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科学と教育に革新をもたらしたレイチェル・カーソン

産業革命以来、人類は長らく科学の圧倒的な力を信じてきたように思う。2つの世界大戦で恐るべき兵器が開発されてもなお、「それを善用すれば人類は無限に発展できる」と信じる人が大半だったようだ。月面に人類が到達したあたりが、科学への信頼が最高潮に達したときのように思う。しかし。

現代に生きる私達の多くが、安易に科学の力を信用していいか、疑うようになっている。いいことばかり言う技術には裏があるのでは?と慎

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染み付いたデフレ脳と円安騒ぎを長期目線で考える

染み付いたデフレ脳と円安騒ぎを長期目線で考える

円安が急進してメディアは大騒ぎ。

1990年前後以来の円安で、当時はハワイに皆がいけるくらい景気が良かったけど、今やハワイに行けない、とかあれこれゴタゴタいっていますね。円高になっても日本から製造業が抜けていくと大騒ぎ、円安になっても物価があがって大変と大騒ぎ、何をやっても批判をする姿勢に付き合っていると危険だと思いますね。

◯ ドル円相場と消費意欲ぐっちーさんが生きていたらまさにこの手の話を

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消滅可能性都市のウソ、消えるのは地方ではなく「地方自治体」である。2024年度版

消滅可能性都市のウソ、消えるのは地方ではなく「地方自治体」である。2024年度版

地方創生が始まる契機となった増田レポートと似たようなレポートが出て話題になっています。10年間で何を学んでいたのかと首を傾げます。まぁ再計算しただけ、ということですが、これを出して自治体に警告しても意味はないのです。その理由について以下で解説しておきます。

そもそも10年前にも解説しましたが、人口が減って再生産ではなくなっても、日本の場合には市町村合併など行政組織を改変して対応していくことで、い

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サンドバッグおじさん

サンドバッグおじさん

サンドバックおじさんをご存知だろうか?

サンドバックおじさんとは弱みを見せたがばかりに女々しい棒でボコボコにされるおじさんのことだ。彼らは職場や家庭での不遇に苦しみ、軽い気持ちでその愚痴をSNSに投稿したことがきっかけでどこからか大挙してきた”女々しい棒”を持った集団にリンチを受けることになる。X(ツイッター)にも夫婦の諍いや育児の不満を投稿してしまったばかりに『女々しい男め!SNSでコソコソ愚

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書評『トランスジェンダーになりたい少女たち』

書評『トランスジェンダーになりたい少女たち』

本稿はKADOKAWAの出版停止や脅迫による書店取り扱い中止などで話題となっている書籍、『トランスジェンダーになりたがる少女たち』の内容面に対する紹介と書評である。

出版停止や書店取り扱い中止に対する論評は既に多く出回っているが、肝心要の本の内容についてくわしい論評はないに等しい。書籍とはテクストの集合体であり、であるからにはテクストに準拠した批評が最も重要であることは論を待たない。本の「内容」

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(右翼さん以外のための)『川口市のクルド人問題』まとめ

(右翼さん以外のための)『川口市のクルド人問題』まとめ

(お知らせ)
この記事が要約版xポスト(Twitter)で290万ビューになるほど読まれて、川口市議と市民の皆さんの集まりに参加してお話を聞いてきました。その続編は以下リンクからどうぞ



埼玉県蕨市と川口市周辺に集住しているクルド人と現地住民との間の軋轢はSNSでも度々話題になっていますが、先日蕨駅前の外国人排斥デモに対してクルド人群衆の一人が「日本人●ね!」と叫んだという動画(ただし諸説あ

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13年目──震災の記憶は消えようとしている (Oisixやれいわ新選組など)

13年目──震災の記憶は消えようとしている (Oisixやれいわ新選組など)

加藤文宏

はじめに 東日本大震災について話をしているとき、「それは知らない」と言われる話題がとても増えた。
 津波の被害を受けた沿岸部を行脚した若い仏僧を、新聞とテレビだけでなくネットメディアも報じたが、ある人は「知らない」と途方に暮れ、別の人は「忘れたかもしれない」と視線が宙を泳いだ。福島第一原発で水素爆発が発生したのは何月何日だったか、それは一度きりのできごとだったのか、複数の建屋で発生した

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「被災したので原稿待ってください」

「被災したので原稿待ってください」

令和6年能登半島地震の記録マンガです。

:地元の七尾に帰省中に大地震に遭いました。
自分も家族も無事です。心配して連絡くれた方、本当にありがとう!

:それにしても人生で「被災したので原稿待ってください!」と言うことになるとは思いませんでした。七尾にいたのは地震発生から24時間足らずでしたが、鮮度の高いうちにその1日のことを記録しました。

・自分のための記録なのでマンガとしての見せ場には乏しい

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自分を責めるのではなく、自分を面白がる

自分で一歩を踏み出さなきゃいけない、それはわかっちゃいるけどそれができない、とお悩みの方は多い。
私は思う。それはあなたがマジメ過ぎるから。自分を責め続け、攻撃し続けるから、と。

一歩を出す気力が湧かない人は、私の見るところ、マジメな人が多い。そして、自分で自分にムチ打ってる。「怠け者!動け!働け!この人間のクズめ!」と。
この様子は、「フランダースの犬」パトラッシュに似ている。パトラッシュはネ

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ノブレス・オブリージュの消長

「以前はノブレス・オブリージュ(恵まれた境遇の人間が、恵まれない人のために社会に還元しようという志)ということをよく言ってたのに、いつの間にか言わなくなってしまった」と知人が。
恐らく、大きな原因は竹中平蔵氏をはじめとする新自由主義の影響だろう。

竹中氏は「これからは競争社会、努力し能力のあるものは恵まれ、努力しないものは蹴落とされる。これは国際社会では常識、グローバル化の流れは誰にも止められな

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旧統一教会に味方が現れなかった これだけの理由

旧統一教会に味方が現れなかった これだけの理由

加藤文宏

世俗と宗教 宗教の価値観と、世俗の価値観は違う。
 たとえばキリスト教(など一神教)では、神に身を委ね、自分のやりたいことを捨てて、神の望むことを行うのが信仰とされる。だが自分のやりたいことを捨てるなんて、何のために生きているのかと世俗では考えられる。
 目の前に真顔で「神に身を委ねる」と言う人がいたら、日本人の多くが「おかしなやつだ」と思うだろう。だがキリスト教の信仰が根付いた国また

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報道は何を意図して何を伝えたのか◇統一教会追及報道をデータで振り返る

報道は何を意図して何を伝えたのか◇統一教会追及報道をデータで振り返る

加藤文宏

本稿は、2024年1月20日に開催されたシンポジウム[報道はなぜ「暴走」したのか ジャーナリストによる徹底検証「旧統一教会報道」]から、加藤の発表(書き起こし)を全図版とともに紹介する。
誤記などがあった場合、内容を更新する場合があります。

石川県の危機管理アドバイザー・室崎益輝は煉獄コロアキを量産したいのか。あるいは「早期一斉投入」が致命的選択であった戦慄すべき理由。

石川県の危機管理アドバイザー・室崎益輝は煉獄コロアキを量産したいのか。あるいは「早期一斉投入」が致命的選択であった戦慄すべき理由。


はじめに石川県災害危機管理アドバイザーに対して、全力で反論する

1月1日に起きた能登半島地震で、石川県や馳浩知事は、「能登への不要不急の移動は避けて欲しい」というメッセージをたびたび出しています。

それに対して、左派クラスタからは、「石川に来るなというのはおかしい」(誰もそんなことは言ってない)・「政府は被災者を見捨てようとしている」「何かを隠蔽しようとしている」といった類の言動が蔓延してい

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改めて問われている「撤退の農村計画」のリアル〜部外者が是非を議論しなくても良い、生活者による合理的選択〜

改めて問われている「撤退の農村計画」のリアル〜部外者が是非を議論しなくても良い、生活者による合理的選択〜

能登地震からの流れで、復興の際に集落の集約を行うべきでないかというテーマでxがもりあがり、集落撤退論などについても触れられるようになっています。まぁ中には田舎の人間をすべて都会に引っ越せというのか、という勘違いしている極端な話も多くてうーむという感じです。

そもそもとして、そのような集落集約の是非を問う議論はもう既にコンパクトシティ論が出てくる2000年代には一度もりあがり、さらに農村計画におい

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