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日々のエッセイ

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2019年から湖畔暮らし。自然、家族、ヤギ、トリ、仕事、そして考え事の日々。
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#ライフスタイル

風に揺れる柔らかな田んぼに埋もれて

風に揺れる柔らかな田んぼに埋もれて

この記事は本当は、梅雨まっさかりの7月半ばに書いていたものだが今頃の公開となってしまった。本格的な夏が訪れる前にタイムスリップした気分でお読みいただければ。

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田んぼがきれいな季節になった。

梅雨前後の田んぼは、何度見ても飽きない。5月の暑くもなく寒くもない気持ちの良い季節に植えられた稲の苗は、最初はひょろひょろっとして、やや頼りない様子だ。それが日に日に姿を変えていって、7月の今やし

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鳴らなかった風鈴が鳴った日のこと

鳴らなかった風鈴が鳴った日のこと

今年の夏はまた暑いという。

昨年の地獄のような暑さが再び繰り返されると思うと、それだけで気持ちが滅入りそうだ。

そこで、少しでも気分を明るくする方法はないかと、風鈴を買ってみることにした。選んだのは「津軽びいどろ」のガラス風鈴。

わが家の近くに洒落た雑貨店などはないから、心からかわいいと思うものを選びたいときはネットショッピングを使う。今回もネットを使って取り寄せた。届いた風鈴は写真通りで、

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「最高や! 全部流れてしまえ!」

「最高や! 全部流れてしまえ!」

数日前、嫌な気分になることがあった。

頭では「世の中にはいろいろな人が共存しているのだから、いつ何時も望む通りになるとは限らないものだ」と理解していても、心がざらついて仕方がなかった。

その気持ちをあおるように、翌日はかんかん照りの暑い一日だった。

朝7時に縁側の窓を開け放つと、ふだんなら心地よく部屋に入り込んでくる風がない。まるで時が止まったかのような、無風の世界だった。庭を見渡せば草木や

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意味の有無では語り切れないこと

意味の有無では語り切れないこと

毎年6~7月になると、生活の合間に梅仕事が入ってくる。体調不良などよほどの事情がない限り、自宅で梅干しを作っているのだ。

正直、梅干しは自分で作るより買った方が安いし、早いし、だいいちおいしいと思う。自分で作るとおいしくないわけではなく、できあがった直後は塩が馴染んでおらずしょっぱいのだ。違和感なく食べられるようになるまで、1~2年もかかる。

「じゃあなんでわざわざ梅干しを作っているのか」と自

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なくても困らないけどあると日々が豊かになる文章

なくても困らないけどあると日々が豊かになる文章

これは今後、私が書いていきたいと思う文章である。

過去から現在に至るまで、note以外でも書く場をいくつか持ってきた。趣味として無料で書いてきたものもあれば、仕事として有料で書いてきたものもある。紙媒体・Web媒体・エッセイやコラム・SEO記事などひとくちに「文章」といっても、その種類はさまざまだ。

幅広く書いてきて今の私が思っていることは「なくても困らないけどあると日々が豊かになる文章」を今

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森が織りなす生態系の芸術

森が織りなす生態系の芸術

森林浴が好きだ。

今いる地域には田畑を耕す平野はたくさんあるものの、山林が少ない。森林浴を愛する者としては、時折寂しい気持ちになる。

ところが先日、なんと自宅から車で20分のところに素敵な森林浴スポットを見つけた。なんで今まで足を運ばなかったんだろう。後で調べてみると、総面積51.5ヘクタールもある森だったらしい(ディズニーランドのテーマパークエリアとほぼ同じ)。

6月初旬のみずみずしい新緑

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考える余白がたくさんあるガラス小物たち

考える余白がたくさんあるガラス小物たち

ガラス小物が好きで、気ままに集めている。

光を当てるとガラスが反射して、きれいな色が散らばっていくところが気に入っている。

一輪挿しに花を飾ったり、グラスで飲み物を飲んだり、ガラスのプレートでサラダを食べたり。目的があって使うことはもちろんあるけれど、実は見ているだけで気持ちが高まることの方が多い。きれいだな~って。

私のガラス小物のコレクションを少しだけ紹介してみる。

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「琉球ガ

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新しい自分に出会う瞬間まで

新しい自分に出会う瞬間まで

自分のことについて、知っているようで実は知らないことが多い。

最近「私って意外とこういう性質してたんだ!」と思うことがあった。人には本人もまだ気が付いていない未知の部分がある。

本人が出会っていない自分を「新しい自分」とするならば、いつ会えるのかわからないのだから、可能性を狭めないように生きたい。そして「今が新たな自分に会っている瞬間だ」とすぐに反応できるように、心の扉をオープンにしておきたい

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沼にはまって抜け出せないほど好きな作品

沼にはまって抜け出せないほど好きな作品

先日、今まで観てきた映画の中で指折りの作品を見つけてしまった。

私は音楽や映画などで気に入った作品があると、とにかく深く掘り下げるタイプだ。「沼る」という表現がしっくりくる。「沼る」を知らない人向けに解説しておくと「沼にはまって抜け出せなくなった状態のように、何かにどっぷりはまって夢中になること」である。

私の場合、好きな映画を見つけて沼りだすと、キャストや監督のインタビュー記事を読みあさった

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天気と意欲と土いじり

天気と意欲と土いじり

気が付けば前回の記事を書いてから、約1カ月が経過してしまった。

その間リアルな生活では、嬉しいことや残念なことなどいろいろなことが起きていたし、心で感じることもたくさんあった。ふだんなら一コマずつの様子をnoteに記録していただろうけれど、この1カ月はどうも書くモシベーションが枯渇していた。

単純に忙しくてパソコンに向かう時間が取りにくかったのも大きく関係しているが「何としても書く時間を死守す

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ミモザの花束と春のお告げ

ミモザの花束と春のお告げ

先日、近所で仲良くしてもらっている素敵なご夫妻から、ミモザの花束をいただいた。この土地へやってきてから、毎年のようにお裾分けしてもらっている。

ご自宅にミモザの木があるそうで、私もお邪魔した際に実物を見させてもらったことがある。それは立派な木で、両手を広げても全然足りないくらいの大きさだった。

ミモザは黄色くて小さな可憐な花と、細かい葉をいくつも付けているのが特徴。毎年ミモザをもらうまでは知ら

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灯油ストウブの匂いと混沌と

灯油ストウブの匂いと混沌と

この2月は、個人事業の季節外れな繁忙期だった。文字どおり目が回る忙しさだった(この感じは3月初まで続く予定のため、まだ終わっていない)。

宿にはお客さんがたくさん入り、執筆ではご縁のあるメディアさんから多数依頼が入り、赤ちゃんもどんどん成長し遊びのレベルが上がっている。特に執筆については、今月は一体何万文字書いたのかわからないほど、タイピングしまくっていた気がする。

そんなわけでとにかく一分一

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散りばめた星々と白の吐息

散りばめた星々と白の吐息

冬は星がきれいだ。空気が冷たくて、澄んでいて、星がきれいなのを知っているから、つい顔を上げて夜空を見てしまう。

私が暮らす町は長野県の阿智村みたいに「星の町」として有名なわけではないし、自分で言うのも気が引けるけど、本当に星がきれい。これまで見た中で一番印象的だったのは上高地の星空だったけれど、最近は自宅から見る冬の夜空はそれと同じくらいのインパクトがあると思っている。

夜ちょっと庭に出て、散

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渡り鳥の群れと朝の色

渡り鳥の群れと朝の色

年が明けてからすぐ、とある作業のために1年以上ぶりにひとりでお気に入りのカフェへ行った。プリペイドカードに残高がいくら残されているのかも忘れていたほど、久しぶりだ。

昨年は一年のうちのほとんどが妊婦生活だったから、前半はつわりで具合が悪いことが多かったし、後半はなるべく自宅で過ごしていたし、赤ちゃんが生まれてからは一日が一秒のような速さで過ぎていったから、とてもカフェに行く余裕はなかった。

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