母と伊勢に行く①
母と伊勢参りに行った。
母は昔から、「死ぬまでに1度、お伊勢参りに行ってみたい」と言っていた。小学生の私はそれを何となく聞いていた。
そして私は社会人になった。なんと、胃もたれを経験した。
一日中座っていた日は、腰が痛くなった。イオンモールで買い物していたら、息切れした。牛丼の最後の一口が、入らない。山菜が美味しい。秋刀魚が美味しい。美味しすぎて怖い。オールが出来ない。歳をとっている。
着実に、私の体は、死に近づいている。
24歳の私が、こんなに体に老いを感じるなら、58歳の母はどんな感じなのだろう。生きているだけで、大変なのではないか。
そう思った日に、母に伊勢参りを提案した。母は初めこそ、新卒社会人なんだから貯金がとか言っていたが、私が執拗に説得した結果、ついに重い腰を上げた。
1ヶ月先の飛行機を取り、有給で五連休を作り、ホテルを予約した。母にニューバランスの靴を買った。疲れないと評判の靴だ。私は母と伊勢にいく。死ぬまでに行きたい場所があるなら、今日にでも行くべきだと思った。
いつ死ぬか分からない。結局、それが生きる上で常に付きまとう真理なのだ。
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