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日々のエッセイ

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2019年から湖畔暮らし。自然、ヤギ、トリ、仕事、考え事の日々。
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#ライフスタイル

ミモザの花束と春のお告げ

ミモザの花束と春のお告げ

先日、近所で仲良くしてもらっている素敵なご夫妻から、ミモザの花束をいただいた。この土地へやってきてから、毎年のようにお裾分けしてもらっている。

ご自宅にミモザの木があるそうで、私もお邪魔した際に実物を見させてもらったことがある。それは立派な木で、両手を広げても全然足りないくらいの大きさだった。

ミモザは黄色くて小さな可憐な花と、細かい葉をいくつも付けているのが特徴。毎年ミモザをもらうまでは知ら

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灯油ストウブの匂いと混沌と

灯油ストウブの匂いと混沌と

この2月は、個人事業の季節外れな繁忙期だった。文字どおり目が回る忙しさだった(この感じは3月初まで続く予定のため、まだ終わっていない)。

宿にはお客さんがたくさん入り、執筆ではご縁のあるメディアさんから多数依頼が入り、赤ちゃんもどんどん成長し遊びのレベルが上がっている。特に執筆については、今月は一体何万文字書いたのかわからないほど、タイピングしまくっていた気がする。

そんなわけでとにかく一分一

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散りばめた星々と白の吐息

散りばめた星々と白の吐息

冬は星がきれいだ。空気が冷たくて、澄んでいて、星がきれいなのを知っているから、つい顔を上げて夜空を見てしまう。

私が暮らす町は長野県の阿智村みたいに「星の町」として有名なわけではないし、自分で言うのも気が引けるけど、本当に星がきれい。これまで見た中で一番印象的だったのは上高地の星空だったけれど、最近は自宅から見る冬の夜空はそれと同じくらいのインパクトがあると思っている。

夜ちょっと庭に出て、散

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渡り鳥の群れと朝の色

渡り鳥の群れと朝の色

年が明けてからすぐ、とある作業のために1年以上ぶりにひとりでお気に入りのカフェへ行った。プリペイドカードに残高がいくら残されているのかも忘れていたほど、久しぶりだ。

昨年は一年のうちのほとんどが妊婦生活だったから、前半はつわりで具合が悪いことが多かったし、後半はなるべく自宅で過ごしていたし、赤ちゃんが生まれてからは一日が一秒のような速さで過ぎていったから、とてもカフェに行く余裕はなかった。

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好きな食べ物と思い出の繋がり

好きな食べ物と思い出の繋がり

「好きな食べ物は何ですか?」

食いしん坊でグルメ好きな私は、この質問に簡単に答えられない。もしかすると聞かれて一番困る質問かもしれない。好きな食べ物なんてありすぎて無限大だ(笑)

しかし、ひとつだけ特別な食べ物がある。

それは、あんこだ。

煮小豆としてそのまま食べるのも好きだし、お汁粉やおはぎなど和菓子としてあしらわれているのも好き。ヨーグルトやトーストのトッピングにするなど、少し変わった

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庭にはニワトリがいる世界

庭にはニワトリがいる世界

今年の春に生まれたニワトリが、ついに卵を産んでくれた。

その日は突然にやってきた。

ある日の明け方、7羽のニワトリたちがものすごい鳴き声を出していたため、事件かと思い急いで小屋へ駆けつけた。するとそこには、水をたくさん飲むメス鶏のいつちゃんと、ひとつの卵があった。

いつちゃんが卵を産んだらしいことは、すぐに分かった。生後173日目のことだった。

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いつちゃんが卵を産んで思ったことは

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魔法の褒め言葉

魔法の褒め言葉

誰もがきっと「他者に言われて嬉しい褒め言葉」を持っていると思う。

褒め言葉にはいろいろある。

優しい、気が利く、いつも明るいなど、内面を指したもの。または、かっこいい、かわいいなど、見た目に関するものもあり得そう。あるいは、その人にしか分からないピンポイントな表現という可能性もある。

いずれにしても、他者から特定の褒め言葉をもらえたときは嬉しいものだ。関係性の深い浅いを問わず、たったその一言

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ニワトリの反抗期と親の気持ち

ニワトリの反抗期と親の気持ち

飼っている7羽のニワトリのうち、1羽が反抗期を迎えている。

その子は一番に安産で生まれて、一番かわいがってきて、一番なつっこい子だったから大ショック(笑)

(笑)なんて言っているけれど、本当は反抗期がきたと飲み込むまでにかなり時間がかかった。涙もぽろぽろ出た。数日は寂しさと、裏切られた気持ちをズルズルひきずった。

ニワトリのお母さんである私は、育児ならぬ「育鶏」に絶賛お悩み中だ。

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ヤギとニワトリと憧れのピクニック

ヤギとニワトリと憧れのピクニック

暑くもなく寒くもない、11月のある日の午後。

いつものように庭に出て、ヤギとニワトリたちと遊んでいた。とても気持ちが良い天気だった。青く澄んだ空は、ずっと見上げていたい色をしている。

この日は少し特別だった。

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ニワトリは水浴びをしない代わりに、砂浴びをする習性がある。腐葉土のように少し冷たく、しっとりサラサラした土が好きみたいだ。この日もそんな絶妙なスポットを勝手に見つけては楽しそ

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一日一柿の収穫

一日一柿の収穫

庭中にキンモクセイの香りが漂う季節になった。

洗濯物を干す朝、ひよこのお散歩が始まる昼過ぎ、ヤギを小屋へ戻す夕方。どの時間帯でもキンモクセイの存在を感じられる。わが家だけでなく、近所の多くのご家庭でキンモクセイの木が橙色をして賑わっている。

そんな秋真っ盛りの最近、毎日とても楽しみにしていることがある。

それが、庭にある柿の木から一日一個の柿を収穫することだ。

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いま暮らしている古

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目覚ましになる果物たち

目覚ましになる果物たち

朝ごはんに楽しみなものがあると、前夜からわくわくする。

寝る直前に翌日のスケジュールを考えるのと同時に、まずは朝ごはんに食べるものを想像する。そうすると、不思議なことにそれだけで気持ちが明るくなり、良い眠りにつけることがしばしばある。

なんなら寝る直前と言わず、夜ごはんを食べている段階で翌朝のことを考えると、夜の食べ過ぎを防ぐこともできる。朝ごはんが楽しみだといいことがいっぱいだ。

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待ちわびた秋とあの店のおはぎ

待ちわびた秋とあの店のおはぎ

誰でも好きなお店のひとつやふたつはすぐに思い浮かぶと思う。

好きなお店があると、頭のどこかにかすかにお店の存在がいつもあって、利用するたびに生活の中の小さな喜びが増えていく。小さな喜びは心に蓄積し再びその店が好きになる、という好循環をもたらしてくれる。

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最近とても好きなお店がある。それが「移動販売のお団子屋さん」だ。

このお店を見つけたのは本当に偶然だった。ある日、近所の直売所の出

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ひよこと暮らした100日間

ひよこと暮らした100日間

今年の春にひよこが生まれてから100日が経過した。

卵を自宅で温めひよこを孵す孵卵器(ふらんき)と呼ばれる機械を使い、合計7羽と一緒に暮らしている。2度孵化させたから、2グループの群れ(3羽+4羽)がいるイメージ。

ひよこを飼うのは今回が初めてで、生まれる前はどんな感じなのか想像もできずにいた。それが今では毎日メロメロの日々を送っている。

夫に、ひよこを可愛がりすぎて自分の体調が疎かにならな

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旅に出たい欲の変化について

旅に出たい欲の変化について

以前と比較して「旅に出たい」という欲がなくなってきている。

これまで旅が大好きで、国内は44県(徳島、愛知、富山以外)、海外は12か国(アメリカ、カナダ、イタリア、タイ、ラオス、カンボジア、スリランカ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、韓国、台湾)を訪問した。

特に大学生になると、アルバイトをしてお金を稼ぐことを覚え、暇さえあればシフトを入れては旅に出る、というのを繰り返していた。当時付き合

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