シダ ハルキ

感受性ってやつが薄れている。

シダ ハルキ

感受性ってやつが薄れている。

記事一覧

明滅の滅の隙間に近づいて目を閉じたもう触れた手のひら

シダ ハルキ
6か月前

短歌

右耳にサイレンを聞く左手で君の寝息を確か目眠る。

シダ ハルキ
8か月前

オチャヅケノモト

小学生の時だったと思う。何かの理由で目の前に白米とお茶があったのだ。どういう状況だったんだろう、僕はそれを見て、「お茶漬けにできるじゃん」といった。すると、他に…

シダ ハルキ
9か月前

恐れない人もいる。

 同じ駅を利用して居ることが分かった時の絶望感はわかってくれる人も多いだろう。仕事でこれから数カ月関わる相手ともなれば、帰宅の時間も方向も同じということだ。つま…

シダ ハルキ
9か月前
1

オチャヅケノモト

ほとんど記憶はないが、たった数秒間の会話だけ覚えていることがある。小学生の時だったと思う。何かの理由で目の前に白米とお茶があったのだ。どういう状況だったんだろう…

シダ ハルキ
9か月前

言いそびれた日記(お寿司編)

回転寿司に来た。レーンが職人を囲っている、今は少なくなった風情ある回転寿司である。連休ということもあり店内には数組の待ちが出ていて、私も名簿に名前を記入し、本を…

シダ ハルキ
10か月前
2

ホーマックおじさん

「休日は何をしていらっしゃいますか」と聞かれれば、「ホーマックで座っています」と答えていた。ホーマックとはかつての東北のホームセンターである。 「あなたのまち〜…

シダ ハルキ
10か月前
5

正常

(政治などの話になるので、苦手な人は読まないでください) 環境活動家、と名乗る人物が色んなことをしている。街をペンキで塗ったり、トマトスープを重要な国宝にかけた…

シダ ハルキ
10か月前
2

人生アドリブ

辞世の句を残している著名人が沢山いる。すごい。それと同時に、とても恐ろしい。死に際に瀕して、句を詠もうだなんて冷静さを保っていられるのは、私には考えられない。 …

シダ ハルキ
10か月前
4

罪と罰とラーメン

会社の昼休み、図書館へ向かう途中のラーメン屋の外壁に「ヒーハーらーめん」と書かれていた。うっ、辛いラーメンだ。私は辛いラーメンが好きではないが、辛いラーメンを見…

シダ ハルキ
10か月前
5

仙台赤ヘルおじさんの主張

仙台のメインストリートから少し離れた「ふらんど~む一番街」を往復するおじさんがいた。スクーターを押しながら、大きな声で何かを叫んでいるようだった。その日、特に何…

シダ ハルキ
10か月前

新宿は豪雨

大森靖子さんが「新宿」という曲で、「あたし、新宿が好き」と歌っている。 椎名林檎が、「新宿は豪雨」と歌い出している。 フランク永井は、有楽町で待ち合わせしている…

シダ ハルキ
10か月前
1

母と伊勢に行く①

母と伊勢参りに行った。 母は昔から、「死ぬまでに1度、お伊勢参りに行ってみたい」と言っていた。小学生の私はそれを何となく聞いていた。 そして私は社会人になった。…

シダ ハルキ
11か月前
2

夢の後始末

「待ってよ〜」と言いながら、一人で帰る僕を追いかけてきたヒナちゃんに、子供が生まれた。 「お前には勝てねぇわ」と、僕の答案と比べて呟いたフミヤは、先日の同窓会の…

シダ ハルキ
11か月前
2

バキとハンター×ハンターを読んでないやつ

バキとハンター×ハンターを読んでいないと、ついていけない会話がある。これは、現代社会を男の子として生きていく限り、必ずつきあたる壁だと思っている。 ちなみに僕は…

シダ ハルキ
11か月前
5

地球が終わる日

もしも地球が終わったら、僕だ君とでぎゅ〜ってしてね、小さくて硬いダイヤモンドになって、新しい星の真ん中になろうね。

シダ ハルキ
11か月前

短歌

右耳にサイレンを聞く左手で君の寝息を確か目眠る。

オチャヅケノモト

オチャヅケノモト

小学生の時だったと思う。何かの理由で目の前に白米とお茶があったのだ。どういう状況だったんだろう、僕はそれを見て、「お茶漬けにできるじゃん」といった。すると、他にいた四名ほどの同級生が一斉に私に振り向く。しゃべるカエルをみたような目だった。4人で最も冷酷な女子が口を開く「いや、お茶をかけてもお茶漬けにはなんないでしょ」

 お茶漬けとは、ご飯をお茶に漬けたものだと信じていた。だから、目の前のご飯に

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恐れない人もいる。

恐れない人もいる。

 同じ駅を利用して居ることが分かった時の絶望感はわかってくれる人も多いだろう。仕事でこれから数カ月関わる相手ともなれば、帰宅の時間も方向も同じということだ。つまり、別々に帰ろうとするときに「理由」が必要になる。

 ある仕事を終えて帰路に就くと、同業の百目鬼(Aとか甲とか置き換えて読むのが得意ではないので、百目鬼(どめき)と呼ぶことにする)と帰路が一致する。お互いの足音が聞こえる距離である。どう

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オチャヅケノモト

オチャヅケノモト

ほとんど記憶はないが、たった数秒間の会話だけ覚えていることがある。小学生の時だったと思う。何かの理由で目の前に白米とお茶があったのだ。どういう状況だったんだろう、僕はそれを見て、「お茶漬けにできるじゃん」といった。すると、他にいた四名ほどの同級生が一斉に私に振り向く。しゃべるカエルをみたような目だった。4人で最も冷酷な女子が口を開く「いや、お茶をかけてもお茶漬けにはなんないでしょ」

 お茶漬けと

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言いそびれた日記(お寿司編)

言いそびれた日記(お寿司編)

回転寿司に来た。レーンが職人を囲っている、今は少なくなった風情ある回転寿司である。連休ということもあり店内には数組の待ちが出ていて、私も名簿に名前を記入し、本を読んで順番を待っていた。

私の後に、金髪の外国人の方が訪れた。若い店員は「お名前を書いてお待ちください」と伝えるのだが、どうやらその方は日本語が分からないようだった。背後から、名簿を前に固まる2人の気配が伝わってきた。

その時、私の足は

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ホーマックおじさん

ホーマックおじさん

「休日は何をしていらっしゃいますか」と聞かれれば、「ホーマックで座っています」と答えていた。ホーマックとはかつての東北のホームセンターである。

「あなたのまち〜へ〜、暮らしのなか〜で〜」という店内BGが大好きで、それを聴くために一日中店内のアウトドア用折りたたみチェアに座って過ごすのだ。こういう奴が将来、ホーマックおじさんなどとあだ名をつけられ、近所の高校生から遠巻きに眺められるのだろうなと思っ

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正常

正常

(政治などの話になるので、苦手な人は読まないでください)

環境活動家、と名乗る人物が色んなことをしている。街をペンキで塗ったり、トマトスープを重要な国宝にかけたり、あまり良くない注目の集め方をしている。

彼らの行動自体は許されるものでは無いし、その一線を超えれば環境活動家ではなく犯罪者に過ぎない。彼らは自ら自分たちのプライドに泥を塗ったのだ

しかし、もし誰も話を聞いてくれない時、我々ならどう

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人生アドリブ

人生アドリブ

辞世の句を残している著名人が沢山いる。すごい。それと同時に、とても恐ろしい。死に際に瀕して、句を詠もうだなんて冷静さを保っていられるのは、私には考えられない。

殿様の前で脇差を握りしめ腹につき立てようとする時に、なにか言い残したことは無いかと聞かれたら、私はなんて答えられるだろうか。行き慣れたファミレスの注文だって熟考を重ねる私のことだ、反射的に「えっ、いつまでに答えればいいですかね」という。そ

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罪と罰とラーメン

罪と罰とラーメン

会社の昼休み、図書館へ向かう途中のラーメン屋の外壁に「ヒーハーらーめん」と書かれていた。うっ、辛いラーメンだ。私は辛いラーメンが好きではないが、辛いラーメンを見ると食べたくなる。好きではない。辛いし。なのに、食べてみたくなる。

気が付けば私はラーメン屋の駐車場に来ていた。すごすごと店内に入る。しぶしぶ辛いラーメンを注文する。待っている時間がきつい。自己嫌悪に襲われる。たのまなければよかった、と反

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仙台赤ヘルおじさんの主張

仙台赤ヘルおじさんの主張

仙台のメインストリートから少し離れた「ふらんど~む一番街」を往復するおじさんがいた。スクーターを押しながら、大きな声で何かを叫んでいるようだった。その日、特に何もすることがないため、「ふらんど~む一番街」の通りで往復したりきょろきょろしたりしていた私は、必死に声を上げ続けるおじさんに何か惹かれるものを感じ、その主張を聞いてみることにした。

真夏だというのに深紅のヘルメットをかぶったおじさん(以

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新宿は豪雨

新宿は豪雨

大森靖子さんが「新宿」という曲で、「あたし、新宿が好き」と歌っている。

椎名林檎が、「新宿は豪雨」と歌い出している。

フランク永井は、有楽町で待ち合わせしている。

田舎に住んでる僕達は、彼らの歌を、ネイティブとして聞けていないと思う。

新宿は豪雨だと、どんな気持ちになるのだろう。分からない。私の実家の辺りで豪雨が降ると、土砂崩れが起こる。山に囲まれているので。

有楽町で待ち合わせをする感

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母と伊勢に行く①

母と伊勢に行く①

母と伊勢参りに行った。

母は昔から、「死ぬまでに1度、お伊勢参りに行ってみたい」と言っていた。小学生の私はそれを何となく聞いていた。

そして私は社会人になった。なんと、胃もたれを経験した。

一日中座っていた日は、腰が痛くなった。イオンモールで買い物していたら、息切れした。牛丼の最後の一口が、入らない。山菜が美味しい。秋刀魚が美味しい。美味しすぎて怖い。オールが出来ない。歳をとっている。

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夢の後始末

夢の後始末

「待ってよ〜」と言いながら、一人で帰る僕を追いかけてきたヒナちゃんに、子供が生まれた。

「お前には勝てねぇわ」と、僕の答案と比べて呟いたフミヤは、先日の同窓会の写真の真ん中にいた。

「一緒に走ろうぜ」と言っていたタカフミは、一昨年の冬に駅のホームから身を投げた。

☆ ☆ ☆

私は今、鄙びた地方都市で、一人暮らししている。それなり有名な会社で、安定した給

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バキとハンター×ハンターを読んでないやつ

バキとハンター×ハンターを読んでないやつ

バキとハンター×ハンターを読んでいないと、ついていけない会話がある。これは、現代社会を男の子として生きていく限り、必ずつきあたる壁だと思っている。

ちなみに僕は読んでいない。男の子失格である。

Genさんの本棚食堂というYouTubeチャンネルが好きだ。彼の低くて落ち着くボイスで、軽妙な語りを披露しているのがたまらない。サウナと水風呂を同時にやってるような気持ちになる。

しかし、彼の話の中で

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地球が終わる日

地球が終わる日

もしも地球が終わったら、僕だ君とでぎゅ〜ってしてね、小さくて硬いダイヤモンドになって、新しい星の真ん中になろうね。