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【福島県浪江町】顔の見えるまちで息をする

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息をするだけで幸せになれるような、そんな感覚があったー。 2024年3月に福島県浪江町へ移住。メディアから見える世界が全てではなかった。ふんわりと湧き起こる感情、わたしの目で見…
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歴史は誰の視点で語るのかについて | ふくしま移住記録 #7

歴史は誰の視点で語るのかについて | ふくしま移住記録 #7

歴史は受験のために覚えるものだと思っており、記憶力の悪いわたしにとってはしんどい時間だった。ひとりの物語が何も見えない、ただの暗記科目として捉えていたなぁ。

勉強しておけば将来や実生活に役に立つだろう。昔は、そんな気持ちで授業を受けていた。しかし大人になるにつれ、教科書だけではない世界を知り、そして先日も新しい学びがあった。

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先日、アメリカ生まれの詩人アーサー・ビナートさんのイベント「

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ふくしま移住記録#6 |ざわつきと、思い通りにならない

ふくしま移住記録#6 |ざわつきと、思い通りにならない

部屋の明かりを消したとき、静寂と暗闇の中で寝ることが久しぶりだったことに気づく。ベットは朝起きたままの形で、布団がめくれ上がっている。

そろりと入り、目をつぶると、心臓の存在をこれでもかというくらいに感じる。鼓動が聞こえるわけでもなく、締め付けられるわけでもなく、ただ守ってあげたくなるように、心臓がそこにあった。次第にみぞおちまで冷たくなっていく。空腹で寝ることが、ひどく寂しく感じる。

いつも

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ふくしま移住記録#5|誰かの言葉を借りない。分からなさに向き合うこと。

ふくしま移住記録#5|誰かの言葉を借りない。分からなさに向き合うこと。

目を覚ますと、窓からうっすらと光が差し込んでいた。なんならカーテンの隙間からも、朝日が眠りの世界を妨げるかのように差し込んでくる。隣では、名取からきた友人がすやすやと気持ちよさそうに眠っている。わたしもいつまでも布団にくるまっていたい気持ち。

しかし今日はレンタカーを借りるため、8時40分には家をでないといけない。時計の針は、既に8時を過ぎていたので、まるで幽体離脱から戻ってきたかのように、のっ

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ふくしま移住記録#4|希望があれば。菜の花迷路のボランティア。

ふくしま移住記録#4|希望があれば。菜の花迷路のボランティア。

菜の花には、「小さな幸せ」「明るさ」といったポジティブな花言葉があるそうだ。確かに黄色の花を見ていると、何だかエネルギーが充電されていくように感じる。

わたしはこのGW中、菜の花迷路のボランティアをしていた。

震災2年後から、福島県南相馬市にある原町区萱浜地区というところで毎年開催しているイベントだ。
津波でご家族を亡くされた上野さんを筆頭に、福興浜団のみなさんが「悲しみしかなかったこの場所を

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ふくしま移住記録#3 | 時間が目に見えたら

ふくしま移住記録#3 | 時間が目に見えたら

もし時間が目に見えたら、どうなるだろうか。

ゆっくり、早い、それだけの表現ではなくて。
空を流れる雲のように穏やかだったり、嵐みたいに荒れていたり、もしくはずんと、腕を引っ張られるような重みがあったり。

いろんな見え方があるんじゃないかと、思っている。都市によって変わるのだろうか。それとも場所に関係なく、やっぱり一人ひとりによって変わるのだろうか。

というのも、浪江にきてから砂時計がほしいな

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ふくしま移住記録#2|幸せは目の前に

ふくしま移住記録#2|幸せは目の前に

土曜日の朝。浪江にきて2週間、慌ただしい日々が過ぎ去っていった。やっぱり2度寝しちゃおうよ〜という誘惑がよぎったけれど、それよりぱっちり爽やかに目が覚めたので、*ジャーナリングすることにした。(*頭の中のことを書き出すこと。)

昨夜、いきつけの居酒屋で飲んだ記憶が、音楽のように残っている。思い出すとまたほのかに酔ってしまうような、そんな心地よさがあった。

マスターは、移住前からよくお世話になっ

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ふくしま移住記録#1|人口2000人、顔が見えるまちで息をする

ふくしま移住記録#1|人口2000人、顔が見えるまちで息をする

いまわたしは、東京にいる。高円寺にある自宅のベットの上で、パソコンでぽちぽちと文字を打っている。

人口2,000人の、顔が見えるまちに移り住むことにした。福島県の沿岸沿いにある、浪江町というところだ。
入居日は、3月中旬に決まった。少し築年数は経っているけれど、陽の光がたっぷり降りそそいで、自然と元気になっちゃいそうなお部屋。今は、まるで花びらのように心が軽い。

東京にいるとき、私は模型のよう

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