笹塚 心琴

ささづか ここと|X(旧Twitter)やInstagramはやっていません|ここと|…

笹塚 心琴

ささづか ここと|X(旧Twitter)やInstagramはやっていません|ここと|真冬の北海道に生まれてみて、あれこれやらかしてみて、心はずっと悪童のまま|主に短歌と小説をつくっています。

マガジン

  • 【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

    心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。

  • 【小説】デート

    死にたがりの彼と、彼の「決断」を阻止する私の逢瀬。 それはちっとも甘くなんてない、デートという名の「勝負」。

  • 【小説】アリスの栞

    本屋で出会った彼の秘密を知った日、私は恋に落ちました。あと、脚立からも落ちました。

  • 【詩集】こぼれたことばたち

    呼吸とともに生まれる言葉たちをこれまでの歩みとして記し、これからのしるべとするために、生きることと朽ちることに真正面から向き合う記録。

  • 【小説】掌編・短編(こころのかけら)

    これまでとこれからを見つめた、掌編小説や短編小説たちです。ひとつでも心に引っかかる作品があれば嬉しいです。

最近の記事

  • 固定された記事

【創作大賞2024 恋愛小説部門応募作】 「空の恋人」第一話 ぐるん

【あらすじ】 橋本朝香は自宅のドアを開けるのと同時に、大きくため息をついた。返却期限を迎えた本を図書館へ返しに行くという外出の口実があってよかった。自室にいても退屈だし、リビングでは母親が眉間にしわを寄せて、テーブルでうたた寝しているだけなのだ。「どこへ行くの」だの「何をしにいくの」だの尋問されるのが嫌で、朝香にはいつしか、なるべく物音を立てないようにシューズを履き、蝶番を軋ませずにするりと体を外に押し出すという無駄なスキルが上達してしまった。  今日も朝から晴れていて雲ひ

    • 短歌 乙女座

      人が死にそれでもしがみつく者が守りたかったものだけ壊す 土曜午後長渕剛が乙女座と伝えたくなりスマホを探す 猫として抗議をします人間はとてもいけないことをするから 土曜日、快晴。窓を開ければ柔らかい風が入ってくる。外は残暑が厳しかったみたいだけど、エアコンはもう酷使しなくても大丈夫。 ああ、あっけなく夏は終わったんだな。なんだか、カットアウトで場面転換する舞台みたいだ。 夫はリビングで読書。この人は暇さえあれば本を読んでいる。たまに眉間に皺を寄せたりして。純文学から大

      • 短歌 ファビュラスソフィア

        筆箱の隅にくしゃりとパンダの絵いつかどこかで使った切手   変なひとばかり周りに集うのはわたしが変だからなんて変だよ    猫の名はファビュラスソフィア呼ぶときは結局ファビと略されるけど 今日はとても過ごしやすくて、ゲリラ豪雨も降らなかったので気持ち的にも穏やかな一日でした。 友人が関わっている地元のコミュニティカフェでキーマカレーセットをいただき、セットでついてきたアイスコーヒーが美味しかったのでそのまんま「美味しいですねー」とスタッフの方に伝えたら、「あら~」と喜んで

        • 短歌 ちゃんとすごいよ

          1 美化されず今日まで共に在った傷こころははだかちゃんとすごいよ 2 反抗をしない者だけあたたかいスープが飲めるここは東京 3 真夜中にこっそりチョコをくれた女性「早く出てきな」お元気ですか 4 正当化事由に貼った付箋には病名、学歴、親の収入 5 元カレの名前に似てた「リスケしよ」――ノリスケならば「ノ」の脱落か 6 水槽をうずうず回る熱帯魚こっちもたいして自由じゃないよ 7 梅子かい? 梅子なのかい? ああ梅子!! 言えないけれど上がるテンション 8 「ヌン活

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        【創作大賞2024 恋愛小説部門応募作】 「空の恋人」第一話 ぐるん

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        • 【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる
          707本
        • 【小説】デート
          19本
        • 【小説】アリスの栞
          27本
        • 【詩集】こぼれたことばたち
          424本
        • 【小説】掌編・短編(こころのかけら)
          101本
        • 笹塚的日常(日記・エッセイ )
          130本

        記事

          短歌 非日常

          1 どうしたらいいんだろってこぼすとき答えがほしいわけではないの 2 クラクション 猫よりきみが驚いて非日常へと逸れる側道 3 ひどい雨ひどい青春ひどい傘 だってすべてが美化されるから 8月末で華麗にお休み期間に突入……のはずが、台風の影響で今週ほとんど職場に出勤できなかったため、もろもろ片づけられなくて、結局9月以降もぽつぽつ働き続けることになりました(*_*) でも、もしかしたら生活の張り合いになっていいのかも。電車に乗るのが難しい日は、オンラインで可能な業務をさ

          短歌 非日常

          短歌 猫の目

          1 好きだから好きと伝えただけだからそんな無難な目を向けるなよ 2 猫の目に大した意味に映らない見た目ばかりが整ったもの 3 叫びたい衝動よりもそのあとの疲労について話しましょうか 4 間違えるのがそんなにも怖いのか深夜ラジオを処方箋しませう 5 だってほらおんなじことをするでしょうあらゆるものをいいわけにして 6 三分後執行されるカップ麺実食の儀を待ち切れなくて 7 嫌われることは大して気にしない笑顔の蝿を振り払う日々 8 正しいのラベルを見る

          短歌 猫の目

          短歌 お探しのページは削除されました

          1 履歴書の特技の欄が埋められずますます自分が好きになった 2 「気車」じゃなく「汽車」なんだって知ってても「×」を書き足さないといけない 3 殺したいとすら思わず切先を滑らせてほら美味しい刺身 4 舌足らずな伝え方でも響くならそこに嘘など存在しない 5 「役に立つ」「役に立たない」で分けられ煌めくものを見落としてきた 6 枯れ枝に価値がないって決めつける奴もいずれは土に還れる 7 傷あともきみの一部と撫でてみる許されたのはどっちだったか 8 お探しのページは削

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          短歌 変わらない日々 十首

          1 コンビニでアイスを買ってダッシュしてふたりの夏はそれでも溶けた 2 ケンカしてそっぽを向いた夜なのにJUNKのせいで笑うしかない 3 前髪を切っても気づくきみじゃない目くばせしてもウインクされる 4 自転車のカタログに這うきみのゆび秋になったら風になれるね 5 寝息まで「すき」と聞こえる重症だ治す方法なんていらない 6 包丁をためらいなしに突き刺して飛び散っちゃった完熟トマト 7 制服は戦闘服でコンビニがセーブポイントだったあの夏 8 怪談の途中で笑ったの誰

          短歌 変わらない日々 十首

          【詩】まんまる

          私は浮かんだことがある 心を逃した先に居た 完全な球体と一緒に 美化されがちな夏アルバムの 読み飛ばされる一ページに 名前を与えられることもなく 極彩色のクレヨンで塗り潰された ちゃちな汚れ 神さまのこと 打ち上げ花火のせいで 宇宙が頭上にあるとは とても信じられなかったから 信じなかったし吐いた スマホもパソコンも部屋も書類も みんな揃って四角いから嫌い 地球のにおいに触れたくて でも叶わなくて 折目正しい人々の 了解可能な善意が出荷されていくのを 私は義務として記録

          【詩】まんまる

          短歌 海老

          「おいしいね」衣を纏うその海老も少し前まで生きていました ほんとうにその貝殻は白かった? あの砂浜になにを埋めたの  意味なんてどうせ後から好き勝手されるんだから今は笑おう 海老フライのしっぽって、食べますか? 私は何も考えずに、いつも残していました。 同僚Aとランチに定食屋に行って、Aは鮭の塩焼き定食、私はミックスフライ定食を頼みました。 ミックスフライのラスボスこと、お楽しみの海老フライをほくほくと食べ、しっぽを皿に残しておいたらAが「しっぽ、食べないの?」。

          短歌 海老

          短歌 ブルーベリー

          一弦はもちろんこうやって使うよ罪とか罰とか誰が決めるの 半年後桜が咲くといいけれど空の青にも保証がほしい わけありのブルーベリーを買いましたもちろんきみを想ってました 今日は身体のほうの通院でした。医療機関あるあるだと思いますが、待合室にはオルゴール調にアレンジされたポップスが流れていました。 ん、なんの曲だろう。きいたことある気がするけど思い出せない……ミスチル? スピッツ? なんと、待合室にかかっていたのは、藤井隆の「ナンダカンダ」でした。 うう、なんていい曲

          短歌 ブルーベリー

          短歌 とろとろ

          蝉しぐれ僕を許してくれないか早くきみのトラウマになりたい 狼が星を求めるわけもなくもちろん僕もとろとろ疼く 犯人は全猫である人間を選び箱詰めしたって「いいね!」 うだうだと以下の記事のようなことを、引き続き仲間内の休日ランチでも引きずっていたら、異口同音に「頭だけで考えすぎ」と指摘されて、図星すぎて「へへ……」としか返せなかった、相変わらずの日曜日でした。 「考えすぎて実質何も考えてないやつ」「そもそも笹塚らしくない」「問いの立て方が独善的」etc……。みんな少しは容

          短歌 とろとろ

          短歌 コンポタ

          猫は猫スマホを捨てることがもう半身を棄てるような覚悟だ 底面にへばりついてるコンポタを掻き出すような初恋でした 台風のせいにするから今日だけは終点よりも先に進もう ずーーーーーっと考えていて、でも向き合う勇気がなくて、逸らし続けてきたことがあります。 それは、自分が最も恐れていることなのですが、端的に書くと「私は結局、抑圧者サイドへの憧れを捨てきれていないのではないか?」ということ。 生活の中ではさまざまな場面で、「自分の能力」「強み」「特技」などを自覚してうまくア

          短歌 コンポタ

          短歌 気にしない

          考えてしまうここまで生きるためお前は何を見殺しにした    気にしない人の噂もゴシップも落ちゆく砂が止められたなら   来年も旅行をしようそのために貯金をしなきゃまずは点滴 身体的な病気の治療が少しうまくいかなくて、今月いっぱいで仕事から距離を置くことになりました。 焦りや不安が全くないと言えば嘘になりますが、くたばっている場合ではないので、しっかり治して再出発できたらと思います。 このかんに起きたいろいろなことを受け止めすぎて、正直パンクしかけていた気持ちを、とある媒

          短歌 気にしない

          短歌 戦っていた

          1 種を吐くときの顔すら好きだからたぶん飽きてもまた風は吹く 2 蝉を見ろあいつらすぐに逝っちまう叫ばなければ生きてゆけます 3 気づいても言わないでおく傷ついたぶんだけ人が強くなること 4 この夏は地獄の蓋を開けたまま神がバカンスから戻らない 5 同じ味なんだと知ったその血にはちゃんとダメなのが混ざってる 6 包丁の研ぎかたを見て「心だね」にやりと笑うこの人が母 7 赤信号みなで渡れば何人か減ってもみなが渡ったとされ 8 「高評価・チャンネル登録よろしくね」言

          短歌 戦っていた

          短歌 疑問符

          1 目玉焼きなんて名前をつけるからこの箸だって凶器になるね 2  知らなくていいことばかり知りたいしゲリラ豪雨はやまなけりゃいい 3  直接の死因ばかりを知りたがるこの方々に殺された友 4  死者がみな土に還るというのなら地球はまるい墓 大丈夫 5  ああなんか似ているなって思ってた銃弾のごと蝉が突っ込む 6  疑問符を疑問符のまま差し出せば「ばか」と言われるのすら正解 7 不機嫌で他者を操るのは赤子だけじゃないのが痒くて痒くて 8 このひとはだれなんだろう

          短歌 疑問符