笹塚 心琴

詩・短歌・俳句・小説|優しさをひとさじ、そっと差し出すような創作を|(自選一首)犯人をホシと呼ぶから私でも輝ける気がしてやりました

笹塚 心琴

詩・短歌・俳句・小説|優しさをひとさじ、そっと差し出すような創作を|(自選一首)犯人をホシと呼ぶから私でも輝ける気がしてやりました

    マガジン

    • 【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

      心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。

    • 笹塚的日常(日記・エッセイ )

      スパイシーだったりまったりだったり、安定感のない日常を綴ります。

    • 【俳句】春をまつ君のとなりで編む光

      日々の気持ちを一句にしてみました。

    • 掌編・短編(こころのかけら)

      これまでとこれからを見つめた、掌編や短編たちです。

    • 【小説】陽羽の夢見るコトモノは

      ある日突然自宅が神殿になってしまったら。いつも通りアルバイトに行くしかないじゃないの。神さまとの、穏やかな日常生活のお話、なのかな?

    最近の記事

    • 固定された記事

    水曜日の午後、喫茶白鳩にて

    しとしとと雨の降る夕まぐれには、決まって彼のことを思い出す。彼はこういう日にこの喫茶店に来ると、いちばん窓際の席に座って、ずっと外を見ていた。雨だれがガラスに打ちつけるのを寂しげに、しかしどこか楽しそうに眺めていた。 彼はいつも同じ文庫本を持ち歩いていた。気に入ったページにはよれよれの付箋が、青々と茂る芝生のように大量につけられていた。それでは意味がないのではと尋ねたことがあったが、彼ははにかんで首を横に振っただけだった。 注文するのはいつもシングルオリジン、それもマンデ

      • 短歌 あいまい

        あいまいにしてきたことのいくつかが糾される夜は降れよ星々 週末だ!やったー! と言いたいところですが。。 今週末はガッツリお仕事です😂次に休めるのは火曜日かな、、うむむ。がんばろう。 聴けていないラジオやポッドキャスト、音声配信が溜まってて、なかなか時間がとれないのが、今のとても幸せな悩みです。今はアトロクの時間です。午後9時まで耳をロックオンされてます(映画祭行きたかった……)。 とにもかくにも、皆さま一週間おつかれさまでした! 週末お仕事のかた、お休みのかた、病

        • 短歌 なにもないけど

          診断書を這った指先わたしにはなにもないけどいま笑えてる こんばんは。地上ホームで電車を待っていると、焼き鳥屋からやってくる煙がとてもいい匂いです。今日は焼き鳥の気分だ、と思っていたら、夫からLINEが届き、「今日はしょうが焼き!」だそうです(今日は夫が作る担当)。 さて、昨日、こんな短歌を詠みました。 今日の歌は、その続編的な歌です。 ちょっと必要があって診断書を書いてもらったのですが、その科の特徴なのか、内容が若干脚本っぽくて笑。それこそティーンエイジャー時代まで遡

          • 短歌 約束だと気づく

            破られてやっと約束だと気づく(ておくれ)(それは言わない約束) 失って初めてハッとしたり、裏切られて初めて痛感したり、破られて初めてそれが約束だったんだと気づいたり。そんなことって、生活してればあるある、なのかな。。わからないや。 迷い続けていたら、迷子がデフォルトになっている人ですこんばんは。もうそれが自分のスタンスだと割り切って、迷い道を鼻唄とともに歩むことにします。 次の文学フリマへの参加も、もう少し迷っておきます。土曜日開催なのは、大きいよなぁ。 今日は思わぬ

          マガジン

          マガジンをすべて見る すべて見る
          • 【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる
            笹塚 心琴
          • 笹塚的日常(日記・エッセイ )
            笹塚 心琴
          • 【俳句】春をまつ君のとなりで編む光
            笹塚 心琴
          • 掌編・短編(こころのかけら)
            笹塚 心琴
          • 【小説】陽羽の夢見るコトモノは
            笹塚 心琴
          • 【詩集】こぼれたことばたち
            笹塚 心琴

          記事

          記事をすべて見る すべて見る

            【御礼】文学フリマ東京!

            本日、無事に参加してきました! 頼れる友のおかげで、なんとかブースを運営することができました。なんだか会場が暑かった気がするのですが、それもそのはず、過去最高の来場者数だったそうです。10,000超え。すご。 ブースにお立ち寄りくださったnote繋がりの方々、本当にありがとうございました! お声がけや差し入れなど、涙が出るほど嬉しかったです😢おしゃべりできてとても嬉しかったです! 先ほど友と、新宿でささやかな打ち上げをしました。チーズ食べ放題でした(唐突)。ノンアルコール

            文学フリマ東京36、ブースの設営完了しました!【R-16】こことのこと、にて、皆さまのお越しをお待ちしております〜!

            【俳句】メンバーシップ句会+α(春・夏)

            さえずりを真似ている児のほっぺたよ ゜.*。。.゜゜.。。.゜゜.。。.*゜ 水筒に歌まで詰めた遠足よ ゜.*。。.゜゜.。。.゜゜.。。.*゜ さくらしべ降るもう一度歩き出す ゜.*。。.゜゜.。。.゜゜.。。.*゜ 青嵐おのれの意志で拓くみち ゜.*。。.゜゜.。。.゜゜.。。.*゜ 初恋かいちごミルクを潰す夜 ゜.*。。.゜゜.。。.゜゜.。。.*゜ 照らされて頬赤らめる春の月 ゜.*。。.゜゜.。。.゜゜.。。.*゜ 春惜しむ別れる人に出会う人

            短歌 ペダル

            ペダルには今宵綺羅星が灯って漕ぎ出す者を旅人にする 久保田利伸の「流星のサドル」という歌が好きです。リリースが1986年なのでリアルタイムでは知らなかったのですが、槇原敬之がカバーしたバージョンを聴いて、それもとてもかっこいいなーと、サブスクで繰り返し聴いています。 職場のある街を、久しぶりに自転車で走りました。めっちゃ暑かったんですが、日陰を探して風を感じるのは、心地よい経験でした。まだ湿度がそこまでじゃないから、加速するほどに風を受けて、気分が良かったです。 このま

            短歌 「半額」のシール

            (「半額」のシールを貼ってくれるひと)待ち人はあと三分で来る 残業してからスーパーマーケットに寄ると、お惣菜や調理パンが割引になっています。中でも「半額」シールは最強だと思うのです。「70%オフ」とかより、字面的に「半額」がいい(金銭的には70%オフももちろん嬉しいですが)。 シールは20時を過ぎると貼られることが多いので、それをひたひた待っているときの歌です。 人生初のアルバイトが、高校生のときに学校で内緒で働いた(校則で禁止されてた)、スーパーマーケットのベーカリー

            【告知】文学フリマ東京36に出店します!

            こんにちは、今日はおやすみモードの笹塚です。急に暑くなった午後、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 さて、文学フリマ東京36が次の日曜日、21日に迫ってきました。以下にも情報をまとめていますが、改めて告知させてください。 ▽文学フリマWEBカタログ https://c.bunfree.net/c/tokyo36/h1/R/16 ▽個人サイトでの告知ページ ■日時:5月21日(日)12時~17時 ■場所:東京流通センター(TRC)第一展示場 ■ブース位置:R-16 ■サ

            地図になるため

            落涙に汚れた頬を抱きしめるそれは地図になるため流れた こんばんは、文学フリマ東京36まで一週間を切りました。5月21日(日)は、【R-16】ブース「こことのこと」でぼくと握手!(今もうやってないのかな)……ではなく、気軽に遊びに来てください♪頼れる友人と二人で、まったり参戦する予定です。声かけてくだされば、心の中で飛び上がって喜びます。 新刊紹介記事など改めて記事を書きますが、以下に詳しく載せています。れっつ・アクセス!↓(うまく埋め込めなかった。。) 【文学フリマWE

            短歌 ちゃんと振ってから

            正しさはただの抑圧このぼくはコーラをちゃんと振ってから飲む 「正しさ」というのは本当に厄介です。学生時代は正答を選択することばかりを迫られてきたから、そのせいなのか、トロい私などはこの年齢になるまで、曇天の価値とか、誤答の意味とか、遠回りの醍醐味とか、そういったものを蔑ろにしてきた気がします。 今では、正しさって一見、いいもののように見えて、実は他ならぬ抑圧なんじゃないか? と思っています。正しさという名の下に、どれだけの小さな声が握りつぶされてきたことでしょう。 正し

            短歌 また歩き出せる

            靴紐を結び直してまた歩き出せるからスニーカーを選んだ 金曜日、いかがお過ごしでしょうか。ゴールデンウィーク明けの一週間、よくぞ週末までたどり着きました私たち。 ぷち残業をして、その後ふらっと靴屋に寄りました。私はすぐ靴擦れをしてしまうのですが、マーレマーレというブランドの靴なら比較的ラクに履けるので、思い切って買いました。ふふ、一週間がんばった褒美ぞ。 スニーカーって、学生時代はよく履いていましたが、久しぶりに履くかもしれません。白スニは照れが上回って買えなかったので、

            【掌編】花をちょうだい

            花をちょうだい。貴方のかびろき胸に宿る、潮風に揺れる一輪を私に。 その昔、ここに人々が暮らしていたことを知る者は、もう私しかいないだろう。なぜ自分だけが取り残されたのか、そのわけを、私は今日も探している。 かつての有史の終わりに、地球はついに怒りを爆発させた。此処に存在した人間という存在を根こそぎ流し去るが如く、大洪水を起こして、争いばかりを繰り返す、その愚かな歴史に終止符を打ったのだ。 私は潮に曝され錆び切った、元高層ビルの階段を頂上まで上り、相も変わらず規則正しく暮

            短歌 定性的

            数えれば指が足りないしあわせを定性的に定義し直す しあわせには単位がないよなあ、と、ふと思って詠んだ歌です。しあわせは、量より質じゃないかな、とも考えています。 あと、自分の性質的に定量的よりは定性的に世界を認識している気がする。あくまで個人の感想です。 昼間は紫外線が強くなってきました。早くも日傘の出番です。お肌のシミが気にかかるお年頃……日焼け止めを塗っていなかった過去の自分に復讐したいです。 そういえば、昔「ケイゾク」というTVドラマがあって、めちゃくちゃハマっ

            陽羽の夢見るコトモノは(7)

            ▽第1話はこちら ▽(前話)第6話はこちら ▽マガジンはこちら (7)喫茶店にいた客の視線が、エリーゼに集中する。エリーゼは気まずそうに、「ふん」と吐き捨てるように言った。 「ごごう……?」 陽羽が不思議そうな顔でエリーゼを見る。エリーゼは、「なんでもない」と陽羽に言い聞かせるように言ったきり、黙ってしまった。その場に、ぎくしゃくとした空気が流れる。 「そう。今は名前があるのね」 沈黙を破ったのは、伊織の母親だった。伊織は困惑しつつ、率直に疑問を投げかけた。