Noraneko⁠

おいしいものと、ワインと旅が好き。 すこし繊細な息子との日々、書籍編集の仕事のことなど。

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おいしいものと、ワインと旅が好き。 すこし繊細な息子との日々、書籍編集の仕事のことなど。

最近の記事

青いセーターと、父の話。

「あのさ。こんどお義父さんに、セーターを贈るのはどうかなあ?」 息子と手をつないで休日のショッピングモールを歩いていたら、思い出したように夫が言った。 もうすぐわたしの父の誕生日なのだ。 そういえば、誕生日も父の日も夏の時期だからか、これまで父に贈るものは半袖のシャツやハーフパンツのような夏物ばかりだった。 「セーターかぁ。いいんだけど、あれがあるよ。ほら、あの青いセーター。」 「うん。でももう一着あってもいいんじゃない」 「でも、あれ似合ってるからなぁ。最近買った

    • 旅の準備を、少しずつ。

      仕事が立て込んでた日々がようやく終わり、 気づくと7月になっていた。 新しいスマホをネットで買ったものの、なんやかんやでその開封すらできずに2週間。 はじめからこうなることは分かっていたのだ。 締切が重なっていたし、そもそも「厳しいと思うから、気にせず断ってほしい」という依頼だった。 でも、ひと晩悩んでから、受けてみることに決めた。 まだこのフリーランスとしては駆け出しでどのくらいの量をこなせるのか知りたい気持ちがあったし、これまでやったことのない内容に少し興味もあった

      • 息子と冒険するため、会社員をやめてフリーランスになった。

        1月に、今年の抱負についてこんな記事を書いたのです。 「生き方を少しずつ、変えてみる。」 実は春をすぎて、その一歩をおそるおそる踏み出してみました。  わたしはもう会社員じゃなくなった。 フリーランス、ということになるんだろう。 会社をやめても、仕事はありがたいことに引き続き以前の編集部から案件ごとの外注という形でいただいている。 コロナ禍に思い切って買ったiPadproがようやく陽の目をみることになった。 場所や時間にとらわれない働きかた。それについては以前からぼん

        • こどもは余白の時間で、世界を旅する。

          ママ!これ見て! 去年うめジュース作ったの6月13日だってー! 納戸から息子が、まるで大発見のテンションで 大きな保存瓶を抱えて走り出てきた。 うめじゅース つくったひ 6がつ13にち 去年のラベルがそのままになっている。 今年もやりたい!ぼくやる! ぼくが、ぜーんぶやるからね!! わ、そういえば、そんなものが。 今年はすっかり忘れていたなあ。 そして思ったのだ。 こどもというのはどうしてこう、納戸が好きなのだろうか。 窓もないし、昼間だって薄暗いわが家の納戸は

        青いセーターと、父の話。

          note1年記念日に、思うこと。

          noteをはじめて書いた日から、ちょうど1年が経ったみたい。 そういえば、1年前は宿題をやるのにも毎日ひと苦労だったんだなぁと、これを見て思いだした。 【はじめてのnote】 「やりたくなくても、やらなきゃいけないことをする」ということと、いつのまにか彼は彼なりに折り合いをつけて、受け入れてきたのだなあと、この一年の成長を振り返った。 宿題もときどき文句を言うことはあるけど、当たり前のようにやるし、ノートや連絡帳を書く字もびっくりするくらいに濃くきれいになった。 明日

          note1年記念日に、思うこと。

          そうじ係をエンジョイするわが子が、ただ尊い。

          夕方、帰宅した息子がランドセルをほうり投げるなり言ったのです。 「帰りの会で、あしたゴミを10コひろった人にプレゼントをあげるって言ったから、シュリケンつくるの手伝って!30コはひつようです」 な、なんですか急に? 手裏剣?! って、折り紙? あげるの?誰が?誰に? 寝耳に水すぎて状況把握に3分ほどかかった。 どうやら息子はクラスで教室をきれいにする おそうじ係になってるらしいのだけど、 毎日ごみを拾っても拾っても新しいのが落ちていてきれいにならない。 そこでクラスみ

          そうじ係をエンジョイするわが子が、ただ尊い。

          はじめての4人家族体験。

          我が家は3人家族なのだけど、先日のゴールデンウィークに1日、妹宅の2歳児(男の子)を預からせてもらった。 その前の2日間はみんなで遊んだりしてたから、もうお互いに慣れたもの。 昔あげた息子とお揃いの帽子をかぶってきてくれて、誰がどこから見ても兄弟のふたり。我が家にとってはわくわくの4人家族体験である。 「ちょっと今イヤイヤがすごくてすぐ爆発するから、大丈夫かなぁ」 妹は心配していたが、これがもう、ほんとうに白目を剥くほどややこしかった。 時たま、イヤヨォ〜とかいう2歳

          はじめての4人家族体験。

          7歳の子が習い事で得たもの。

          息子はいま、習いごとをいくつかしているのだけど、最近改めて思う。 習い事って、やっぱり素晴らしい!!と。 習い事って、なんか少し親のエゴみたいなイメージがあって、実際我が家も最初のスタートはそうだった。 みんなやってる公文や英語系のお勉強ではなく、運動系ばかりになったのは、実は運動のほうが苦手そうだからという理由にすぎない。 こどもの得意を伸ばそうという昨今の風潮にあって、この後ろ向きな理由はどうなのかと思ったけれど、赤ちゃんの頃から何もない場所で頭から転び、犬神家の一

          7歳の子が習い事で得たもの。

          こんな日には、「だいじょうぶだよの歌」を歌う。

          大人になったって、わたしはやっぱり新年度が苦手なんだなぁと改めて思う今週。心がざわざわとしていて、なんだか落ち着かない。 息子は2年生に進級して、クラス替えがあった。 保育園から仲良しの子と、一年で仲良くなった子達とは別のクラスになり、息子によれば何より先生がとっても厳しい人になったのだそうで、あまり人としゃべることなく帰宅したという、3日め。 「2年生って、厳しすぎる」と帰るなり言っていた。 昨日からかなりストレスを感じてそうな様子なので、まっすぐ帰宅できるようにしたら

          こんな日には、「だいじょうぶだよの歌」を歌う。

          【結論】偏食っ子には一品弁当でよい。

          明日から小学校の新年度がはじまる。ということで、春休みのお弁当生活は一旦ひと区切り。 我が家の偏食ボーイ、色々と食べるものも量も増えたとはいえ、これが弁当となるとそのハードルは途端に高い。 「あんたには人の心ってもんがないんかね!!」と叫びたくなるくらい、容赦なく残してくる。 喉もと過ぎてすっかり忘れてたけど、去年の夏休みに、そういえば一旦心が折れたんである。 いつも半分くらいは生ゴミいき。 ウインナーだけしか食べてこない日も幾度かあった。 そうなればこっちは当然毎回、

          【結論】偏食っ子には一品弁当でよい。

          一年生の自由帳は、一生の宝物。

          小学校もあと数日で一年生が終わる。 この一年、ほぼ毎日のように息子は家に「おみやげ」を持って帰ってきた。 ドアをあけるとたいてい「今日はすっごいいいものがあるよ!なんでしょう?」と言って、待ちきれないようにランドセルを放り投げ、ガサゴソとなにか出してくる。 最近のブームは肉らしい。 ギャートルズを彷彿とさせるでっかいハリボテの肉。 この肉はある日学童から持ち帰ってきて以来、捨てても捨てても新しいのを何本も量産してくる。 家からランドセルに肉を一本入れて登校することもあ

          一年生の自由帳は、一生の宝物。

          結婚10年目、夫婦に「病めるとき」がやってきた。

          3月って、なんだかそわそわ、不安で心が落ち着かない季節。もうすぐ子どもは新学年になり、仕事は新しい期がはじまる。 寒さがやわらぎ、春の嵐といわれるような風がふいて、陽射しにもこれまでにない強さを感じると、ああ、今年も春がくるのだと思う。 タイトルにした下の記事は、昨年9月に書いたもの。書いたけれど、これだけは結局公開しなかった。 だけど我が家にも不安な冬を越えて春が訪れ、ふたたび穏やかな日々が戻ってきたのを感じている今、だれかに伝えてみたいと思った。 *********

          結婚10年目、夫婦に「病めるとき」がやってきた。

          7歳の誕生日と、ドレミの歌。

          我が家の、甘えんぼう時々ジャックナイフな息子が7歳になりました。 感慨深い。赤ちゃんの頃から喘息、眠りの浅さ、偏食など次々と心配ばかりしてきたけれど、とりあえず元気で明るく育っている。ちゃんとこんな日が来るとは…。 ありがたや、ありがたや。 五感をめぐる繊細な感性と、やさしい心。 この小さな人が見ている世界は、わたしと同じ場所のはずだけど、違って見える。 あなたはたしかにこんな子どもだったのだよということを、この先もずっと忘れたくなくて ああ、まるで詩のようだと思いながら

          7歳の誕生日と、ドレミの歌。

          6歳のバレンタインデー

          昔からなぜか、お菓子作りというものが特別苦手だった。 ドーナツを作ってばくだん岩ができあがる実力。料理は感覚的にできるし楽しいし、結構好きなのになぁ。お菓子は哀しいほどにダメ。 そんなワケでバレンタインも嫌いだった。 片思いの人にチョコを作ったりあげたりしたこともない。だいたいバレンタインってなんなわけ、とか言いながら、やりすごしてきた人生。 だけど、あれはお正月に新年の壁かけカレンダーを飾ったときのこと。 息子がまず一目散に3月をめくり、14日のところにペンでぐるぐると

          6歳のバレンタインデー

          家じまい。家と、お別れするということ。

          数年前に父方の祖父が亡くなってからずっと無人だった田舎の古い家を、ついにたて壊し、家じまいすることになったと連絡があった。 幼いころは、毎年夏の一週間をここで過ごしていたけれど、最後にこの家を訪れたのは結局いつだったか。もうずいぶん昔のことの気がする。 だだっ広くて、全部の雨戸をくってまわるだけで40分はかかるというその家で祖父は生まれ、長い生涯をとじた。 兄弟がみな出てゆき、子どもたちが出ていったあとも、晩年まで通いのお手伝いさんに来てもらいながらひとりで住んでいたのだ

          家じまい。家と、お別れするということ。

          もうすぐ節分。保育園に、鬼がくるのが嫌だった。

          今年も間もなく節分の日。 「小学校にも、鬼って来る?」 あれは年が明けて早々だったか、息子が心配そうに聞いてきた。 保育園では毎年必ず鬼がクラスにきて、わるい子はいないかと脅かし、豆を投げたら退散していく行事があったから。 「たぶん来ないよ」というと、「あー、よかった。保育園はさいあくだった…」といって、驚くほど鮮明に覚えているらしいそのときのことを話しはじめたのだけど、なんだか、色々と考えさせられてしまった。 去年の節分、息子のクラスは紙袋にクレヨンで鬼の目鼻をかいたり

          もうすぐ節分。保育園に、鬼がくるのが嫌だった。