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また読み返す創作大賞応募作品

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noterさんが書いた、2024年「創作大賞応募作品」をまとめています。いっきに読めないため、マガジンに入れて少しずつ読み進めています。ペースはゆっくりです。
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記事一覧

【ファンタジー小説部門】ぜんぶ、佐野くんのせい(第1話)#創作大賞2024

【ファンタジー小説部門】ぜんぶ、佐野くんのせい(第1話)#創作大賞2024

プロローグ

大好きなアンナ。
今日、僕はニナと再会することができました。久しぶりに見たニナは、僕の知っている小さくて頼りないニナとはまるっきり違っていて、僕はひどく困惑したのだけど、それ以上に、僕の心を苦しめることがありました。

 それは、ニナの身体にできた大きな傷。もうすっかり古傷めいてはいたけれど、左目の下と右肩のあたりにできたやつはだいぶ深くえぐれていて、縫い跡が布をより合わせたようにい

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自分を大切にすると人間関係も変わってくる

自分を大切にすると人間関係も変わってくる

今回の記事は、人間関係について書いていますが、完全に私の主観によるものです。
あくまでも一個人の意見として軽く受け止めていただけたら嬉しいです。

◇◇◇

興味を持続させる法則私が尊敬するshogoさんがとても面白い記事を書かれていました。

この中で「興味を持つ」≠「やる気」「モチベーション」で、興味を持ち続けるためには「やる気」や「モチベーション」は相反するものだと言われています。
「興味」

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海外添乗員という職業から学んだこと

海外添乗員という職業から学んだこと

「◯◯っていう旅行会社、知ってる?」

リビングにいた母が聞いてきた。

「知らない」
「昔よく新聞に広告が出てたのよ。海外ツアーの」
「ふ〜ん」
「調べてみたら?」
「……」

大学3年の2月。ぼくは就活サイトを眺めていた。海外へ行く仕事と、書く仕事。この2つが同時に実現できる仕事をしたい。

それが就活の軸になったのは、半年前の夏休みに経験した、西日本一周の自転車旅がきっかけだった。

***

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クールガイ

クールガイ

 クールだね、とよく言われる。口数も少ないし、表情も豊かではないので自分でもその通りだと思う。よく言えばクール、悪く言えば冷淡。

 中学生くらいからか、感情を表に出すのが苦手になった。ネガティブな感情はもちろんポジティブな感情も。どちらの感情も行き過ぎるとひどく疲れるのだ。

 最近は人よりも感情の導火線に火が付きにくい、と認識している。漫画を読めば胸の内がふつふつと熱くなる。でもそれをすぐには

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福岡よかとこ「西新」

福岡よかとこ「西新」

 福岡のお気に入りスポットを紹介していきたい。まずは西新。福岡市の早良区に位置し、博多駅から地下鉄空港線で15分ほど。福岡の有名私立「西南学院」、公立トップ校「修猷館高校」が並び文京区としても知られる。

 商店街が東西に伸び、活気にあふれている。この商店街は来るたびにお店が入れ替わっていて、結構な競争を繰り広げている。居酒屋も多い。大学時代はゼミ仲間と飲み、今では会社の先輩方と飲みに行く。

 

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写真沼にハマっていった時のこと

写真沼にハマっていった時のこと

私は2年ほど前にカメラ沼に嵌った。自分で言うのも何だけどズブズブに嵌ってしまった。

カメラとの出会い今でこそカメラ沼にズブズブに嵌っている私。実は十数年前にも写真をやろうと思ってカメラを買ったことがある。理由はキレイな写真が撮りたいと思ったことと、カメラ女子という響きに憧れたから。

今思うと、とてつもなく短絡的な理由。
当時の私はミニマリズムにも出会っていない。

物欲オバケになっていた私は勢

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ガレージの中で終わった、名もなきバンドの話

ガレージの中で終わった、名もなきバンドの話

あれは夏が始まる少し前。私たちは田舎のローカル線で出会った。

私の町には高校がない。町の子はみんな中学を卒業すると、汽車に乗って市街地にいくつかある高校に通う。
汽車というのは方言のようなもので、黒い蒸気機関車で通学しているわけではない。乗っているのはワンマン列車である。
一番長くても3両くらいのボックス席がある列車。夕方以降は1両運行、列車だけど列はなさない。ちなみにそれに乗って通学することを

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眠れない夜にはホットココアを。

眠れない夜にはホットココアを。

日々過ごしていると、心がざわざわしたり、モヤモヤしたり、なんだか落ち着かない日がやてくる。

何をしても、心が乗らない、今日はそんな日だった。

そんな時は、気分転換にいつもよりちょっと遠回りをして歩いたり、好きな本を読んだり、アロマをしてみたりして過ごす。

夜になっても、気分が変わらないときは、ちょっと焦ってしまう。
明日も、こんな調子だったら嫌だな。と思うから。

いつもは、カフェラテや紅茶

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男女の友情は成立するか問題

「恋愛関係および友人関係の捉え方における性差について」って論文をネットで発見。

(ファイルが大きすぎるのか記事に埋め込めない。)

結論:男女の友情は成立する。

いろんな意見があるのは言わずもがな。成立しない派の意見も聞いてみたいけど、私自身は成立すると思ってる。

双方に恋愛感情がないのが明白な場合は。

小中高とずーっと一緒でこれぞ腐れ縁というべき異性の親友がいる。

何度も何度も「付き合

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ここにいるよ、ここにいる。

ここにいるよ、ここにいる。

じぶんの歩いてきた道をたとえば
白い地図に点と点でつないでゆけば
どんな線を描くんだろうって時々
夢想してしまう。

でたらめな線を描きながらも、変わらず
そこにいてくれたのは母かもしれない。

結婚もしなかったから。
離婚した母と暮らしてどれぐらいに
なるだろう。

太陽がいっぱいみたいに、わたしにとっては
まぶしいほどいっぱいだ。

昔は喧嘩もしたし、悪態もついてシカトもした。
沈黙戦を決めて

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「断罪パラドックス」   第1話

「断罪パラドックス」   第1話

第一章   一条美紀

 お集まりいただきましたみなさまには、本日貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。通常でしたら、土曜日の午後、この体育館では部活動が行われていたでしょうね。昨年度はバスケットボール部が県大会で準優勝だったとか。私もPTA会長になりちょくちょく学校に来るものですから時折体育館を覗きました。若人が真剣にスポーツに取り組む姿は本当に美しいものですね。

 校舎も三年前に建

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人は次元を超えたときに感動する

人は次元を超えたときに感動する

北海道でオーロラが見られたらしい。

普通アラスカみたいなクッソ寒い高緯度の地域に行かなければ見られないオーロラが日本でも見られたということで、レア度もさることながら、オーロラ自体の幻想的な景色に心を奪われた人も多いのだろう。

目もくらむような絶景というものは、実際に肉眼で見たときは言うまでもなく、写真を通しても感動がすごい。富士の山に登る朝日、エメラルドグリーンにきらめく海、一面に広がる花々な

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あなたに向けて書こうとするとき、とたんに言葉があふれ出てくる。

あなたに向けて書こうとするとき、とたんに言葉があふれ出てくる。

実は今、ぼくのXでは大変なことが起きていまして。

こんなことつぶやいたら、2日で200人以上の「読んでください」が飛んできました。それで僕の生活は一変しました。

眼球疲労とたたかいながら、家にいる時はずっと感想を書いています。

感想を書きながら、気づくことは山ほどあります。ひとつひとつの気づきをいつものようにiPhoneの黄色いメモに書きためています。その気づきの中ひとつが、『自分で書いた感

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【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十六話(Ⅴ 新しいハウスメイド)

【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十六話(Ⅴ 新しいハウスメイド)

Ⅴ 新しいハウスメイド

 五日目の午前二時。風雨が窓ガラスを殴りつける音に混じって、誰かが玄関扉を強く叩く音がした。

 カインは瞬く間に執事服を身に纏うと、二階の階段の手すりを軽々と飛び越えて、玄関広間の大理石の床に音もなく着地する。玄関からの侵入者を許さぬように佇む二匹のドーベルマン像の陰に身を潜めた。

──ドン、ドン、ドン。
 再び外から扉が叩かれ、ひんやり静まり返った広間に鈍い音が響く

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