マガジンのカバー画像

お気に入り

129
お気に入りの記事をまとめています。勝手に追加させて貰っているので、外して欲しい方はご連絡下さいね。
運営しているクリエイター

#写真

サラティガ、月

サラティガ、月



INDONESIA

 昨年の暮れから今年にかけて、わたしはここインドネシア、首都ジャカルタの高層ホテルの一室で、ただ茫然と日を送り続けていた

その小さな旅はもちろん、誰に命じられたわけでもなく、自分の意志で年末年始の休暇を過ごすために、航空券と中央ジャカルタのデザイナーズホテルを押さえておいたのだ

 だが、結局、いったい何をしに、あるいは何を観に来たのかが自分でもわからないままだった

もっとみる
今日の空とお散歩写真

今日の空とお散歩写真

ぶらぶら歩きます。
空の写真を撮りました。

燕のねぐら入り

美しく燃える夕陽
雲がその朱を一面に写す
どこまでも遠い どこまでも深い
空に
落ちていく
黒い点々をばら蒔いたような
何万匹もの燕が空を覆う
洗濯機の中にいるみたいと
滝さんが言った
もう空に落ちていた私は千切れて舞っている
点々のひとつやふたつになったって誰も構いやしない
自由に羽ばたく
力強く舞う
空のひとつとなる
美しいものの

もっとみる
【詩】刷り込み

【詩】刷り込み

思い出した
すっかり忘れていたのに
あなたはこんな風だった

きれいごとの言葉の中に
釘やらガラスの破片やら
折れたナイフを入れ込んで
知らんぷりをする

自分の否を指を折って数えても
そこに答えはなくて

気まぐれに振り回されて
落ち込むのはこっちの方

あなたの優しさは自分に帰属してるもの
すっかりあなたは優しいと思い込んでた

思い出せばあなたは元々そんな風

あなたの傷を私が必死で癒して

もっとみる
【詩】忘れたとしても

【詩】忘れたとしても

結んだ手と手

どうして今になって
こんな小さなことが
大事だなんて

懐かしい夏の香り
遠い面影の湿り気のある空気
木陰のタオル
汗を拭く
母さんに渡される
ペットボトル

母さんのしてくれていたこと

出来ないながらに
台所での母さん
ウロウロと
落ち着かないのは
何かを作りたいから

砂の山が崩れていくように
普通の生活が崩れていく

大事な思い出と
消えていく思い出

二人で歌う好きだった

もっとみる
【詩】幸福の報酬

【詩】幸福の報酬

どうにかがんばって
突っ走ってきた
得たいものは得られる

がむしゃらの先にある
それ相応の報酬
それ相応の暮らし

脈絡のない意識の高さで
なんとか這い上がった

戻ることを許さない
そこまできた

それでもカップに入った
虹色の液体は一向に
一杯にならない

入れても入れても
こぼれることもなく
ただ溜まらない

幸福は報酬に比例するはずだった

欲しいものは一通りある

それなのに幸福だけが

もっとみる
この春の花々

この春の花々

桜が咲きはじめたかと思ったら、その後は一気に咲き進みました。僕の生活範囲では、ここのところ曇りや雨の日が多くて、桜はもう散りはじめています。

この春の記録を残しておきたいと思います。

ユキヤナギもミモザも難しい。じつはミモザの木を見たのは初めてでした。近場にはないと思っていたら、よくいく公園に植えられていました。来年また見たい。

桜はやっぱり青空との相性がとてもいいのでそれを見たい気持ちもあ

もっとみる
【詩】Prayer

【詩】Prayer

痛いのは誰かの手首の傷
日ごと出るあの日の憂い話
舐めあう傷の生暖かさ
ではない

漆黒の闇からの手の多さ
逃げるために
後ずさりする

笑いながら地上から去れ
と手首をつかむように
毎日頭の中で
聞きたくない言葉が
響き渡る

否定的な言葉に
剣を持って
泣きながら戦う
誰にも言わず

毎日毎日
ここにいる
ここにいると
繰り返す

隣で微笑んでいる人に
漆黒の話をするのは
辛すぎる

どうぞど

もっとみる
【詩】優しすぎる

【詩】優しすぎる

僕の歩いてきた道
自分の自信のなさが
いつも隣にいて
褒められれば褒められるほど
委縮してしまう

何もかもうまくいっているように見え
壊れているとこなんてどこにもなく
顔も悪くない 頭も悪くない
性格も悪くない 全てに
どこも責められることはない

皆は知らない
僕がこんなに自信がないこと

人ごみに行くと倒れそうになる
顔色を自然と見て
雑然とした出来事は
僕を追い詰める

それでも平静を保っ

もっとみる