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「世界漂浪の記」 羽生隆 101選

101
50年遅れの同じ日付で毎日投稿されていた羽生隆さんの旅行記「世界世界漂浪の記」の中から、何度も読み返したい特に印象深い投稿を集めました。
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#旅行記

❨289❩1972.6.16 金 曇→雨  日記1冊目終了/アスンシオン5日目·パラグアイ(Asunción:Paraguay)

❨289❩1972.6.16 金 曇→雨 日記1冊目終了/アスンシオン5日目·パラグアイ(Asunción:Paraguay)

ブラボー・ブラジルのビザをもらった (280グアラニ)。

今日は、冷たい雨降り。
街の中の道は、川になってしまう。ひどいところだ。

30分の座禅と一時間の補強をする。

めまぐるしく土地が変わる
気候が変わる
人までも変わる

こんな毎日が続く
今まで・・・今も・・・これからも

問題はその中で 何を吸収し
何を見捨て行くかでは、ないだろうか?

遂に、この手記も終わってしまった。
九ヶ

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❨332❩1972.7.29 土 晴  過ぎて来た国を思い出す:SUMA23日目/サンパウロ:ブラジル(Sao paulo:Brazil)

❨332❩1972.7.29 土 晴 過ぎて来た国を思い出す:SUMA23日目/サンパウロ:ブラジル(Sao paulo:Brazil)

山田へレコードを送った(26クルセイロ)。
これでやれやれ。

あと手紙を7、8通書いて終わり。出した手紙の中で、果たして何通返事が来るだろう。
当てにはしないが、沢山来るといい。

過ぎて来た国を思い出した。

ロサンゼルス=気候温和で太平ムードの気楽な町。
メキシコ=マリアッチを始め、ステキな音楽が聞けた。
グアテマラ=暑さにはコッテリまいった。
ホンジュラス=たった一日でさようなら。
エル·

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❨668❩1973.6.28.木.曇→晴/人間の考える夢とは何なのか?/ロサンゼルス:アメリカ合衆国

❨668❩1973.6.28.木.曇→晴/人間の考える夢とは何なのか?/ロサンゼルス:アメリカ合衆国

昨日今日と、ボスが変わったけれど、いずれも俺の感覚から見て、良いと思える人だ。
例え時間が長くなっても、ヘルパーを多少なりとも気にかけながら使う人には、気にならない。

人間の夢とは何なのか?
幸せになる事と、人々は云うだろう。そして、幸せになる事が、どれ程手間がかかり、面倒臭い事も、おおよそ判っている。
ましてや、幸せなんてものは、永久に持ち続けるなんて事は、不可能だ。
結局、追いかけっこなの

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❨820❩1973.11.27.火.晴/モロッコ・タンジールの町とハッシシ/タンジール:モロッコ

❨820❩1973.11.27.火.晴/モロッコ・タンジールの町とハッシシ/タンジール:モロッコ

アルジェシラスより、フェリー(98ペセタ)に乗り、スペイン領 セウタまで渡る。
ジブラルタ海峽は、波もおだやかだった。
北アフリカ、モロッコに入る。暑くなった。

3時半のタンジール行きのバスに乗る。大型 56ペセタ。
ここのバスは、おとなしくしていると、 荷物代をボラれる。荷を上へ上げたというだけで、25ペセタ要求してきやがった。
人間56pstで荷物が25pstとは、頭に来た。
5ペセタ値切る

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❨825❩1973.12.2.月.晴/メディナで値切り合戦/マラケシ:モロッコ

❨825❩1973.12.2.月.晴/メディナで値切り合戦/マラケシ:モロッコ

ユースが9時で閉まるというので、5人揃って出る。センターまで2km、歩いて行く。
ホテルを探し、3.5まで値切った。

メジナ(中央市場)の中は、人でゴッタがえしている。人の意気と熱気でムンムンしている。真昼の太陽はクソ暑い。

広場には、へび使いやその他、変わったものが、昨日とは違って出ていた。俺は見るだけで浮き浮きしてくる。
色々な見せ物が広場一杯並んでいる。

彼等もやはり商売で、ただでばか

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❨826❩1973.12.3.月.晴/Oh! Marakeshi/マラケシュ:モロッコ

❨826❩1973.12.3.月.晴/Oh! Marakeshi/マラケシュ:モロッコ

昼前、洗濯。
昨日とは違ったマーケットの中を歩く。1km以上も続いていた。
シーノア(中国人)という声がよくかかる。「チノ」と呼ばれる程、頭には来ない。

カスバを奥の方までいってみた。
子供がよく目につく。所々、ばあさんじいさんが道端にうずくまっている姿が見られた。女も男も、めずらしそうに俺の顔を眺めながら通る。

チリーで会った、二人の男性に二年ぶりに再会。驚いた。世界は狭い。

Oh! Ma

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❨832❩1973.12.9.日.雨/フェズのカスバを歩く・働く子ども達/Fez:モロッコ

❨832❩1973.12.9.日.雨/フェズのカスバを歩く・働く子ども達/Fez:モロッコ

一日雨降り。3.50ディラハムのホテルを出、2.60の所へ移る。

朝からひどい雨降りで、石畳の道の両側は、小川に化していた。
子供が盛んに、勧誘に寄って来る。
雨の中を、シャツ一枚で震えながら飛び回っている。実に丈夫だ。

やっとホテルへ落ち着き、すぐ見物に出る。
メジナは、マラケシュとは少し感じが違い、カスバの中の細い道の両側に並んでいる。
ずっと坂になっている。

石畳(レンがの様な)、薄暗

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❨847❩1973.12.24.月.晴/親切なギリシャ人・ヒッチハイクで200km/ギリシャ

❨847❩1973.12.24.月.晴/親切なギリシャ人・ヒッチハイクで200km/ギリシャ

6時半起床。日記をつける。小寒いが、空は晴れ。ヒッチ出来そうな天気。

朝から4時までで、200kmのヒッチ。4台の車を乗り継いだ。
その間、親指を立てながら、国道をテクテク。ショイコをかついでよく歩いた。

ギリシャの田舎は実にのどか。ミカンが夏盛り。冬というのに緑の多い国だ。
気候もいい。道路脇に畑が続いている。
歩いていて、畑の前で売っているじいさんから一つ大きなのをもらった。

ギリシャ人

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❨856❩1974.1.2.水.曇/交通事故!アンカラの病院に担ぎこまれる/アンカラ→カイセリ→アンカラ:トルコ

❨856❩1974.1.2.水.曇/交通事故!アンカラの病院に担ぎこまれる/アンカラ→カイセリ→アンカラ:トルコ

イランのビザは、アフガニスタンのビザが初めに要るという事。アフガンの領事館へ行くと、7日まで休み。
仕方なく、5ドルと高い金を払って、ツーリスト・ビザを取る。

昼からアンカラを出る事にし、郊外まで3時間、ヒッチしながら歩いた。
車の風が身に沁みる。楽じゃネェ〜〜〜。

やっと止まった車は、40km先の家も何も無いカイセリの分岐点まで。小丘の続く所で、野山は真っ白。

薄暗くなり、車もほとんど通ら

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❨869❩1974.1.15.火.晴/ここに、俺が想像した中近東の姿があった/ヘラート:アフガニスタン

❨869❩1974.1.15.火.晴/ここに、俺が想像した中近東の姿があった/ヘラート:アフガニスタン

めまぐるしい旅が続く。九時起床。入国手続きに行く。

パスポート・チェックが厳しい。
パスポート、荷物のチェックの後、再度パスポート、バクシネーション(注射)検査。
天然痘の注射証明がない事で引っかかり、ひとくさりモメたが、懸命に説明し、やっと通れた。
 
満員のミニ・バス(100アフガン)でゴトゴト、タイバドまで140km。途中でラクダをよく見た。
山の遠い、平原の道。雪はグッと少なくなり、寒さ

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❨898❩1974.2.13.水.曇/バーミヤンの石像について/カブール:アフガニスタン

❨898❩1974.2.13.水.曇/バーミヤンの石像について/カブール:アフガニスタン

出発は、明日午後9時と決定。
午前中、明日のバスの事でつぶれ、午後は少し本を読んだ(松本清張「張込み」)。

夜、4人でまたラミーをやった。
2時過ぎまで、熱戦。
後、荷をまとめる。

バーミヤン・・・ 世界最大の石像
残念ながらら俺は、この地を見なかった。
この悲しいシャカの石像を見て、人は何を思うのか?
知っている事は、仏教徒が造ったこの像を、イスラム教徒が破壊したという事実だけである。

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❨お礼❩2024.3.19.火.晴/ありがとうございました!/日本

❨お礼❩2024.3.19.火.晴/ありがとうございました!/日本

二年半の「世界漂浪の記 ―世界35ヶ国 2年半 一人旅の記録―」が終わりました。
このページへ来て下さった方皆さんへ、毎日投稿してきました長女の私より、お礼を申し上げます。本当にありがとうございました!

小さな頃から、まるで子守唄のように父の旅の話を聞いてました。
いつか孫たちがおじいちゃんの冒険に興味を持ったときに、いつでもどこにいても読めたらいいなと思うようになり、ちょうど旅の出発から50年

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