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#限界集落
とんびいなくなった。
僕が定住している秋田県由利本荘市のとある僻地、もしくは限界集落と呼ばれている場所には色んな生き物が生息している。
特別天然記念物のカモシカを筆頭に、ホンドギツネ・ニホンイタチ・ハクビシン・アナグマ・ニホンリスは毎日のように目にする。
春へと向かいつつあるこれからの時期はとくに、原野を仲良く駆け回るホンドギツネの親子の仲睦まじい様子を眺められる。
しかし僕がここに住んでいた高校生の頃まではホン
家の前を通り過ぎる他人ですら、
限界集落のなかにひっそりとたたずむ実家に帰郷して以来、少しばかりの寂しさを感じることがある。それは、“ほかの人の存在をあまり感じられない”という寂しさだ。
転職を機に移り住んだ大阪や千葉、そして新卒時代に住んでいた京都ではそんな寂しさを感じたことがなかった。窓から通りを見渡せる住宅街に住んでいたので、往来する人々の姿がいつでも目に入っていたんだ。
言葉を一度も交わしたことのない同じ地区に住む住
僕が空想するものを、
地元に帰郷してからはよく「こんな施設があったらいいな」「こんな体験ができたらいいな」っていう空想をよくする。
ただし、「その空想に賛同してくれる人が果たして誰かいるのだろうか?」という疑問が残る。なぜなら、あらゆる面で僕が“少数派”らしいからだ。“らしい”とつけたのはもちろん、これまで関わってきた人に散々言われてきたためである。
小さな頃から多少なりとも自覚はあった。皆が興味を持つようなテレビ
今宵もそれぞれの夜を過ごす。
1月15日、午後11時。
仕事の休憩がてらに外へ出た僕は、背伸びをしながら空を見上げる。真っ暗で何も見えない。
それもそのはずだ。秋田県の上空には現在、ものすっごい低気圧が鎮座しちゃっている。というか、秋田県だけではなく、日本海側のほぼ全ての県に乗っかっているみたいだ。
まったく、本州の上半分を占領するなんて贅沢な身分だな、低気圧さんよ。
だから僕は今、暴風雪の中、寝間着(ねまき)の状態で
ならなくなった救急車。
午前9時過ぎ。けたたましいサイレンの音を周囲に響かせながら、山間(やまあい)の限界集落に救急車が走ってきた。救急車はそのまま、僕の家の前を素通りしていく。
ここには、16世帯しか住んでいない。それに住民の9割以上が高齢者だ。
母親が僕に問いかける。
「誰の家に向かっているんだろう?」
「わからんな」
僕はそう答えた。
しばらくして、救急車がサイレンを鳴らすことなく帰っていった。さきほどまでの
はじめてお爺ちゃんになったよ。
秋田の冬らしからぬ青さが広がる空のもと、午後3時過ぎに愛犬の散歩に出かけた。
先月の半ば以来、雪らしい雪は降っていないと記憶している。今年は暖冬になるとは言われていたけれど、ここまで甚だしい(はなはだしい)とは思わなかった。
とにかく雪がない。例年ならば、あたり一面が白銀世界に変貌しているはず。しかし、眼前に広がるのは秋とほとんど変わらない景色だ。秋と違うのは、先月降った雪の溶け残りが、離れ小
フィトンチッドに囲まれながら。
3~9月は、僕にとって特別な季節だ。なぜなら、源流釣りを楽しめるから。ちなみに、渓流ってば日本全国どこの地域でも基本的に、3~9月以外は禁漁期間なんだ。もし釣っちゃうと、罰金をとられるから気をつけて。
家から車で約10分のところに、ヤマメが数多く生息している源流がある。限界集落の奥にある、小さな小さな源流なもんだから、ほかの釣り人が訪れることは滅多にない。貸し切りで釣り放題ってことさ。
段差で
はじめまして、僕の名前は秋田縫。
皆さん、はじめまして。
僕の名前は秋田縫(あきたぬい)。
約10年の会社員生活を経て、2023年1月、半ば勢いのままにフリーライターに転身した。新潟・京都・大阪・東京で仕事をしたのち、現在は、地元秋田は由利本荘市の限界集落で暮らしている。
ありがたいことに、ここ10か月間は仕事が途絶えることなく、昼夜を問わずがむしゃらに働けてきた。
ここにきて一旦落ち着いたので、前々から気になっていたnot