西田梓

働く全盲の母。中学生の娘、人生の途中で全盲になった夫、夫のパートナー盲導犬のエルが家族…

西田梓

働く全盲の母。中学生の娘、人生の途中で全盲になった夫、夫のパートナー盲導犬のエルが家族。 「見える世界と見えない世界をつなぐ」をミッションに動画や講演などで発信。著書「いまのあなたで大丈夫! 全盲ママが伝える繋がる子育ての魅力」 https://azusanishida.net

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  • 盲導犬エルとの日常〜ユーザー家族の視点から

    2022年9月、全盲の夫のパートナーとして我が家にやってきた盲導犬のエル。一緒に暮らす中で感じたことや残したいことをユーザーの家族の視点で綴っていきます。掲載している文章と写真は全てユーザーである夫の許可を得ています。

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私が白杖ガールだった頃

弱視の女子高生とヤンキーの恋愛を描いたドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール」。原作を読んで当事者として共感できる部分がたくさんあり、ドラマも楽しみにしていた。私の周りの視覚障害当事者や、当事者に関わる同僚や友人たちも注目している作品だ。 1話を見終わって、いつか書こうと貯めているスマホのメモに白杖について書いたものがあることを思い出した。1年以上前のメモで、自分でもこんなこと書いてたのかと思ったほどだ。ドラマを見て、改めて私が主人公と同じ高校生の頃、そして今白杖について

    • 4歳の誕生日

      1月21日、エルが4歳の誕生日を迎えました。娘が星と4の形をした風船を用意してくれて、みんなでお祝いしました。エルのパピーウォーカーさんからも 「赤ちゃんだったエルがもう4歳なんて早いですね」 とメッセージがありました。離れて暮らしていてもずっとエルのことを思ってくださっていることが、文面から伝わってきます。 大切に育ててもらったことが、いただくメールから溢れていていつも泣きそうになっています。こんなにエルを大切にしてくれたお家でパピー時代を過ごせたこと、本当に幸せだなぁ

      • みんなの夢AWARD14ファイナリストに選ばれました

        社会課題の解決を目的としたビジネスコンテスト「みんなの夢AWARD14」のファイナリストになりました。 3月12日(火)、15時から2000人の観客を前に、渋谷公会堂でグランプリ・準グランプリを決めるためのプレゼンをします。舞台に立つのは私ですが、友人の宇野由香さんと一緒に作り上げている事業です。 今年の一次審査の応募数は438人。やりたい事業、これまでの活動などをフォームから応募しました。 二次審査に進んだのは64人。三年間の事業計画・収支計画、パワポ資料と5分間プレゼン

        • 2023年振り返り

          毎年書いていますが、noteやSNSでいろんな人の「今年の振り返り」を読むのが好きです。私も一年を振り返ってみようと思います。 今年の私を表す漢字は「始」です。新しいことがたくさんあった2023年。 2月、YouTubeで音声配信を始めました。私の身近な視覚障害の当事者や関係者の方にゲストに来てもらい、ライフヒストリーを語ってもらう番組です。 「周りにいる素敵な人たちを知ってもらいたい。こんな生き方もあるよ」 を伝えたくて始めました。これまで全くやったことのない音声の編集

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          楽しいコーヒーライフ

          noteのハッシュタグで「買ってよかったもの」を見つけ、私も書いてみることにしました。 焙煎機能付きコーヒーメーカー「MC-503」 今年買って一番よかったものは、2月に買った焙煎機能付きコーヒーメーカーです。ダイニチ工業のMC-503。 豆を焙煎しているときの香ばしい香り、ドリップしているときの家中に広がるコーヒーの香り、豆ごとの味の違いを楽しんでいます。豆の種類と特徴、値段、開封した日にちと飲み終わった日にち、何回購入しているかをExcelでまとめています。飲みたい

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          すれ違いの配慮

          先日、15回目の結婚記念日と42歳の誕生日を迎えた。色んな人からお祝いしてもらい、いくつになっても誕生日は嬉しいものだ。誕生日記念に「これまでやったことのないこと」をしてみたくなった。思いついたのはバーに飲みにいくことだ。娘が 「エルと待ってるから二人で行っておいでよ」 と言ってくれたので、夫を誘って出かけることにした。 到着し、カウンターに案内してもらい、それぞれ好きなカクテルを注文した。周囲から聞こえる話し声、シェーカーの音、ゆったり流れる音楽。日常とは違う場所で、一

          すれ違いの配慮

          盲導犬エルとの家族旅行in函館

          12月2日、3日と初めての家族旅行で函館に行ってきました。エルと一緒の初めての遠出、私たち家族だけの初めての旅行です。旅行記を残したくて書き始めたのですが、6000文字を超えました。写真には画像説明を入れています。目次を作っているので興味のあるところから読んでいただければと思います。 旅行までのお話 9月の終わりころ、立て続けに5人以上から 「ラビスタ函館ベイっていうホテルがあるんだけど、海鮮盛り放題の海鮮丼がすごくおいしいんだよ」 と聞く機会がありました。行った人全

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          ドナドナ・エル

          すっかり寒くなり、エルは去年買ったベッドがお気に入りです。出してあげるとすぐに 「これ俺の!」 と寝転がっていました。最近のエルの様子をいくつか残しておきます。 夫がダイニングでスマホを見ていたときのこと。エルはそーっと近づいて夫の腕に顎を乗せて 「どれどれ?俺にも見せて?」 と一緒にスマホをのぞき込んでいました。私と娘は 「エルかわいい!」 と大騒ぎ。夫が 「エル、今買い物してるからちょっと待ってて」 と言うと 「ふんふん、買い物ねぇ」 と言うようにし

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          新しい挑戦を前に

          約3年前に亡くなった母のことをふとした日常の中で思い出す。亡くなった当時よりは現実を受け入れられるようになったものの、話したいな・会いたいなと言う気持ちが消えることはない。でも、寂しい気持ち・悲しい気持ちの後に、優しさを感じることが増えた。外を歩いているとどこからともなく漂ってくる金木犀の香りにすっと背筋が伸びるのは、母との大喧嘩を思い出すからだ。 大学を卒業後、半年かけてやっと就職先が決まり、親元を離れることになった。これまで暮らしていた神戸から離れ、名古屋で一人暮らしと

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          小さな工夫が大きな一歩に

          視覚障害について講演や研修の依頼を受けるようになり、9年が過ぎた。企業や学校、自治体と様々なところからお声がけいただくようになった。今年1月には読売テレビからご依頼をいただいた。全社員向けに、視覚障害について知ってもらうためのコンテンツの撮影をした。大阪の読売テレビに行き、林マオアナウンサーと対談させていただいたことは貴重な経験になった。 そんな中、2019年からコンスタントにご依頼いただいているのが、プリンスホテル系列の方々が受講するハートフルアドバイザー研修の講師だ。この

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          1年記念日

          9月16日でエルが夫の盲導犬として我が家に来て1年が過ぎた。当日ケーキでお祝いをした。日々エルから、たくさんの癒しと微笑ましい気持ちをもらっている。心がささくれ立っているとき、フワフワの頭、大きな背中、長くて立派な尻尾を撫でながらエルに話しかけている。背中に顔をくっつけると、毎日夫がブラッシングで使っているミスとの臭いにエルのにおいが混ざっていて、優しい気持ちになる。 「アロマのにおいやなぁ」 と言いつつ、エルを撫でていると気持ちが落ち着いていく。 先日こんなことがあっ

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          三つのトラブルで感じた全盲であること 

          立て続けに「全盲であること」を実感させられた出来事があった。先日、職場から家に帰るまでの1時間ほどの間に、三つも重なった。 一つ目は職場を出て、駅まで歩いていたときのこと。人通りも少なく、慣れていることもありそれなりのスピードで点字ブロックの上を歩いていた。ガン、と左足に衝撃があり、点字ブロックに乗りかかるようにして止まっていた自転車に足を強打した。痛かったものの、よくあることなのでそのまま駅に向かった。 二つ目はなかなかない衝撃的な出来事だった。乗り換えのために使っている駅

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          言葉でつむぐ沖縄の海

          これまで2回、沖縄を訪れた。 一度目の高校の修学旅行は、企画からインパクトがあった。担任の先生は私たちに 「修学旅行、どこに行きたいか自分たちで決めてみ」 と言った。どうせ行くなら遠いところ、という単純であほな私たちは 「先生、海外がいい!」 と言ったのだが、当時の規定で海外は難しいとのこと。じゃあ、北海道か沖縄にしよう、ということになり沖縄に決まった。インターネットが少しずつ普及し始めていたとはいえ、目が見えない私たちには「自分で情報を集める」手段がまだまだ限られ

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          盲導犬とユーザーへの嬉しい取り組み

          暑い夏を盲導犬たちが快適に過ごせるようにと、洋服を寄付してくださった、株式会社VERY様の取り組みにお礼をお伝えしたくてこのnoteを書いています。いつもエルのフードや犬グッズを買っている盲導犬総合支援センターで買い物をしたユーザーさんに一枚プレゼントという形でした。紺と白のボーダーの洋服を購入した夫がプレゼントしてもらったのは、スイカが描かれた洋服です。接触冷感素材になっていて、頭がすっぽり隠れるフードが付いていました。VERY様の取り組みについてはこちらをご覧ください。

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          新しい家での生活

          エルと家族になってあっという間に9カ月が過ぎました。書きたいエピソードはたくさんあったのですが、娘の卒業入学、5月には引っ越しもあり、なかなか書けずにいました。少し時間ができたので、新しい家での様子を残しておこうと思います。同じマンションの広い家に引っ越しました。間取りもほとんど変わらないのですが、エルが新しい家に適応できるのか少し心配していました。引っ越す前には 「エル、新しい家に引っ越すからね。みんないるから大丈夫やからね」 と伝えていました。エルは 「ふーん。引っ

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          溢れた感情の先に見つけたもの

          嫌なことがあったとき、起こったり悲しんだりして感情を外に吐き出すよりも、「きっとこうなんじゃないか」とまずは理屈で考えるようになったのはいつからだろう。それで気持ちが収まればいいのだが「辛かった・悲しかった」という吐き出しきれなかった感情は心の中に残り続ける。残り続けた感情がとあるきっかけで溢れ出した。 先日、こんなことがあった。娘が小さい頃は私と夫が全盲ということで、周囲からいろんな言葉が飛んできた。 「お母さんを助けてえらいね」 「毎日誰がご飯作ってるの?」 直接聞

          溢れた感情の先に見つけたもの