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散りばめた星々と白の吐息

冬は星がきれいだ。空気が冷たくて、澄んでいて、星がきれいなのを知っているから、つい顔を上げて夜空を見てしまう。

私が暮らす町は長野県の阿智村みたいに「星の町」として有名なわけではないし、自分で言うのも気が引けるけど、本当に星がきれい。これまで見た中で一番印象的だったのは上高地の星空だったけれど、最近は自宅から見る冬の夜空はそれと同じくらいのインパクトがあると思っている。

夜ちょっと庭に出て、散りばめたような星々を見られるのはありがたいことだ。

昨年、宿に泊まりに来てくれたお客さんが「流れ星って初めて見ました」と言っていて、そういう人もいるのかと驚いた。私はどちらかと言うと、夫婦で夜の庭に突っ立って流れ星を見つけるのが好きなタイプだったから、そこまで珍しいものとは思っていなかった。お客さんには、初の流れ星を提供できてよかった。

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子どもが生まれてから、他県に住む両親がよく訪問してくれるようになった。赤ちゃんがかわいくて仕方ないらしい。「お手伝い」と言いつつ、父も母も田舎暮らしを満喫していっているように見える。

ふだんは動物がたくさんいるとはいえ、やっぱり両親が来ると家が賑やかになる。たまには大人数で食事をとったり、わいわい話したりするのは楽しい。

両親は私に何かあったときに、無条件で駆けつけてくれる大切な存在だ。一度、数時間かけて夜中に車を走らせてきたことがあって、それには正直度肝を抜かれた(それ以降、夜中にインターホンのチャイムが鳴るのがトラウマになった)。

偉大な存在だと感謝しつつ、たまには性格の不一致でイライラすることもある(笑)。基本的にはタイプが違うのだ。そういう時は、ここまで自分を育ててくれたことを思い出して、イライラに蓋をするよう心掛けている。

そんなことも含めて「賑やか」なんだろう。

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母が市場で買ってきてくれたスターチス。紫と白の組み合わせが、なんとなく夜空と星を連想させる。

両親と「賑やか」な時間を過ごし、お別れの時間がくると胸がぎゅっとする。特に冬は人肌恋しくて「もっと長く泊まっていってもいいのに」とぼんやり考えることもある。

先日も「ばいばい、また来るね」の時に、いい歳して涙がぽろりと出そうになった。この時、夫に気が付かれてしまうことも多いのだが、今回は夜で顔が見えにくかったこともあり、一人でこっそり。

そんな気持ちを抱えながら、ふと夜空を見たら満天の星空だった。

感嘆のため息をつくと、白い吐息がふわふわっと出て、冬をじんわり感じた。もうすぐ気持ちがときめく春がやってくるよ。

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