期の襲来か隕石衝突だろう。
 他にも似た舞台設定としては巨大地震や火山の噴火、ハリケーン、トルネード、そして津波や洪水が挙げられるが、災害規模としては小惑星衝突を超えるインパクトを持つものは無い。

 小惑星が地球に衝突することは空想だけの話と

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Netflix『離婚しようよ』

Netflix『離婚しようよ』

 題名だけ見て夫婦間のシリアスな話だと思ったが良い意味で裏切られた。

 難しく考えなければ、結婚は役所に紙を提出するだけのことだ。ところが離婚となると時には双方で弁護士まで入れる必要があるほどややこしい話になる。もっとも、手続き上は離婚も紙一枚の話ではあるのだが。

 どうして結婚したのか。
 振り返ろうとしても思い出せないこともある。

 どうして別れることになったのか。
 結婚しようと思った

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Amazon Prime Videoと、Netflixと(U-NEXTと)

Amazon Prime Videoと、Netflixと(U-NEXTと)

 自分に向いているのはどれかお探しの方は、動画サブスクの比較をしているサイトは様々あるので、そちらを御覧ください。
 ここでは私の個人的な感想を記しておきたいと思います。

 私が現在契約している動画サブスクはAmazon Prime Video(アマプラ)とNetflix(ネトフリ)。

Amazon Prime Videoの印象 アマプラはアマゾンで書籍を購入していた時代に送料無料を当て込んで

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Netflix『マニフェスト』

Netflix『マニフェスト』

 長かった。
 シーズン4、全62話。
 この程度の長さはアメリカのドラマとして稀ではなく特別に長い訳では無い。
 では、何が長かったのか。
 長かったと言えるのは、この結末が最初から用意されていて、そこまでの道のりも全て整えられていたとした場合の話だ。

 これが普通のテレビドラマだったら、取り敢えずシーズン1から始めて評判が良ければ次のシーズンという風に拡張していくのだと思う。そうなるとどうし

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NETFLIX『THE DAYS』

NETFLIX『THE DAYS』

 わたしたちの平和な毎日があるのは、いろんな誰かのお陰だと分かっているつもりで生きている。
 だからと言って、小腹がすいてつまんだナッツを誰が育て、誰が運び、誰が加工して、最終的に我が家に運ばれて私が口にするまでの間にどんな人々が関わったのか具体的なことは何も知らない。私の生活を支えてくれている人々のうち、顔が見えているのは、ほんの僅かな人たちだけだ。
 それは都市や社会が複雑化したからだし、便利

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Netflix『サンクチュアリ -聖域-』

Netflix『サンクチュアリ -聖域-』

 サンクチュアリ。法律の力の及ばない聖域。

 コンプライアンスやハラスメントが強く叫ばれている現代では、仕来りや伝統を重んじる世界が槍玉に挙げられがちだ。もちろん法令遵守は当たり前だし、ハラスメントがあってはならないが、これらの用語はその守備範囲の広さから拡大解釈される危険性も孕んでいる。
 閉鎖的な世界で生じ易い様々な問題ごとと、伝統的なルールや方法論の問題は分けて考えるべきで、「古臭い考え方

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