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建築

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#安藤忠雄

【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

建築家安藤忠雄氏の名目的なデビュー作が『住吉の長屋』である

1976年に完成したこの『住吉の長屋』を武器にこれまで世界中で闘ってきたと言っても過言ではない

安藤忠雄氏の建築の精神は、先日取り上げた『表参道ヒルズ』もすべて、遡れば『住吉の長屋』に繋がっている

『住吉の長屋』はその名の通り、大阪の住吉大社のすぐ近くに位置する
私は今から18年前の学生時代に『住吉』という地名だけを頼りに探し回り実

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【architecture】表参道ヒルズ③|安藤忠雄

表参道ヒルズには住人がいることをご存知だろうか

建物の上層階は集合住宅となっている
近くの歩道橋や道路の反対側から眺めるとよくわかる

元々の地権者のための住居と賃貸が38戸ある
よく見ると表参道沿いにしっかり住人用のエントランスがあり郵便ポストもあるのだ
こんな一等地に住めるとは、なんて贅沢なことかと思ってしまう

しかし、それはかつてここが同潤会アパートであったことの名残りである

かくして

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【architecture】表参道ヒルズ①|安藤忠雄

【architecture】表参道ヒルズ①|安藤忠雄

1923年9月1日11時58分32秒
関東大震災がおこった
死者行方不明者10万5000人の大惨事であった

9月1日はこの大惨事を忘れないために今もって『防災の日』とされ、災害に備えることを再確認する日とされている

当時木造住宅が主流であった東京において関東大震災以降地震や火に強い鉄筋コンクリート造の建築が求められた

そこで発足したのが『同潤会』である
安全安心な住宅の供給を目標に東京・横浜

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【architecture】GALLERIA[akka]|安藤忠雄

【architecture】GALLERIA[akka]|安藤忠雄

大阪ミナミの繁華街にひっそりと主張するでもなく静かにこの建築は建っている

時はバブル真っ只中の1988年に完成した商業建築だ
建築家安藤忠雄氏は今でこそ大規模な美術館や公共建築を手がけているが、この頃は小さな商業建築にコミュニティの可能性を見出そうと多くの商業建築を設計している

その中でもとりわけ秀逸なのがGALLERIA[akka]である

(外観写真はこちらのHPより引用)

間口8m奥行

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【architecture】国際子ども図書館|安藤忠雄

【architecture】国際子ども図書館|安藤忠雄

度々私のnoteで紹介されて頂いている建築家の安藤忠雄氏

国内から海外までつくってきた建築の数は多い

数を打つタイプの建築家でこれは仕事に飢えている証拠だろう

建築家の中には数より質を優先してあまり数に拘らない方もいる

安藤氏は数も質もこだわる建築家と言える
今では全国津々浦々で安藤建築を見ることができる

そんな安藤氏であるが、安藤氏の建築で一際優れていると思う建築は『リノベーション』で

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【architect】谷口吉生に学ぶ

【architect】谷口吉生に学ぶ

谷口吉生氏という建築家をご存知だろうか?

建築を生業としている者として「谷口吉生氏をごぞんじだろうか?」などと容易く口にしてはいけないような、日本を代表する大御所の建築家である

これまた巨匠建築家である故谷口吉郎氏を父親とするサラブレッドでもある

以前私のnoteでも実作を紹介させて頂いたことがある

上野にある法隆寺宝物館

金沢にある鈴木大拙館

今回は新たに2014年に完成した
『京都

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【architecture】光の教会④|安藤忠雄

【architecture】光の教会④|安藤忠雄

教会完成から10年後、教会の隣の敷地で新たな建築の話が持ち上がった
もちろん選ばれた建築家は安藤忠雄である

『日曜学校』と名付けられたこのホールは教会の増築という形でつくられた

教会がストイックな祈りの場であるのに対して、日曜学校は信者さんやそのお子さんが一緒に学んだりコミュニケーションを取る場である

コンクリートの打ち放しではあるが木が多用され明るく優しい空間である

ここで教会という場に

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【architecture】光の教会③|安藤忠雄

【architecture】光の教会③|安藤忠雄

前回までの記事はこちら↓

教会は完成した
少しこの建築に秘められた設計意図を私なりにまとめてみようと思う

(資料は下記のHPより引用)

まずこの建築の肝は正面の十字の切り込みである
(図面の①のところ)
それであれば箱に切り込みさえあれば表現はできる
ではL字型の壁がなぜ貫通しているのか…

ひとつは光の調節である
恐らく法律上の採光を確保することと最低限の明かりをいわゆる窓を設けることなく

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【architecture】光の教会②|安藤忠雄

【architecture】光の教会②|安藤忠雄

前回の続きである(前編はこちら↓)

基本設計がまとまり、具体的な詳細設計に入ると単純な箱のはずの設計は困難を極めた

正面にある十字の切り込み
この建築の肝である

一見単純だが切り込みにより構造的には切り込みから上の壁は浮いたことになる
その浮いた壁を支えるためにこの壁の中に大量の鉄筋が埋め込まれているのだ

コンクリートは型枠の中に鉄筋があり、そこにコンクリートの塊を流し込むことでできる

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【architecture】光の教会①|安藤忠雄

【architecture】光の教会①|安藤忠雄

ところで、建築家の選択として、あなたがベストだと思うけれど、条件として、われわれにはお金がなない。したがって、これもあなたに頼むのが適当だという理由である

時は1987年。
はじめて建築家安藤忠雄の元に教会建設の依頼に訪れた施主は、建築家にこのように話した

かつて、織田裕二と財前直見が出演したドラマ『お金がない』はトレンディドラマ全盛期にヒットした

建築家の選定に『お金がない』からという理由

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【architecture】ベネッセハウス|安藤忠雄

かつて、ここは製錬所の煙害によりハゲ山と化した島だった

このハゲ山をアートの力で世界中の人が訪れる島に生まれ変える

ひとりの熱狂が世界から注目される魅力ある島をつくりだした

直島は瀬戸内海に浮かぶ小さな島である
この島を世界的に有名なアートの島として生まれ変わらせたのが、ベネッセコーポレーションの創業者の福武總一郎氏である
そして、その建築の設計を担ったのが建築家の安藤忠雄氏である

計画の

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【architecture】21_21 DESIGN SIGHT|安藤忠雄

【architecture】21_21 DESIGN SIGHT|安藤忠雄

昨日のnoteで取り上げた三宅一生氏主催の21_21 DESIGN SIGHTは安藤忠雄氏の設計である

2007年に六本木の東京ミッドタウンに誕生した

超高層ビルの足元に広がる緑の広場に埋設するように延床面積の約8割が地下に埋めまれた建築だ

建物のコンセプトは三宅一生氏のテーマである『一枚の布』をイメージしている

三角形の大きな鉄板の屋根が建物を被せられている

この鉄板は長さが約54m(

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【architecture】東京アートミュージアム|安藤忠雄

【architecture】東京アートミュージアム|安藤忠雄

一切の無駄を排した空間に光だけが差し込む建築

建築家の安藤忠雄氏が2004年に東京都調布市仙川に完成させた小さなミュージアムである

甲州街道に繋がる新たに完成する幹線道路により、三角形や台形、細長いといった不整形な土地が道路沿いに出来てしまった

そこで地域から依頼を受けた安藤忠雄氏は不整形な土地を活かすように沿道に商業施設や劇場、共同住宅、保育園などを設計した

ひとりの建築家がこれほど一体

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【architecture】大山崎山荘美術館|安藤忠雄

【architecture】大山崎山荘美術館|安藤忠雄

京都でも大阪との境に位置する山崎に安藤忠雄氏によって増改築された美術館がある

元々は大正から昭和にかけて建設された英国風の山荘であったが、所有者が亡くなり、転売をされるようになるなか建物が老朽化したこともあり、京都府と大山崎町からの依頼によりアサヒビールが行政と連携をとりながら保存改修を行った。そして1996年に安藤忠雄氏の設計で大山崎山荘美術館として蘇った

今となってはイタリアなど改修を手掛

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