牛歩
大荒れの海。
なかなか航海に出られないとしても、広げた地図を畳んで仕舞いこむ必要はないし、想像の中ではすでに海に出てる。
いつもそういう状態でいたい。
心が八方塞がりになって「窮屈」に感じることが、一番自分を弱らせる。
どんな苦境に立たされようが、自分の心だけは常に自由でいさせる。
どんなに美しい未来を想像していても、突然自分の予期せぬ事態に陥って、休むこと、停滞を余儀なくされることなんて、人生で何度も経験する。
災厄、圧力、挫折、絶望、傍観、閉塞感、焦燥感、孤独感。安楽な死を夢見ながらも、生きている限り背中に生々しく張り付く恐れが消えることはきっとない。
そんなもの消えて無くなればなればいいと願うけれど、同時にそれらは自分の生きる選択肢を増やす原動力ともなる。
生き方を考えるとき、そんなどうしようもない鬱屈した精神が皮肉を増幅させながらも、自分を生き直そうとさせてくる。
真正面から戦うことも、逃げることも、休むことも、全部否定しない。早いか遅いか、強いか弱いか、そんなことも関係ない。
ただ、自由であればいい。
自分の心中だけは自由に想像させ続ける。
2021年は映像作品を作る。
はじめての試み、先の見えない状況下。
しかたなく、限りなく、牛歩。視界が広いところでしかうまく息もできない。
でもそれもまたよし。
なぜなら今年は、丑年だから🐄
今年もどうぞ、よろしくお願いします。