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#ASIANKUNGFUGENERATION

アジカン精神分析的レビュー『サーフ ブンガク カマクラ』/今を肯定するノスタルジア

アジカン精神分析的レビュー『サーフ ブンガク カマクラ』/今を肯定するノスタルジア

5thアルバム『サーフ ブンガク カマクラ』(2008.11.5)

11thアルバム『サーフ ブンガク カマクラ(完全版)』(2023.7.5)

2008年にリリースされた2枚目のフルアルバム。江ノ島電鉄の駅名を冠したタイトルの楽曲を藤沢から鎌倉に至るまで順番通りに揃えたコンセプト作品で、サウンドはパワーポップに傾倒し、レコーディングはやり直しや修正ナシの一発録り。歌詞も従来と異なり甘酸っぱい

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アジカン精神分析的レビュー『ワールド ワールド ワールド』/“自分”として現実界に挑む

アジカン精神分析的レビュー『ワールド ワールド ワールド』/“自分”として現実界に挑む

4thアルバム『ワールド ワールド ワールド」(2008.3.5)

2年ぶりの4thアルバム。『ファンクラブ』から継承した複雑なアレンジを維持したまま、より外向きに、ポップに開けた楽曲たちが集まった本作。肉体は変わらないままで精神的姿勢に変化をつけたような作風と言える。ジャケットも前作はモノクロで正面を向いた少女、本作は極彩色で背中を向けた少女であるなど対を成しており、前作と明確な対比が付けられ

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アジカン精神分析的レビュー③『ソルファ』/偶像化と不安の狭間で

アジカン精神分析的レビュー③『ソルファ』/偶像化と不安の狭間で

2ndアルバム『ソルファ』(2004.10.20)

前作『君繋ファイブエム』から11カ月で届けられた2ndアルバム。全てオリコントップ10入りを果たしたシングル4曲を含む12曲入りで、アルバムは累計75万枚、オリコンチャート2週連続2位という大ヒット作となった。このアルバムでアジカンはバンドシーンで確固たる地位を築いたのは間違いない。

”一番ノリノリな時期”(※1)と後藤正文(Vo/Gt)は当

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アジカン精神分析的レビュー②『君繋ファイブエム』/世界と向き合う"象徴界“の音楽

アジカン精神分析的レビュー②『君繋ファイブエム』/世界と向き合う"象徴界“の音楽

1stアルバム『君繋ファイブエム』(2003.11.19)

インディーズ期の曲に加え、2003年4月のメジャーデビュー以降に行われたセッションで作られた曲を多く収録した1stアルバム。音楽的な振れ幅も前作『崩壊アンプリファー』から大きく広がり、以降のアジカンを決定づける指針的な1作となった。そしてオリコン週間5位、35万枚のヒットを記録した。

読み方は「きみつなぎファイブエム」。かなり個性的な

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アジカン精神分析的レビュー①『崩壊アンプリファー』/初期衝動とアイデンティティ

アジカン精神分析的レビュー①『崩壊アンプリファー』/初期衝動とアイデンティティ

1stミニアルバム『崩壊アンプリファー』(2003.4.23)

2002年11月にインディーズでリリースされた初の流通盤を再録などもせず翌年にキューンレコードから再発売し、メジャーデビュー作となった1枚。再販に際してテレビアニメ『NARUTO』のオープニングテーマとして収録曲「遥か彼方」が起用され、アジカンの名は広く知れ渡るようになった。

アジカンの結成は1996年の4月。2000年代に入り大

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2022年ベストトラック トップ50

2022年ベストトラック トップ50

今年聴いた曲で良かった曲を50曲選んでランキング化。継続的に好きな人たち、久々に再会できた歌たち、そして初めての出逢いまで。全部格別だ!

50位 水曜日のカンパネラ「モヤイ」
いかに勝手なことを楽しく言えるか勝負な水カンの曲の中で妙なエモさが光る。時を超え、都市に舞い戻った水カンとモアイを重ねちゃうからかな!

49位 STUTS「タイミングでしょ(feat. Awich)」
あれこれもやもやと

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2022年 ベストアルバム トップ50

2022年 ベストアルバム トップ50

2022年のよかったアルバムを50枚、ランキング化。5年間50枚を選び続けててこれいつまで続けられるのか、って感じなのだけども、いいアルバムが多いんだから仕方ない。とはいえ、トップ50っていうのは一区切りかもしれないなぁと。もうちょっと絞って愛聴する方向に自分を持っていくのもアリかな、と思ってます。現状はね!ひとまず、今年の分は全力で推しておきます!

50位 えんぷてい『QUIET FRIEND

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Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#83.アジカンの全アルバムを語る⑭ホームタウン

Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#83.アジカンの全アルバムを語る⑭ホームタウン

音声配信83回。最も好きなバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全アルバムを語っていくシリーズ。完結作となる第14弾は9thアルバム『ホームタウン』。結成20周年を経て、原点たるパワーポップへと回帰し、フレッシュさと太さを兼ね備えた、個人的には久々にクリーンヒットだったアルバム。

生を肯定し、皆を祈る。リスナーと同じ目線に立って時代の荒野をゆく。今のアジカンに通じるモードがし

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Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#82.アジカンの全アルバムを語る⑬ソルファ(2016)

Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#82.アジカンの全アルバムを語る⑬ソルファ(2016)

音声配信82回。最も好きなバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全アルバムを語っていくシリーズ。第13弾は2ndアルバム『ソルファ』を2016年に全曲再レコーディングした作品。日本ロック史に残る名盤を鍛えあがった2016年のモードで再録することでバンドの積み上げた経験値を知れる1作かと。

よくよく考えるとあまりやってこないことをさらりとやってのけてしまう、という面でもアジカン

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Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#81.アジカンの全アルバムを語る⑫Wonder Future

Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#81.アジカンの全アルバムを語る⑫Wonder Future

音声配信81回。最も好きなバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全アルバムを語っていくシリーズ。第11弾は8thアルバム『Wonder Future』について。初の海外レコーディング、またラウドロックをテーマに掲げてこれまでになく荒々しく太いサウンドを希求した異端かつ王道なロックアルバム。

かなりエネルギッシュなドライブ感のある作品だけど、架空の街の風景をテーマにしたり、映画

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Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#80.アジカンの全アルバムを語る⑪フィードバックファイル2

Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#80.アジカンの全アルバムを語る⑪フィードバックファイル2

音声配信80回。最も好きなバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全アルバムを語っていくシリーズ。第11弾はコンピレーションアルバム『フィードバックファイル』について。カップリングやアルバム収録曲をまとめた1作であり、アルバムとアルバムの間を繋ぐ曲の重要性を思い知れる1枚である。

独立した強い曲が多かったナノムゲンコンピの収録曲にはその瞬間の強い探究心が伺えたり、時期ごとの心象

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Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#79.アジカンの全アルバムを語る⑩ランドマーク

Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#79.アジカンの全アルバムを語る⑩ランドマーク

音声配信第79回。最も好きなバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全アルバムを語っていくシリーズ。第9弾は2012年の7thアルバム『ランドマーク』について。2011年という大きな時代の変わり目において生み出された1作。

非常にヘヴィな部分もありますがサウンドとしては解散の危機を経てバンドとしてのアジカンが蘇っていくような佇まいがある。ちなみに今日、7/25は「それでは、また

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Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#78.アジカンの全アルバムを語る⑨マジックディスク

Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#78.アジカンの全アルバムを語る⑨マジックディスク

音声配信第78回。最も好きなバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全アルバムを語っていくシリーズ。第9弾は2010年の6thアルバム『マジックディスク』について。ゴッチが1人で作り込んだデモを基にしている点、ギターベースドラム以外の楽器の導入など、そしてこれまでのアジカン像を言葉と音で塗り替えていくような気概に満ちた、大きな転換作について喋りました。

本日はNANO-MUGE

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Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#77.アジカンの全アルバムを語る⑧サーフ ブンガク カマクラ

Podcast『ポップカルチャーは裏切らない』#77.アジカンの全アルバムを語る⑧サーフ ブンガク カマクラ

音声配信第77回。最も好きなバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全アルバムを語っていくシリーズ。第8弾は2008年の5thアルバム『サーフブンガク カマクラ』について。来年、江ノ電の駅名を全て網羅した完全版のリリースが予定されるなど根強い人気を誇る本作。他作品との違いが多すぎる一品でアジカンにおいてこのアルバムがなんだったのかを語ってみてます。

本日7/14はゴッチがブログ

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