西田梓

全盲夫婦の働く母。小学生の娘を子育て中。 「見える世界と見えない世界をつなぐ」をミッションに動画や講演などで発信。 関西出身、名古屋で就職、東京に来て14年目。著書「いまのあなたで大丈夫! 全盲ママが伝える繋がる子育ての魅力」 https://azusanishida.net

西田梓

全盲夫婦の働く母。小学生の娘を子育て中。 「見える世界と見えない世界をつなぐ」をミッションに動画や講演などで発信。 関西出身、名古屋で就職、東京に来て14年目。著書「いまのあなたで大丈夫! 全盲ママが伝える繋がる子育ての魅力」 https://azusanishida.net

    最近の記事

    • 固定された記事

    私が白杖ガールだった頃

    弱視の女子高生とヤンキーの恋愛を描いたドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール」。原作を読んで当事者として共感できる部分がたくさんあり、ドラマも楽しみにしていた。私の周りの視覚障害当事者や、当事者に関わる同僚や友人たちも注目している作品だ。 1話を見終わって、いつか書こうと貯めているスマホのメモに白杖について書いたものがあることを思い出した。1年以上前のメモで、自分でもこんなこと書いてたのかと思ったほどだ。ドラマを見て、改めて私が主人公と同じ高校生の頃、そして今白杖について

    スキ
    903
      • 思い出の京都旅行

        「紅葉が見ごろになってきましたね」 テレビから流れるアナウンサーの声を聞くと、6年前の旅行を思い出す。私たち三姉妹と母と祖母の5人で、初めて京都に一泊二日で出かけた。祖母をどこかに連れて行ってあげたかったこと、大人になってから母とゆっくり旅行したこともなかったので企画した。 11月の京都にしようと決め、妹たちと相談して半年前に旅館を予約した。当時娘は年長、上の姪っ子は二年生、下の姪っ子は四歳。快く送り出してくれたお互いの家族に感謝しながら迎えた当日。 私は東京から、下の妹

        スキ
        6
        • 私の観劇スタイル~劇団新感線「薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-」

          天海祐希さん出演、劇団新感線の舞台「薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還」を観に行ってきました。 12年前に上演された作品の続編で、このとき初めて舞台でお芝居をしている天海さんを観ました。芝居の迫力、生バンドの音楽、客席との一体感を今でも憶えています。 その続編が上演されるということで、何か月も前から楽しみにしていました。でも、私が舞台を観に行くにはスムーズにいかない部分がいくつもあります。 まずはチケットを買うこと。画面読み上げソフトを使って日にちや時間を一つずつ確認しなが

          スキ
          13
          • 盲導犬エルとの日常~1カ月

            盲導犬のエルが我が家に来て1カ月が過ぎた。盲導犬ユーザーの家族として一緒に暮らして感じたことを書いていきたい。まず最初に思ったのは 「盲導犬ってすごい!」 だった。エルが夫を誘導して毎日通勤し、私や娘の簡単な支持を聞けることに改めて感動した。優秀な遺伝子と数回の試験を経て盲導犬になったとは言え、ここまで犬が人の言葉を理解できるなんてすごい! 「エル、ストレート・ゴー」 と言えばまっすぐ進み 「ライト・ゴー」 と言えば右に曲がる。段差を見つけたら必ず止まり、人や物を

            スキ
            27

            手のひらの記憶

            先日久しぶりに去年亡くなった母の夢を見た。これまでと同じく、夢の中の母はとても穏やかだった。よく覚えているやりとりがある。母が 「ともくんがみんなのこと引っ張ってくれてるんやなぁ」 と夫を褒めてくれていて、私は 「たまに喧嘩するけど、まあ仲良くやってるで」 と答えていた。その後の会話は忘れてしまったが、穏やかな気持ちで目覚めた。 全盲の私にとって、誰かを思い出すとき最初に浮かぶのは声だ。その夢を見てからというもの、母の声と共に思い出すものがある。それは母が着ていた洋

            スキ
            25

            知ってもらうためのきっかけ作り

            先日こんなことがあった。歯の根の治療を専門にしている歯医者を探すことになり、ネットで通いやすくて評判のいい病院を探した。よさそうな歯医者が見つかり予約の電話をしたところ、副院長先生が出て、診察してほしい状況を詳しく話すことができた。 最後に、全盲であることを伝え、レントゲンの写真などは見えないけど言葉で説明してもらえれば理解できると話した。その話を聞き終わった先生がこう言ってくれた。 「経験不足、勉強不足で申し訳ないのですが、全盲の方を診察したことがないんです。うちの病院

            スキ
            52

            盲導犬エルが家族になった日

            我が家に盲導犬がやってきました。夫のパートナー、エルという黒ラブの男の子です。夫から初めて名前を聞いたのが8月の終わり。盲導犬センターでの3週間の訓練を追え、9月の半ばから盲導犬見習いとしてうちで暮らし始めました。一週間一緒に暮らしたところで夫と娘がコロナに感染し、10日ほど盲導犬協会に預かってもらいました。療養機関が終わり、訓練も無事終了し、10月6日エルは晴れて盲導犬となりました。一緒に暮らし始めてからの3週間、私の気持ちの変化を中心に書いていきます。前回の記事はこちら。

            スキ
            38

            ひんやりムニッと保冷剤

            先日夫と娘がコロナ陽性になった。最初に夫が陽性だとわかり、私と娘に移らないように部屋を分けた。2LDKの我が家、一部屋を夫に明け渡し、私と娘はリビングと娘の部屋で生活することになった。夫の食事はもちろん部屋に運んだ。少しでも食べられるものをとにゅう麺を作って持って行った。 「お食事お持ちしました〜」 と京都弁で旅館の中井さんぽく言ってみるも、笑ってもくれないし突っ込んでもくれない。これはそうとうしんどいらしい。食べ終わったら食器を下げに来るのでlineしてほしいとお願いし

            スキ
            30

            動物恐怖症の私が盲導犬ユーザーの家族になると決めるまで

            子供の頃から動物が怖かった。犬や猫だけでなく、鳥やウサギなど触れるものは何もなかった。少しでも触れれば、大声とともに飛び退いていた。 「わざとやってるんちゃう?声でかすぎやろ!」 と言われるほどのリアクションで、私の叫び声に周りが驚くほどだった。もちろんわざとではなく、怖くてどうしようもなかった。全く動物と関われないまま大人になった。そんな動物恐怖症の私が、盲導犬ユーザーの家族になる日が近づいてきている。夫が約9年待ち続けた盲導犬取得が現実味を帯びてきた。私が盲導犬を知る

            スキ
            60

            音声ガイドモニターとして係わった映画『サバカン SABAKAN』

            8月19日公開の映画『サバカン SABAKAN』の音声ガイドモニターの一人として関わらせていただきました。とても素敵な作品だったこと、最近知り合って私と親しくしてくれているドラマ・映画好きの見える方々に音声ガイドを知ってもらいたくて書きました。作品のネタバレ無しで紹介しています。 作品紹介1986年の長崎。夫婦喧嘩は多いが愛情深い両親と弟と暮らす久田は、斉藤由貴とキン肉マン消しゴムが大好きな小学5年生。そんな久田は、家が貧しくクラスメートから避けられている竹本と、ひょんなこ

            スキ
            74

            ひと文字がつないだ縁

            全く知らない人から、東京ドームのミスチルライブの同行者に指定された!私が申し込んだのは日産スタジアムのミスチルライブなのに。どういうこと?なんで私のアドレスを知っているの?さて落ち着いて「間違いがきっかけ」で出会った人とのエピソードを書いていきたい。 これ、詐欺やん!!中学生の頃から聞いているMr.Childrenが今年30周年のツアーをやると知ったのは、4月の半ば。友人を誘って6月の日産スタジアムに申し込んだ。以前ミスチルのライブに行ったことがあり 「あの歌声がまた生で

            スキ
            61

            「決めつけのない、工夫を認め合える社会を目指して」 ホームページ開設に寄せて

            ホームページ「西田梓Official Site」を開設しました。 私は「見える世界と見えない世界をつなぐ」をミッションに活動しています。このnoteでは、これまでの活動を原点から振り返り、サイトオープンまでの流れ、今後の活動への思いを書いています。最期まで読んでいただければ嬉しいです。 これまでの活動2014年5月5日、初代ホームページ「Mothers' Cafe」を開設しました。 http://motherscafe.net かつて視覚障害児であったこと、今は母親であ

            スキ
            49

            やさしさのリレー

            4月になって就職や転職、引っ越しをした友人が何人もいる。慣れない環境でがんばる友人たちの話を聞いていると 「忙しいのに時間作ってくれてありがとう」 と言われ、思わず 「話せて楽しかったよ。それに困ったときはお互い様!」 と答えてはっとした。数年前に出会った一人の女性の事を思い出したからだ。 約4年前、私たち家族は東京都内で引っ越しをした。片道2時間以上かけて通勤している夫の体調を見かねて決めたことだ。たくさんの人が大急ぎで行き交う新宿・東京駅で乗り換えのある通勤は、

            スキ
            28

            春の日差しに母を思って

            外を歩いていると、頬に当たる風が鋭さから日差しを感じるものへと変わってきた。少し前に、ダウンジャケットからトレンチコートに替えた。朝起きてすぐにストーブを付けない日も増えてきた。かと思えば真冬並みの寒さが突然やってくる日もある。行きつ戻りつしながらも、確実に冬から春へと季節の移り変わりを感じる今の時期は、ワクワクと悲しさが入り混じっている。去年の今頃、母が亡くなって初めての季節の変わり目を感じたときのことを思い出すからだ。 温かい日が増えていく度に、私や家族の日常は進んでい

            スキ
            36

            雨の日の心模様

            講演会でよく聞かれる質問の一つに 「目が見えなくて困ることはなんですか?」 というものがある。私はいつも 「地震などの災害、非常時が一番困ります」 と答えている。 生まれたときから見えない私は、今の状態が当たり前で暮らしてきた。日常生活の中での「困りごと」はいくつかあるものの、生活ができないほどのものではない。でも、災害などの非日常では、見えないことが大きなマイナスになる。講演会では、阪神大震災での被災経験、東京で2カ月の娘と過ごした東日本大震災の経験を話しながら、

            スキ
            30

            言葉を使わなくても

            「あのさぁ、お昼ご飯どうする?」 夫が在宅勤務をしている部屋の扉を開けて声をかけた。 「麺類、ご飯?どっちがいい?」 「はい。はい。」 どっちにするのかと思って待っていると 「そうですね。うんうん」 と続く。明らかにこれは麺類かご飯ものへの返事ではない。やばい、電話してるやん!心の中で 「すみませんでしたぁ」 と言いながらそっと扉を占めた。仕事に区切りがついた夫に 「ごめん。電話してたんやね」 と言うと 「焦ったわ」 と言いながら、話しかけてきた私に状況

            スキ
            29