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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2023年7月の記事一覧

「金利負担」が問題になるのは@3%を超えてから。ー 「円安」vs JGBの激しい綱引き。

「金利負担」が問題になるのは@3%を超えてから。ー 「円安」vs JGBの激しい綱引き。

 米「インフレ」の粘着力。ー 「株価」と「個人消費」の関係。|損切丸 (note.com) でこう書いたが、まさにそう言う展開。一時@138円台まで急落したのドル円も気が付けば@141円台に逆戻り。やはり「物価見通し」の下方修正(2024年度~)↓ で「金利を上げません」と吐露した事が響いている。何でこんな "蛇足" を付けるのか、理解に苦しむ。

 一部メディアがまた騒ぎ出したがいい加減にして欲

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米「インフレ」の粘着力。ー 「株価」と「個人消費」の関係。

米「インフレ」の粘着力。ー 「株価」と「個人消費」の関係。

 PCEを見ると徐々に上値は切り下げているものの、コアは@+4%台で高止まり。「インフレ」は確かに酷いが「人件費」がそれに追い付いて上がっており、個人消費には再び活性化する傾向も見えてきている。これと呼応するようにWTI等原油価格も住宅価格もじり高に転じており、やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) は消えていない。

 鍵を握るのはアメリカ人がたくさん保

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「株安」より「円安」へ。ー またも「7月の変」。YCC運用の "柔軟化" 。

「株安」より「円安」へ。ー またも「7月の変」。YCC運用の "柔軟化" 。

 次のテーマは何だ? ー 近付く「利上げ」局面の ”終わり” (除.日本)。|損切丸 (note.com) で「未だに腰の定まらないJGB(日本国債)市場を見ていると何だか "ザワザワ" する」「何か変ではある」と前振りした「損切丸」だが、こういう事か ↓

 なるほど。 もう「失敗」できない日銀。|損切丸 (note.com) としては市場へのダメージをコントロールしつつ「時間」を買った政策変更

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続・「利上げ」は本当に止まるのか? ー 米国債は再び「4%の世界」へ。

続・「利上げ」は本当に止まるのか? ー 米国債は再び「4%の世界」へ。

 「利上げ」は本当に止まるのか? ー 戸惑う国債市場。 |損切丸 (note.com) の続編。

 正直言って米経済の恐るべき強さである。堅調な個人消費を軸に予想を上回った第二四半期GDPもそうだが、*驚くべきは米住宅市場。住宅ローン金利が@7%にもなろうというのに下落基調が反転( ↑ 標題グラフ)。

 直近のNYダウ13日連騰を含め、やはり株価上昇の恩恵が大きい。何しろ「株価至上主義」のアメ

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「AI」時代のマーケット。ー 相場を動かすのは「人」か「AI」か、それとも「見えざる手」か。

「AI」時代のマーケット。ー 相場を動かすのは「人」か「AI」か、それとも「見えざる手」か。

 かつて重度の肉離れ(完治3ヶ月)でお世話になった整体師さんに定期的に通っているが、時折こんな話になる。おそらくマッサージは「AI」からは遠い職種だと思うが、*5年、10年経てばどうなるかわからない。

 本格的な「AI時代」が到来しているのはマーケットも同じ。いや、マッサージなどに比べれば遙かに「AI」に適した職場だ。1秒間に数千回売買を繰り返すHFT(High Frequency Tradin

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次のテーマは何だ? ー 近付く「利上げ」局面の ”終わり” (除.日本)。

次のテーマは何だ? ー 近付く「利上げ」局面の ”終わり” (除.日本)。

 2023.1.18.「煽るだけ煽って喰いついてきたらズドン!」が常套手段。|損切丸 (note.com) でも触れたが、ビットコイン(BTC)はまた何かやっている(苦笑)。今や1日で5%や10%動いても驚かなくなったが、ますます酷くなっている。年初来の運用成績だけ見ると主要市場(?)では+75%の断トツトップだが、過去2年ではまだ▼37%。

 手口としてはボールド市場(Bold、市場流動性の乏

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「利上げ」は本当に止まるのか? ー 戸惑う国債市場。 

「利上げ」は本当に止まるのか? ー 戸惑う国債市場。 

 昨日 旅行に行くなら「日本」。ー 貿易赤字解消 → ≓ 「円安」に歯止め?|損切丸 (note.com) で「円高」転換か、とコメントした途端に、あっさり米国債の売り(金利上昇)で吹き飛ばされた。相場は難しい。

 きっかけは米新規失業保険申請件数の減少(initial jobless claims ↑ 標題グラフ)。雇用の回復→「利上げ」再開を想起させた。この2年間煮え湯を飲まされ続けてきた金

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旅行に行くなら「日本」。ー 貿易赤字解消 → ≓ 「円安」に歯止め?

旅行に行くなら「日本」。ー 貿易赤字解消 → ≓ 「円安」に歯止め?

 「海外から観光客が殺到する前に京都に旅行したいね」

 こんな話を夫婦でしていたが間に合わなかった(苦笑)。「コロナ規制」解除後のインバウンドの回復は目覚ましく、国内の旅行・観光業者はほっと一息。もっとも「人手不足」や観光ゴミの増加など様々な問題が山積しているようだが、それでもお客さんは来ないより来た方が良い。

 英銀で勤めた「損切丸」的感覚でいうと、もし筆者がイギリス人なら間違いなく日本に旅

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「お金」も「モノ」も減っていく世界で私達はどう生き抜いていくのか。

「お金」も「モノ」も減っていく世界で私達はどう生き抜いていくのか。

 話題のジブリ作品を見てきた。一部酷評もあったようだが、どうしてどうして。数多ある作品のエッセンスを所々に組み込んであり、監督の「さよなら」メッセージとしては十分と個人的には感じた。平日というのにほぼ満員の観客がその事を如実に物語っている。

 「損切丸」も30年近く「金利」の側面からマーケットを眺めてきた。そういう意味では今の激動のマーケットも過去の要素をふんだんに組み込んでいる。その最たる要素

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「損切丸」の原点に立ち返って見る。ー "漂流" するマーケット。

「損切丸」の原点に立ち返って見る。ー "漂流" するマーケット。

 「損切丸」を始めたのが2019年4月13日 「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ1  筆者の自己紹介|損切丸 (note.com) ある記者さんのアドバイスで1記事2,000字ぐらいを目処に1,000本ぐらい書いてきたが、正直随分書き尽くした感もある。この4年間、様々な事が起きた。

 元々邦銀からイギリスの投資銀行に転職した金利トレーダーとしての経験を基に世の中で見えていない側面を書

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やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” 。

やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” 。

 (参照) 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com)

 ウォール街の一部は@3.0%まで低下した米CPIを見て歓喜の渦(?)に包まれた。2021年末以降2年間も苦汁をなめてきただけに気持ちはわかる。多くの同僚も業界を去ったことだろう。確かに政策金利の@5%への上昇には達成感があり、相場暴落の危機は去ったように見える。

 だがそこは「消費・借金大国」アメリカ。 確かに「利上

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もう「失敗」できない日銀。

もう「失敗」できない日銀。

 「9ヶ月の@0.63%、取っておきました」

 忘れもしない2000年7月、「損切丸」は夏休みを取ってイタリアに旅行に行っていた(ちなみに当時ユーロは@100円以下<現在@154円。随分安かった)。1994年にFRBの「利上げ」で大やられした経験に基づいて、オファー(資金の出し・運用)があるうちに期間の長い「お金」を調達しておくよう指示しておいた。筆者不在の中、果敢に動いたアシスタントの子を褒め

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確かに「利上げ」は止まったが...。ー 「利下げ」まではまだ遠い?

確かに「利上げ」は止まったが...。ー 「利下げ」まではまだ遠い?

 「利上げ」は止まるかもしれないが...。ー Money Changes Everything. 「お金」の魔力。|損切丸 (note.com) の続編的 note.

 注目の6月米CPI。総合指数+3.0%はなかなかのインパクトで、これで日本をも下回った。米国債が素直に買われた(金利は低下)のもドル円が@138円台まで売られるのも非常に分かり易い反応だ。

 だが1年までの年限は既に2022

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「お金」を減らす「インフレ」。ー 余っていたはずが一転 "奪い合い" へ。

「お金」を減らす「インフレ」。ー 余っていたはずが一転 "奪い合い" へ。

 最近「お金」の減り方が激しい。そんなことを感じている方も多いのではないだろうか。やたら消費税@10%も気になるし、アメリカではチップまで@10~15%→@20~25%への「値上げ」。5,000円の品物が6,000円になれば消費税は▼500円から▼600円に上がる。なるほど、税収が過去最高の71兆円になる訳である。こうなると「お給料」が上がらないとやっていけない。これが「インフレ」であり消費税はそ

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