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蛸文(たこふみ)の読書記録

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僕の読書記録です。月に3〜4冊ぐらいのペースで更新してます。
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#科学

【ヒトの目、脅威の進化】ヒトの目の進化に関する新しい説

【ヒトの目、脅威の進化】ヒトの目の進化に関する新しい説

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜ヒトの目に関する新たな視点〜本書はヒトの目に関する本である。
ヒトの目に関する新たな説を提唱しており、非常に知的好奇心がくすぐられる一作であった。

冒頭から、「ヒトの目には、人の心を読み取る力、透視する力、未来予知する力、霊読する力がある!」というとんでもない話からスタートするのだが、読み進めていくうちに、ヒト自身が気づいていないヒトの目の能力に驚きを隠せ

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【培養肉とは何か?】最先端技術の課題とは?

【培養肉とは何か?】最先端技術の課題とは?

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜肉の未来〜世界の人口がどんどん増えていき、数十年後の食糧不足の危機が叫ばれる一方で、畜産が地球環境に及ぼす影響も指摘されており、板挟みの状態となっている"肉"の存在。

そんな肉に関する諸問題を解決するために、大豆からとれる植物性タンパク質を利用した肉のようなものを生成したり、昆虫を肉のように加工したもの、などの代替肉を作り出す研究は世界各地で実施されている

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【銀河の片隅で科学夜話】詩的で叙情的な科学エッセイ

【銀河の片隅で科学夜話】詩的で叙情的な科学エッセイ

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜文章が素晴らしい〜本書は科学に関するエッセイである。著者の全卓樹さんも量子力学、数理物理学、社会物理学を専攻する理系の大学教授である。

大学教授の書く本なんて、いかにも堅苦しそうな印象を受けるのだが、意外や意外、その暖かくて優しい文章に感銘を受けた。
科学の面白さを伝えると同時に、そのゆったりとした文章は堅苦しさなどほとんど感じられず、リラックスしながら

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【学生との対話】問うことの重要性

【学生との対話】問うことの重要性

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜学ぶ意義、学問の意義〜先日読んだ岡潔さんとの対談「人間の建設」でその存在を知った小林秀雄さん。

岡潔さんと小林秀雄さんに共通する考え方は、学問は知識ではなく精神を高めるものである、という点だ。

学問は人間が幸福になるために存在し、自分の血肉とするためには心から精神から理解しようと努めなければいけない。
学問の先にあるのは人間の存在で、人間のために学問を

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【多様性の科学】「集合知」をさらに深く掘り下げる

【多様性の科学】「集合知」をさらに深く掘り下げる

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜認知的多様性を科学する〜「多様性の科学」と日本語版のタイトルが付けられているが、原題は「The Power of Diverse Thinking」。直訳すると、「多様な思考の力」である。
「多様性」という言葉は今だと、「人種・年齢・性別・能力・価値観などさまざまな違いを持った人々が組織や集団において共存している状態」を指す「ダイバーシティ」の日本語直訳の意

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【不確かな医学】不完全な情報から適切な判断を下す

【不確かな医学】不完全な情報から適切な判断を下す

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜「もっとも未熟な科学」〜
以前読んであまりにも面白かった「遺伝子 -親密なる人類史-」の著者、シッダールタ・ムカジー氏のTEDトーク(あらゆる分野のエキスパートたちによるプレゼンテーションを無料で視聴できる動画配信サービスのこと)をもとにした本書。

本作のテーマは、情報、不完全さ、不確かさ、医学の未来である。
医療の現場で積み重ねてきた経験から、著者は冒頭

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【遺伝子 -親密なる人類史-】人類は科学の力で得られるものを選択しなければいけない

【遺伝子 -親密なる人類史-】人類は科学の力で得られるものを選択しなければいけない

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜人類の必読書〜遺伝子、とは何か?
親から子への遺伝情報を担う因子である。

僕個人としては、遺伝子やDNAという言葉に対して、あらゆる科学の中でも特にとっつきにくいと思っていた分野の話だと感じていた。
ITなどの情報技術系の話は大学の頃に少しかじっているのでなんとなく分かる。ハイパーループ(高速輸送システム)のような物理学的な話も、目に見える形で理解しやす

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