【詩】刷り込み

思い出した
すっかり忘れていたのに
あなたはこんな風だった

きれいごとの言葉の中に
釘やらガラスの破片やら
折れたナイフを入れ込んで
知らんぷりをする

自分の否を指を折って数えても
そこに答えはなくて

気まぐれに振り回されて
落ち込むのはこっちの方

あなたの優しさは自分に帰属してるもの
すっかりあなたは優しいと思い込んでた

思い出せばあなたは元々そんな風

あなたの傷を私が必死で癒して
私は傷の上に傷をつけられる
これが普通だなんて
馬鹿げた普通

散々優し気な言葉を言った後に
崖から落とす
そういえばそうだった

囲いの中の息苦しい自由

あなたが酔いしれるように
テーブルセッティングするのは
もう無意識の行動

泳がせといて
気に入らないと
槍で中心を刺す

思い出した
これは間違い

私が傷つく理由なんてない

昔とは違う
盾と矛を持って
にっこり笑う
余裕があるから