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森が織りなす生態系の芸術

森林浴が好きだ。

今いる地域には田畑を耕す平野はたくさんあるものの、山林が少ない。森林浴を愛する者としては、時折寂しい気持ちになる。

ところが先日、なんと自宅から車で20分のところに素敵な森林浴スポットを見つけた。なんで今まで足を運ばなかったんだろう。後で調べてみると、総面積51.5ヘクタールもある森だったらしい(ディズニーランドのテーマパークエリアとほぼ同じ)。

6月初旬のみずみずしい新緑、森に住まう野鳥の鳴き声、水辺にかかる大きな吊り橋、国蝶オオムラサキが飛ぶ姿。すべてが相まって、とにかく気持ちがよかった。久しぶりに肩と首と心の凝りがサーッと取れていくのを感じた。

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日本の国土は山が多く平地が少なく、約3分の2が森で覆われているという。森のうち約5割が「天然林」、約4割が「人工林」、残りが「竹林など」で構成されているそう。

さらにヨーロッパなどの各国と違うのは、まるで背骨のような山脈が日本列島を太平洋と日本海に分けている点。日本がどれだけ山地の多い国であるかがよくわかる。

私が森林浴を堪能した森は「照葉樹林」だった。照葉樹林とは、表面に光沢があって厚い葉を持つシイやカシの仲間などからなる森のこと。

散策していても気が付いたことだけど、照葉樹林からなる森は、高さの異なるいろいろな木が空間を分け合っている。木々がきれいな層を作っているおかげでよく風が通るし、光も入る。自然ってよくできているなと感じた。

ちなみに森林のこんな様子を、専門用語で「階層構造」と呼ぶそう。

  • 高木層(スダジイ、タブノキ、シラカシ、アカガシ、シロダモ、カゴノキなど)

  • 亜高木層(ヤブツバキ、モチノキ、ヒサカキなど)

  • 低木層(アオキ、テイカカズラなど)

  • 草本層(マンリョウ、ヤブミョウガ、ジャノヒゲ、ホウチャクソウなど)

あまり耳馴染みない木が多いけど、高さが違うことで森が層になっていることはよくわかる。

これを見て思うのは、自然界ってどれだけ時間をかけていろいろな種類の植物や生き物が共生できるように進化してきたんだろうってこと。心から感心してしまうね。

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散歩した森。高さを分け合い層になっている森の木々。
風が抜けていく。

「残された人生何がしたいですか」って聞かれたら、自然界の素晴らしさを守っていきたいっていうのがずっと頭のはしっこにあって。日々はせわしなく流れていくけれど、改めてその想いを再認識した。

森林浴が好きだし、森が織りなす生態系の芸術にこれからもずっと触れていきたい。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。