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日常のひとこま

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マガジンの写真の建物は、寮の最寄駅 «проспект Вернадского».
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ロックが導くマイトレイン

ロックが導くマイトレイン

激しいドラムやギターにパワフルな歌声と1つの熱狂の嵐を作っていたのは、確かだ。

その時の1つ1つの音は何ひとつ覚えていない。

記憶にあるのは、(約)50000分の1の豆粒として叫び飛んでいたこと。

言いたいことを言えば、あーだこーだと叩かれる。

そんな世の中を支配しているのは、愛でも誠意でもない。

ケンリョクに溺れたオジサマたちが作ったオキマリやオヤクソクに、異論を唱えないことがフツウと

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可哀想とか幸せとかってなんなの? No.0

可哀想とか幸せとかってなんなの? No.0

家が崩れ、友達を失い、故郷を離れた可哀想なウクライナ避難民を助けてあげよう。

ロシア語ができるなんていいね、可哀想なウクライナ避難民を助けてあげられるんだもん。

これは、ロシア語を学習している筆者が言われてきた言葉であり、SNS上でもよく目にする言葉でもある。

ウクライナ全土がむしばまれ始めてから1年以上が経つが、終わりは全く見えない。

それどころか、各国の要人が競い合うかの如く、ウクライ

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ウクライナのパパとネコちゃんに会いたいの

ウクライナのパパとネコちゃんに会いたいの

くすみピンクのカーディガンにブレザー制服のスカート。真っ白な上履きはひときわ目立つ。

窓から風が吹き込むと、大胆に束ねられたブロンドの髪がなびく。

ヴァーニャのお姉ちゃんか。少しドキドキする。

10月にウクライナからやって来た8歳の男の子の通訳を、大阪の小学校でしている。

今日は、14歳の姉の通訳を頼まれた。

「今、性教育の授業をしているから体育館に行ってくれん?」

国語でも英語でも数

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先生聞いて。守れたはずの挑戦権

先生聞いて。守れたはずの挑戦権

中学3年生の3月、アメリカ行きのチケットが手から滑り落ちた。春休みに1ヶ月間、現地の高校で学べるプログラムの選考に落ちた。

唯一の試験である英語の出来は完璧だ。どうして?先生に理由を尋ねた。

ちょうど2年前だった。

12歳の私を待っていたのは中学受験の失敗。中高附属ではない私立の小学校に通っていたため、当たり前のように受験をした。

意志なんて、なかった。

半ば強制的に挑んだ試練で敗者にな

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女の就活、おままごと 〜国際女性デーに併せて〜

女の就活、おままごと 〜国際女性デーに併せて〜

「女っていいよなー。就活、おままごとじゃん!」

電話越しのA君は確かにそう言った。えーっと、どういうこと?全くわからない。就活をお遊びとして楽しんでいるわけではない。むしろその逆ですが、、、?

6月に初めて、憧れの企業の説明会に行った。ずっとずっとずーっと憧れてきたお仕事をしている人生の大先輩と同じ空気を吸っている。嬉しかった。もっとこの大先輩のお話を聞きたい!このイベント以降、この業界のイン

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ことばを学ぶ

ことばを学ぶ

この場にロシア語への関心がある方がいらっしゃるかどうか分かりません。さあロシア語を学んで!だなんて押し付けがましいこともしません。

ロシア語は、少しでもロシア語を知っていると、ロシア語話者には心から喜ばれます。簡単な挨拶ひとつでも喜ばれるのです。一見意外に思われるかもしれませんが、ある意味、当たり前のようにも思ってしまいます。ほら、私たちだって、外国の方が日本語を少しでも知っていると嬉しくないで

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美容師

どんよりとした曇空。どこか不確かな足取り。湿気でくちゃくちゃの髪。鉛のように重いこころ。理由なんて分からないけど、何もかもがダルい。視線を左に右に、前に後ろに向けてみる。おかしい。雲ひとつない快晴が広がっている。その空の下をスタスタと人が歩いていく。キレイ。カッコイイ。みんなキラキラしている。もう一度、視線を真上に向ける。はあ、自分が情けなくて嫌だ。時間は無表情に冷酷に淡々と過ぎていく。今日も冴え

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生きづらさ

生きづらさ

今日も天気は曇り模様。気温がマイナス2桁の日々が続く。こんな天気のせいで毎日ずっと頭が痛い。だけどこの日は、心も痛かった。

カフェを出た。30分後に授業が始まるから急がなくちゃ。除雪作業が行き届いていない歩道は滑りやすい。ツルッと滑りそうになりながらもゆっくりと足を下ろして寮に向かう。5分ほど歩いた頃だろうか、信号が出てきた。ロシアの赤信号はとても長い。青信号が点滅しているのは40秒ほどだという

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