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ヤス
2023年3月17日 22:47
もうこの脚では人間たちの苦悩も憂鬱も支えられないからと粗大ゴミとして収集場所で寝転んだ日椅子は初めて空の青さを知ったこれで安らかに眠れる本当に美しいものを目の当たりにして心に何の澱みもなく終わりを迎えられる椅子の脚がほんの少しだけ震えているのを隣に立て掛けられたハンディ掃除機は見ていたがそっとしておいてやる事にした存分に働いたんだ椅子にだって夢見る権利はある
hanauta
2023年3月11日 22:05
色とりどりの喧噪が数多沸き立つ空間でたった一つ心に届いたあなたの声にそっと寄り添う夢を見た届く言葉の人恋しい切なさにそっと甘える夢を見た差し出す手の温もりの誠さにそっと安らぐ夢を見た夢と知って夢を見た覚めると知って夢を見た今どうしていますか
Kusabue/現代俳句 +AI
2023年3月11日 09:00
季語:ゆきどけ( 仲春 ) 現代俳句雪解けは、春がきて雪が解けること雪解けの時期、河などの水量も一気に増えはじめるそうです◇関連記事◇
笹塚 心琴
2023年3月10日 20:07
彼の唯一の関心は素数である。る、る、る、と私が歌ったところで全く意味はない(それでも絞りだした悲鳴が歌なのだけれど)私はあの日あの日あの日幕張付近で京成線の踏切を渋滞する車の後部座席から眺めており――遮断機がひどく疎ましかった――風景から色彩がどんどん失われていくのを、ただ茫然と見送っていた愚かなカモメであった。だから?もう笑うべきなのだ。ろくに弾けなかったギターの、錆びた一弦だけを使え
柿沼オヘロ
2023年3月4日 15:14
外骨格、と言って、おれ、マジ、はんこつしんしかないから、と、若い男たちが地べたをずらずら、している。酒に飲まれて?ぴくぴくと横たわっている者もいる。すえた空気をマスクごしに吸い込む、人だかりの駅です。こころ、に隆起したポリープに、ときどきは星あかりなどと言う、あなたたちが好きだよ。ここは楽しいキャンプ場です。ごちゃり、わたしの心が酔狂しています。前世紀のレスラーが、赤
Foliage Poet
2023年3月3日 15:22
事務机の引き出しを開けるとそこには丘陵みたいなものがあり頂きの白っぽい通信塔からヒトの鼻の嗅球にオカラみたいなものを放射する 丘陵みたいなものに立つと向こうに海みたいなものが見えて輪っかのある惑星みたいなものが半分くらい沈みかけていて惑星みたいなものに立つ建物にはおきよという事務員がいる 望遠鏡で覗いてみるとおきよは黒い腕ぬきを外し経理の仕事を放っぽり投げて向井のチ
汐田大輝
2023年2月26日 14:02
あいつらいろんな格好してやって来るエッサ ホイサ鉢巻したり、軍服着たり、全身にLEDつけたりエッサ ホイサ エッサ ホイサピノキオの鼻つけ、白熊の毛皮着て、ユニコーンの角生やしてユッサ ホイサ パンダ コッぺパンダ全身タトゥーの龍さん寅さんコワイお姉さん 頬っぺた蟲だらけびよーん日が昇ってきたねあああたたかい小洒落たイングリッシュガーデンでのびやかにお茶し
2023年2月22日 23:59
枝に寄り添う霧氷が眩しそうに輝きながら溶けてゆく散りゆく姿の可憐さにそっと沸き立つ微笑みの響き渡る暖かさいつしか笑顔はするものになっていた型にはまった笑い顔奥底が冷えていく綺麗なだけではない日々でそういう時は心が喜ぶものを探して
ms11
2023年2月22日 00:41
今日もぼくはnoteの重い扉を開けいつものようにここに来たnoteというのはこの図書館の名前で今きみがいるところさあここへどうぞぼくの隣の席でいいかなぼくの今日のノートはnoteについて書くつもり「note」noteには何万 何百万もの椅子とテーブルと本棚があり人々は毎日ここにやって来ては作業をしたりノートを読んだりするここにいる人たちの大半はノー
2023年2月18日 23:46
ちんちんが付いているのは恥ずかしい事でもなんでもないのですよ、とシスターはロッテに語ったが彼女は納得しなかったどうしてこうも美しくデザインされた人体にこんなにも不恰好な角が取り付けられなければならなかったのか神を模して作られたはずの形のなんという欠陥ロッテの不満が神への不信の域にまで達しようとしていた頃隣ではイサークが鼻水を垂らしていて彼女はハンカチで丁寧にそれを拭い
2023年2月17日 16:23
山の斜面の家と家の間の、曲がりくねった歩道の裏側を下りて来た暗渠は、海岸線の国道脇に立つゴミ収集ステーションの手前でコンクリートの蓋が無くなり、幅狭な水路に変わる。だがすぐにアスファルト道路の裏側を横切り、海辺の家と家の隙間に開口する。流れ落ちる水が引き潮の砂泥に浸み込み、庇の影がその上に落ちる。左右のコンクリートの縁はもう少し続き、庭先の海岸堤防の開口部で終わる。石積み造りの突堤が湾曲しながら海
上水春信
2023年2月14日 19:38
「違和感」は僕のことが好きで「違和感」はいつも僕にじゃれついてくる「違和感」はべとべとしていてごろごろ転がりながらまわりの「違和感」もくっつけながら巨大な「違和感」の塊になっていくそして自分の大きさも顧みずいつも通りじゃれるつもりで僕のほうに転がってくるこいつに関してはよくあることだ好かれているからといって相手にしてはいけないこういう時は逃げるに限る塊が
2023年2月12日 23:50
薄曇りの街を引き裂いて季節はめくられていく眠っていた赤ん坊が火のついたように歌い出す明日の雨さえ幸福へ繋がっているのだと渡り鳥は語った 強い眼差しのまま
白水
2023年2月11日 23:49
踏み切り待ちの道の脇で、小さな雪だるまを見つけた。僕はその雪だるまを見つめてる。❅すると景色は淡く揺れ、そして意識がボンヤリずれる。意識が過去に飛んでいく。意識は過去に張り付いて、目の前の景色に重ね合う。懐かしい感情が僕のこころを捉えて、記憶の底を手繰り、手繰る。けれども糸は切れていて、感情だけが取り残される。❅景色は日常へと