菊地早秋

エッセイ書いてます│湖畔の古民家で夫、0歳、ヤギ、ニワトリと生活中。ふだんは夫婦経営の…

菊地早秋

エッセイ書いてます│湖畔の古民家で夫、0歳、ヤギ、ニワトリと生活中。ふだんは夫婦経営の小さなお宿のオーナーです(宅建士)。おはぎと桃が好物。「旅する日本語2018」大塚製薬賞、著書『ヤギと家族になる(Kindle)』

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    2019年から湖畔暮らし。自然、ヤギ、トリ、仕事、考え事の日々。

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最近の記事

なくても困らないけどあると日々が豊かになる文章

これは今後、私が書いていきたいと思う文章である。 過去から現在に至るまで、note以外でも書く場をいくつか持ってきた。趣味として無料で書いてきたものもあれば、仕事として有料で書いてきたものもある。紙媒体・Web媒体・エッセイやコラム・SEO記事などひとくちに「文章」といっても、その種類はさまざまだ。 幅広く書いてきて今の私が思っていることは「なくても困らないけどあると日々が豊かになる文章」を今後はたくさん書いていきたい、ということだ。 *** 最近、村上春樹のエッセイ

    • 森が織りなす生態系の芸術

      森林浴が好きだ。 今いる地域には田畑を耕す平野はたくさんあるものの、山林が少ない。森林浴を愛する者としては、時折寂しい気持ちになる。 ところが先日、なんと自宅から車で20分のところに素敵な森林浴スポットを見つけた。なんで今まで足を運ばなかったんだろう。後で調べてみると、総面積51.5ヘクタールもある森だったらしい(ディズニーランドのテーマパークエリアとほぼ同じ)。 6月初旬のみずみずしい新緑、森に住まう野鳥の鳴き声、水辺にかかる大きな吊り橋、国蝶オオムラサキが飛ぶ姿。す

      • 考える余白がたくさんあるガラス小物たち

        ガラス小物が好きで、気ままに集めている。 光を当てるとガラスが反射して、きれいな色が散らばっていくところが気に入っている。 一輪挿しに花を飾ったり、グラスで飲み物を飲んだり、ガラスのプレートでサラダを食べたり。目的があって使うことはもちろんあるけれど、実は見ているだけで気持ちが高まることの方が多い。きれいだな~って。 私のガラス小物のコレクションを少しだけ紹介してみる。 *** 「琉球ガラスのグラス」 ガラスの中に気泡があるのが特徴で、ぷっくりとした泡が時を止めて

        • 新しい自分に出会う瞬間まで

          自分のことについて、知っているようで実は知らないことが多い。 最近「私って意外とこういう性質してたんだ!」と思うことがあった。人には本人もまだ気が付いていない未知の部分がある。 本人が出会っていない自分を「新しい自分」とするならば、いつ会えるのかわからないのだから、可能性を狭めないように生きたい。そして「今が新たな自分に会っている瞬間だ」とすぐに反応できるように、心の扉をオープンにしておきたい。 *** 私の母はとても明るい。一緒にいれば黙っていることがほとんどないし

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          沼にはまって抜け出せないほど好きな作品

          先日、今まで観てきた映画の中で指折りの作品を見つけてしまった。 私は音楽や映画などで気に入った作品があると、とにかく深く掘り下げるタイプだ。「沼る」という表現がしっくりくる。「沼る」を知らない人向けに解説しておくと「沼にはまって抜け出せなくなった状態のように、何かにどっぷりはまって夢中になること」である。 私の場合、好きな映画を見つけて沼りだすと、キャストや監督のインタビュー記事を読みあさったり、試写会の舞台挨拶の様子をYouTubeで観たりする(ネットニュースだとつまら

          沼にはまって抜け出せないほど好きな作品

          ダメな時に腐らないことめげないこと

          この言葉は、私が尊敬する人から最近もらった言葉である。 といっても、直接的に会話しながらもらったものではなく、質問箱というツールを使って悩みを打ち明けて回答を得たものだ。尊敬する人とは奇跡的にも一度だけお会いしたことがあるが、気軽にチャットをしていいような方ではないと考えているため、質問箱を利用させてもらった。 質問に対する答えが今後の人生でお守りになるような納得感のある内容だったため、私が何を尋ね、どんな回答をもらったのかをここに記録しておく。 *** 私が質問した

          ダメな時に腐らないことめげないこと

          天気と意欲と土いじり

          気が付けば前回の記事を書いてから、約1カ月が経過してしまった。 その間リアルな生活では、嬉しいことや残念なことなどいろいろなことが起きていたし、心で感じることもたくさんあった。ふだんなら一コマずつの様子をnoteに記録していただろうけれど、この1カ月はどうも書くモシベーションが枯渇していた。 単純に忙しくてパソコンに向かう時間が取りにくかったのも大きく関係しているが「何としても書く時間を死守する」という熱意を持てなかったのも事実だ。 *** 書く意欲が戻ってきたのはつ

          天気と意欲と土いじり

          ミモザの花束と春のお告げ

          先日、近所で仲良くしてもらっている素敵なご夫妻から、ミモザの花束をいただいた。この土地へやってきてから、毎年のようにお裾分けしてもらっている。 ご自宅にミモザの木があるそうで、私もお邪魔した際に実物を見させてもらったことがある。それは立派な木で、両手を広げても全然足りないくらいの大きさだった。 ミモザは黄色くて小さな可憐な花と、細かい葉をいくつも付けているのが特徴。毎年ミモザをもらうまでは知らなかったが、ミモザは鮮度によって見た目が全然違う。木から切りたてのときは花が「ふ

          ミモザの花束と春のお告げ

          灯油ストウブの匂いと混沌と

          この2月は、個人事業の季節外れな繁忙期だった。文字どおり目が回る忙しさだった(この感じは3月初まで続く予定のため、まだ終わっていない)。 宿にはお客さんがたくさん入り、執筆ではご縁のあるメディアさんから多数依頼が入り、赤ちゃんもどんどん成長し遊びのレベルが上がっている。特に執筆については、今月は一体何万文字書いたのかわからないほど、タイピングしまくっていた気がする。 そんなわけでとにかく一分一秒が貴重だった。正直、睡眠時間も少なくて、最近はまだ真っ暗な早朝からガザゴソ起き

          灯油ストウブの匂いと混沌と

          散りばめた星々と白の吐息

          冬は星がきれいだ。空気が冷たくて、澄んでいて、星がきれいなのを知っているから、つい顔を上げて夜空を見てしまう。 私が暮らす町は長野県の阿智村みたいに「星の町」として有名なわけではないし、自分で言うのも気が引けるけど、本当に星がきれい。これまで見た中で一番印象的だったのは上高地の星空だったけれど、最近は自宅から見る冬の夜空はそれと同じくらいのインパクトがあると思っている。 夜ちょっと庭に出て、散りばめたような星々を見られるのはありがたいことだ。 昨年、宿に泊まりに来てくれ

          散りばめた星々と白の吐息

          渡り鳥の群れと朝の色

          年が明けてからすぐ、とある作業のために1年以上ぶりにひとりでお気に入りのカフェへ行った。プリペイドカードに残高がいくら残されているのかも忘れていたほど、久しぶりだ。 昨年は一年のうちのほとんどが妊婦生活だったから、前半はつわりで具合が悪いことが多かったし、後半はなるべく自宅で過ごしていたし、赤ちゃんが生まれてからは一日が一秒のような速さで過ぎていったから、とてもカフェに行く余裕はなかった。 それでも夫が赤ちゃんを見ていてくれると言うから、午前中だけカフェで時間を過ごすこと

          渡り鳥の群れと朝の色

          好きな食べ物と思い出の繋がり

          「好きな食べ物は何ですか?」 食いしん坊でグルメ好きな私は、この質問に簡単に答えられない。もしかすると聞かれて一番困る質問かもしれない。好きな食べ物なんてありすぎて無限大だ(笑) しかし、ひとつだけ特別な食べ物がある。 それは、あんこだ。 煮小豆としてそのまま食べるのも好きだし、お汁粉やおはぎなど和菓子としてあしらわれているのも好き。ヨーグルトやトーストのトッピングにするなど、少し変わった食べ方もウェルカム。 あんこが好きなのは、味や食感など食べ物としての特徴が好み

          好きな食べ物と思い出の繋がり

          庭にはニワトリがいる世界

          今年の春に生まれたニワトリが、ついに卵を産んでくれた。 その日は突然にやってきた。 ある日の明け方、7羽のニワトリたちがものすごい鳴き声を出していたため、事件かと思い急いで小屋へ駆けつけた。するとそこには、水をたくさん飲むメス鶏のいつちゃんと、ひとつの卵があった。 いつちゃんが卵を産んだらしいことは、すぐに分かった。生後173日目のことだった。 *** いつちゃんが卵を産んで思ったことは「おめでとう!」だった。 ニワトリが卵をいつ産むかずっと楽しみにしていたけれど

          庭にはニワトリがいる世界

          魔法の褒め言葉

          誰もがきっと「他者に言われて嬉しい褒め言葉」を持っていると思う。 褒め言葉にはいろいろある。 優しい、気が利く、いつも明るいなど、内面を指したもの。または、かっこいい、かわいいなど、見た目に関するものもあり得そう。あるいは、その人にしか分からないピンポイントな表現という可能性もある。 いずれにしても、他者から特定の褒め言葉をもらえたときは嬉しいものだ。関係性の深い浅いを問わず、たったその一言で、不思議と本当の自分を分かってもらえた気持ちになる。 *** 先日、私と夫

          魔法の褒め言葉

          ニワトリの反抗期と親の気持ち

          飼っている7羽のニワトリのうち、1羽が反抗期を迎えている。 その子は一番に安産で生まれて、一番かわいがってきて、一番なつっこい子だったから大ショック(笑) (笑)なんて言っているけれど、本当は反抗期がきたと飲み込むまでにかなり時間がかかった。涙もぽろぽろ出た。数日は寂しさと、裏切られた気持ちをズルズルひきずった。 ニワトリのお母さんである私は、育児ならぬ「育鶏」に絶賛お悩み中だ。 *** 反抗期を迎えているのはオスのきぬちゃんだ。 きぬちゃんが反抗期だと分かったの

          ニワトリの反抗期と親の気持ち

          ヤギとニワトリと憧れのピクニック

          暑くもなく寒くもない、11月のある日の午後。 いつものように庭に出て、ヤギとニワトリたちと遊んでいた。とても気持ちが良い天気だった。青く澄んだ空は、ずっと見上げていたい色をしている。 この日は少し特別だった。 *** ニワトリは水浴びをしない代わりに、砂浴びをする習性がある。腐葉土のように少し冷たく、しっとりサラサラした土が好きみたいだ。この日もそんな絶妙なスポットを勝手に見つけては楽しそうに砂浴びをしていた。 「気持ちよさそうだねえ」 ニワトリが嬉しそうな姿を見

          ヤギとニワトリと憧れのピクニック