マガジンのカバー画像

にがいよもぎ

9
運営しているクリエイター

#ひとりごと

わたしはあの日、

わたしはあの日、

気が付いていたら書いていた。

詩、とはっきりは言えない。
詩のようなもの、でいい。
日記だと思ってもらっても構わない。

「わたしはあの日、」

様々なあの日の記憶が蘇ってくる。
わたし自身のあの日。

しかし、全てのあの日は「わたしだけ」の日々ではなく、必ず誰かが、何かが共に在った。

はっきりとした言葉にはならない、できない、何か、何者か。

無理やり葬ったものでもあり、傍観してきたものでも

もっとみる
牛歩

牛歩

大荒れの海。

なかなか航海に出られないとしても、広げた地図を畳んで仕舞いこむ必要はないし、想像の中ではすでに海に出てる。
いつもそういう状態でいたい。

心が八方塞がりになって「窮屈」に感じることが、一番自分を弱らせる。

どんな苦境に立たされようが、自分の心だけは常に自由でいさせる。

どんなに美しい未来を想像していても、突然自分の予期せぬ事態に陥って、休むこと、停滞を余儀なくされることなんて

もっとみる
天気のはなし

天気のはなし

今年の夏の山小屋帰りに母と車で2人、大袈裟に盛り上がるわけでもなく、でも会話に迷ったわけでもなく、ただ純粋に天気の話をできたのがとてもよかったなと思い出す。

あの雲の形すごいねえとか、空が広いねえとか、そういうことを他人と話し合っても、純粋に「そうだねえ」ってお互いにストンと沈められる感覚ってなかなか訪れなくて、その瞬間を切り取れたときはとてもいい瞬間だなと思う。

社交辞令じゃなく、天気や空を

もっとみる
苦艾と水源

苦艾と水源

わたしはあの日、
たしかに青空に向けて
一匹の子羊を放ちました

わたしはあの日、
たしかに放たれた子羊が
かつて駆けていた麦畑に立ち
地平線に向けて 歩き出しました

わたしはあの日、
たしかに地平線を跨いで
地に降り立った虹の根源を
探しはじめました

わたしはあの日、
たしかに辿り着いた虹の地点が
暗闇に飲まれていくさまを 見届けました

わたしはあの日、
たしかに暗闇に映された
オリオン座

もっとみる
逢魔刻の通り道

逢魔刻の通り道

今は夏だったような気がします。

しかし、蝉の音をまだ聞いていません。
大きな入道雲をまだ見ていません。広い広い夏空を見るまでは死ぬもんかと決めました。

雨が降っています。
シトシト降ります。ザーザー降ります。ジトジトした湿気が体を纏います。

ジットリした風が吹いているような気がしますが、これは風なのでしょうか。ただの空気の流れなのでしょうか。

世の中ではウイルスが浮遊しています。
人々は布

もっとみる
戯曲「バベルの塔の魚たち」

戯曲「バベルの塔の魚たち」

公園でお散歩中の夫婦が、匂いにつられて買ったパンを食べながらお茶の時間を過ごす。そんな夫婦の元へ絵描きの青年がやってきて、近くで油絵を描いてもいいかと尋ねてくる。

変わった匂いが好きな妻を通して、その夫と絵描き、全く別のタイプのふたりが会話を交わすこととなる。

たぶん正解なんてないよねってはなし。

バベルの塔の魚たち

短編3本(午後、夕方、夜の時間軸)の夕方はこちら。戯曲「下駄占い」

戯曲「下駄占い」

戯曲「下駄占い」

夕暮れ時、ひとりの青年が何か探し物をしている。そこへ通りかかった警官が、彼の探し物を手伝うことに。しかし青年は、無いことは確かだが、何を無くしたのかがわからないという。

みんな、何かを探してるなあってはなし。登場人物は青年、警官、占い師、看護婦の4人。

下駄占い

言うまでもなく、別役実さんの影響をモロに受けています。改行の都合で読みにくい箇所もあると思いますが、ご容赦下さい。

ちなみにわた

もっとみる

演劇と社会の、距離感やバランス

演劇企画ニガヨモギとして舞台の企画を主催している立場ではありますが、それ以前にひとりの人間としての個人的な観点で。

演劇をはじめとした芸術分野の価値観と、それらを踏まえた上で、わたしが今回の公演を中止した理由を書いていきます。

わたしは演劇だけでなく、何事にも

小さなコミュニティをはじめとした、大きな社会との距離感やバランスそれは常に測り続けてしまいます。

とくに演劇においては、自分の情熱

もっとみる
ことだまをしんじてる

ことだまをしんじてる

わたしにとって、文章化してる言葉は自分の内面の鏡みたいなもの。それは、ときには外出先の手鏡だったり、ときには自分の部屋にある鏡台だったり。今は、ひとりの時間にゆっくり、じっくり、確認しなおす鏡台の感じ。

取り留めのない日記も、テーマや意思を持って書いてるものも、基本的には他人へのメッセージというよりは、まずは自分が見返すために書くことの方が多い。

そしてそれをこうやって媒体に残すのは、自分の姿

もっとみる