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❨869❩1974.1.15.火.晴/ここに、俺が想像した中近東の姿があった/ヘラート:アフガニスタン

めまぐるしい旅が続く。九時起床。入国手続きに行く。

パスポート・チェックが厳しい。
パスポート、荷物のチェックの後、再度パスポート、バクシネーション(注射)検査。
天然痘の注射証明がない事で引っかかり、ひとくさりモメたが、懸命に説明し、やっと通れた。
 
満員のミニ・バス(100アフガン)でゴトゴト、タイバドまで140km。途中でラクダをよく見た。
山の遠い、平原の道。雪はグッと少なくなり、寒さも和らいだ。
自転車の旅に良い所だと思った。もう少し金があれば、やりたい所だ。

ヘラートの町。デッカイ、ブルー・モスクというイスラム寺院があった。
堂々たる建物である。彼等の信仰の厚さがよくうかがえる。自分達の住居は、泥で作った 穴の様なものなのに、寺だけは立派なものを 建てるのだから。

入って(靴を脱ぐ) から、金が要るコト分かったが(10アフガン)、金が無くて、払わずに出た。
壁の彫刻が珍しかった。

民家は土製なので、町は埃っぽい。
広い道の脇に、小さな店や家が並ぶ。
馬車が走り、木製のリヤカーがある。古ぼけた感じだが、活気はある。俺はこのムードが好きだ。 
ここが気に入った。人々は人懐っこく、好感が持てる。

パン屋?らしい店の中をのぞくと、炉があって、周りで5.6人座って、粉を練っている。
真ん中に穴があり、その中で焼くらしい。

店先には、縦40〜50cm、横20〜30cm位の、長細いお盆の様な、薄っぺらいパンーーチャパティーーを並べて売っている。
面白い。スゴク、面白い風景だ。

町外れの崩れた土壁の前で、陽だまりにうずくまって、老人が静かにチャイ(紅茶)を飲んでいた姿もまた印象的だった。

ここに、俺が想像した中近東の姿があった。
泥の匂い、埃っぽい町、ロバやラクダ、馬車、ダブダブのズボンにターバンをつけた人々。
これ等が全て、ピッタリ、まとまっている。

何百年も前から、彼等が営んできた生活が、今なお見られる様な気がする。
なんとノンビリした、気楽なことだろう。

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