笹塚 心琴

ささづか ここと|X(旧Twitter)やInstagramはやってません|のんびり休…

笹塚 心琴

ささづか ここと|X(旧Twitter)やInstagramはやってません|のんびり休養中のはずが今もどこかでマイクを握ってる日々|心はずっと悪童のまま|主に短歌と小説をつくってます

マガジン

  • 【小説】掌編・短編(こころのかけら)

    これまでとこれからを見つめた、掌編小説や短編小説たちです。ひとつでも心に引っかかる作品があれば嬉しいです。

  • 【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

    心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。

  • 【詩集】こぼれたことばたち

    呼吸とともに生まれる言葉たちをこれまでの歩みとして記し、これからのしるべとするために、生きることと朽ちることに真正面から向き合う記録。

  • 笹塚的日常(日記・エッセイ )

    スパイシーだったりまったりだったり、安定感のない日常を綴ります。

  • 【創作大賞2024 恋愛小説部門応募作】 空の恋人

    コミュニティカフェ「しえる」は、あらゆる傷を携えて生きる人々の居場所として住宅街にひっそり存在している。 不登校から引きこもりになった少女、現実からときどき意識がずれてしまう青年、伴侶を亡くして生きがいを見失った女性……。 「しえる」では、誰もが安心して美味しい食事やお茶を楽しむことができる。なぜなら、どんな人も決して評価をされることがないからだ。 無気力な日々を送っていた朝香もまた、「しえる」との出会いによって一歩踏み出したいと願うようになる。 ――けれどすべては、「凪」が起きた後の出来事。だから「彼」は今日も夕焼けを見送る。その胸に、途方もない喪失感を抱きながら。

記事一覧

【短編】Strawberry Feels Forever

「ぎんいろ」 ゲリラ豪雨が降るのは、もう毎日のことになってしまった。窓に次々と打ちつける雨粒を、きみはフローリングに座って凝視している。日が落ちてきたのでカーテ…

33

短歌 月がきれいだ

言ってみた「月にかわっておしおきよ」恥ずかしくないお年頃です いろいろなことがあったねこれからもきっといろいろあるんだろうね 終電を逃す理由を探してたころからず…

58

短歌 自画像

その辺でのらりくらりと暮らしたい背伸びしたって百年後は風 自画像がいつも笑顔と指摘され空の青まで疎ましかった  その花は何を奪って咲いている見て見ぬふりが上手く…

49

短歌 小鳥のため

嫌なことばかり目につく金曜は好きなケーキを買うべきである 「死にたい」と「死ぬ」の間に横たわる遥かな川を白鷺が征く 道端に落ちたザクロを踏んづけた小鳥のためと言…

62

短歌 代用品

初期化 倦む 愛の欠乏 人間の代用品になる可能性  目を閉じて嵐が過ぎるのを待って唾を飲んでも月曜だった  許されていたと気づいてあの頃の自分にかける「大丈夫だ…

58

短歌 乙女座

人が死にそれでもしがみつく者が守りたかったものだけ壊す 土曜午後長渕剛が乙女座と伝えたくなりスマホを探す 猫として抗議をします人間はとてもいけないことをするから…

笹塚 心琴
2週間前
56

短歌 ファビュラスソフィア

筆箱の隅にくしゃりとパンダの絵いつかどこかで使った切手   変なひとばかり周りに集うのはわたしが変だからなんて変だよ    猫の名はファビュラスソフィア呼ぶときは結…

笹塚 心琴
2週間前
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短歌 ちゃんとすごいよ

1 美化されず今日まで共に在った傷こころははだかちゃんとすごいよ 2 反抗をしない者だけあたたかいスープが飲めるここは東京 3 真夜中にこっそりチョコをくれた女性「早…

笹塚 心琴
2週間前
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短歌 非日常

1 どうしたらいいんだろってこぼすとき答えがほしいわけではないの 2 クラクション 猫よりきみが驚いて非日常へと逸れる側道 3 ひどい雨ひどい青春ひどい傘 だってすべ…

笹塚 心琴
3週間前
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短歌 猫の目

1 好きだから好きと伝えただけだからそんな無難な目を向けるなよ 2 猫の目に大した意味に映らない見た目ばかりが整ったもの 3 叫びたい衝動よりもそのあとの疲労につ…

笹塚 心琴
3週間前
67

短歌 お探しのページは削除されました

1 履歴書の特技の欄が埋められずますます自分が好きになった 2 「気車」じゃなく「汽車」なんだって知ってても「×」を書き足さないといけない 3 殺したいとすら思わず…

笹塚 心琴
3週間前
47

短歌 変わらない日々 十首

1 コンビニでアイスを買ってダッシュしてふたりの夏はそれでも溶けた 2 ケンカしてそっぽを向いた夜なのにJUNKのせいで笑うしかない 3 前髪を切っても気づくきみじゃない…

笹塚 心琴
3週間前
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【詩】まんまる

私は浮かんだことがある 心を逃した先に居た 完全な球体と一緒に 美化されがちな夏アルバムの 読み飛ばされる一ページに 名前を与えられることもなく 極彩色のクレヨンで…

笹塚 心琴
3週間前
56

短歌 海老

「おいしいね」衣を纏うその海老も少し前まで生きていました ほんとうにその貝殻は白かった? あの砂浜になにを埋めたの  意味なんてどうせ後から好き勝手されるんだか…

笹塚 心琴
1か月前
67

短歌 ブルーベリー

一弦はもちろんこうやって使うよ罪とか罰とか誰が決めるの 半年後桜が咲くといいけれど空の青にも保証がほしい わけありのブルーベリーを買いましたもちろんきみを想って…

笹塚 心琴
1か月前
65

短歌 とろとろ

蝉しぐれ僕を許してくれないか早くきみのトラウマになりたい 狼が星を求めるわけもなくもちろん僕もとろとろ疼く 犯人は全猫である人間を選び箱詰めしたって「いいね!」…

笹塚 心琴
1か月前
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【短編】Strawberry Feels Forever

「ぎんいろ」 ゲリラ豪雨が降るのは、もう毎日のことになってしまった。窓に次々と打ちつける雨粒を、きみはフローリングに座って凝視している。日が落ちてきたのでカーテンを閉めたかったけれど、きみはもうしばらく窓辺にいたい様子だった。僕は原稿用紙に滑らせていた万年筆の手を止めて、やかんでお湯を沸かすことにした。 今度はしゅんしゅんと音を立てる蒸気に興味を持ったらしい。きみはコンロのそばに立って、その規則的な音に耳を傾けている。 ドアポストになにか投函された。水光熱費の請求書かも

短歌 月がきれいだ

言ってみた「月にかわっておしおきよ」恥ずかしくないお年頃です いろいろなことがあったねこれからもきっといろいろあるんだろうね 終電を逃す理由を探してたころからずっと月がきれいだ 中秋の名月。だからコンビニで三色団子を買ってきて良いのです。でも一つしか売っていませんでした。ひと串に三個のお団子が黄色、白、緑の配置で並んでいました。 奇数というのはふたり暮らしにおいて、なにかと不穏の火種になるものです。しかしそこはお互い、社会に出て久しい大人。全体を半分にすればよいのです

短歌 自画像

その辺でのらりくらりと暮らしたい背伸びしたって百年後は風 自画像がいつも笑顔と指摘され空の青まで疎ましかった  その花は何を奪って咲いている見て見ぬふりが上手くなれない 土曜日は午前中が通院になるので、朝はバタバタなんですが、そのぶん午後からゆっくり過ごせました。 とても珍しいことなんですが、気づいたら昼寝をしていました。眠るという行為が下手になってはや二十年(!)、なのでとてもびっくりしました。特段、激しい運動をしたわけでもないんですが、自覚に至らない疲労があったみ

短歌 小鳥のため

嫌なことばかり目につく金曜は好きなケーキを買うべきである 「死にたい」と「死ぬ」の間に横たわる遥かな川を白鷺が征く 道端に落ちたザクロを踏んづけた小鳥のためと言い聞かせてた ぬーーーーっ、と心身ともにしんどい日だったので、アプローチの手段の引き出しからとある必殺技を引っ張り出しました。それはズバリ、 呼吸を整えると、気持ちも整う。 気持ちがしんどい時は、たいてい呼吸が浅くなっている。これは実感としてよくわかる。だとしたら、意識して呼吸を整えれば、気持ちもある程度楽に

短歌 代用品

初期化 倦む 愛の欠乏 人間の代用品になる可能性  目を閉じて嵐が過ぎるのを待って唾を飲んでも月曜だった  許されていたと気づいてあの頃の自分にかける「大丈夫だよ」 すっかり投稿をさぼっていた「文芸選評」の締切が今日だったと通院のバスの中で気づいて、慌てて投稿しました。テーマは「時計」。短歌自体は少し前に作っていて推敲のために寝かせていたのですが、寝かせていたこと自体を忘れていたのでした。 病院では、前回の検査結果の数値があんまり芳しくないこと、でもそんなに悲観的にな

短歌 乙女座

人が死にそれでもしがみつく者が守りたかったものだけ壊す 土曜午後長渕剛が乙女座と伝えたくなりスマホを探す 猫として抗議をします人間はとてもいけないことをするから 土曜日、快晴。窓を開ければ柔らかい風が入ってくる。外は残暑が厳しかったみたいだけど、エアコンはもう酷使しなくても大丈夫。 ああ、あっけなく夏は終わったんだな。なんだか、カットアウトで場面転換する舞台みたいだ。 夫はリビングで読書。この人は暇さえあれば本を読んでいる。たまに眉間に皺を寄せたりして。純文学から大

短歌 ファビュラスソフィア

筆箱の隅にくしゃりとパンダの絵いつかどこかで使った切手   変なひとばかり周りに集うのはわたしが変だからなんて変だよ    猫の名はファビュラスソフィア呼ぶときは結局ファビと略されるけど 今日はとても過ごしやすくて、ゲリラ豪雨も降らなかったので気持ち的にも穏やかな一日でした。 友人が関わっている地元のコミュニティカフェでキーマカレーセットをいただき、セットでついてきたアイスコーヒーが美味しかったのでそのまんま「美味しいですねー」とスタッフの方に伝えたら、「あら~」と喜んで

短歌 ちゃんとすごいよ

1 美化されず今日まで共に在った傷こころははだかちゃんとすごいよ 2 反抗をしない者だけあたたかいスープが飲めるここは東京 3 真夜中にこっそりチョコをくれた女性「早く出てきな」お元気ですか 4 正当化事由に貼った付箋には病名、学歴、親の収入 5 元カレの名前に似てた「リスケしよ」――ノリスケならば「ノ」の脱落か 6 水槽をうずうず回る熱帯魚こっちもたいして自由じゃないよ 7 梅子かい? 梅子なのかい? ああ梅子!! 言えないけれど上がるテンション 8 「ヌン活

短歌 非日常

1 どうしたらいいんだろってこぼすとき答えがほしいわけではないの 2 クラクション 猫よりきみが驚いて非日常へと逸れる側道 3 ひどい雨ひどい青春ひどい傘 だってすべてが美化されるから 8月末で華麗にお休み期間に突入……のはずが、台風の影響で今週ほとんど職場に出勤できなかったため、もろもろ片づけられなくて、結局9月以降もぽつぽつ働き続けることになりました(*_*) でも、もしかしたら生活の張り合いになっていいのかも。電車に乗るのが難しい日は、オンラインで可能な業務をさ

短歌 猫の目

1 好きだから好きと伝えただけだからそんな無難な目を向けるなよ 2 猫の目に大した意味に映らない見た目ばかりが整ったもの 3 叫びたい衝動よりもそのあとの疲労について話しましょうか 4 間違えるのがそんなにも怖いのか深夜ラジオを処方箋しませう 5 だってほらおんなじことをするでしょうあらゆるものをいいわけにして 6 三分後執行されるカップ麺実食の儀を待ち切れなくて 7 嫌われることは大して気にしない笑顔の蝿を振り払う日々 8 正しいのラベルを見る

短歌 お探しのページは削除されました

1 履歴書の特技の欄が埋められずますます自分が好きになった 2 「気車」じゃなく「汽車」なんだって知ってても「×」を書き足さないといけない 3 殺したいとすら思わず切先を滑らせてほら美味しい刺身 4 舌足らずな伝え方でも響くならそこに嘘など存在しない 5 「役に立つ」「役に立たない」で分けられ煌めくものを見落としてきた 6 枯れ枝に価値がないって決めつける奴もいずれは土に還れる 7 傷あともきみの一部と撫でてみる許されたのはどっちだったか 8 お探しのページは削

短歌 変わらない日々 十首

1 コンビニでアイスを買ってダッシュしてふたりの夏はそれでも溶けた 2 ケンカしてそっぽを向いた夜なのにJUNKのせいで笑うしかない 3 前髪を切っても気づくきみじゃない目くばせしてもウインクされる 4 自転車のカタログに這うきみのゆび秋になったら風になれるね 5 寝息まで「すき」と聞こえる重症だ治す方法なんていらない 6 包丁をためらいなしに突き刺して飛び散っちゃった完熟トマト 7 制服は戦闘服でコンビニがセーブポイントだったあの夏 8 怪談の途中で笑ったの誰

【詩】まんまる

私は浮かんだことがある 心を逃した先に居た 完全な球体と一緒に 美化されがちな夏アルバムの 読み飛ばされる一ページに 名前を与えられることもなく 極彩色のクレヨンで塗り潰された ちゃちな汚れ 神さまのこと 打ち上げ花火のせいで 宇宙が頭上にあるとは とても信じられなかったから 信じなかったし吐いた スマホもパソコンも部屋も書類も みんな揃って四角いから嫌い 地球のにおいに触れたくて でも叶わなくて 折目正しい人々の 了解可能な善意が出荷されていくのを 私は義務として記録

短歌 海老

「おいしいね」衣を纏うその海老も少し前まで生きていました ほんとうにその貝殻は白かった? あの砂浜になにを埋めたの  意味なんてどうせ後から好き勝手されるんだから今は笑おう 海老フライのしっぽって、食べますか? 私は何も考えずに、いつも残していました。 同僚Aとランチに定食屋に行って、Aは鮭の塩焼き定食、私はミックスフライ定食を頼みました。 ミックスフライのラスボスこと、お楽しみの海老フライをほくほくと食べ、しっぽを皿に残しておいたらAが「しっぽ、食べないの?」。

短歌 ブルーベリー

一弦はもちろんこうやって使うよ罪とか罰とか誰が決めるの 半年後桜が咲くといいけれど空の青にも保証がほしい わけありのブルーベリーを買いましたもちろんきみを想ってました 今日は身体のほうの通院でした。医療機関あるあるだと思いますが、待合室にはオルゴール調にアレンジされたポップスが流れていました。 ん、なんの曲だろう。きいたことある気がするけど思い出せない……ミスチル? スピッツ? なんと、待合室にかかっていたのは、藤井隆の「ナンダカンダ」でした。 うう、なんていい曲

短歌 とろとろ

蝉しぐれ僕を許してくれないか早くきみのトラウマになりたい 狼が星を求めるわけもなくもちろん僕もとろとろ疼く 犯人は全猫である人間を選び箱詰めしたって「いいね!」 うだうだと以下の記事のようなことを、引き続き仲間内の休日ランチでも引きずっていたら、異口同音に「頭だけで考えすぎ」と指摘されて、図星すぎて「へへ……」としか返せなかった、相変わらずの日曜日でした。 「考えすぎて実質何も考えてないやつ」「そもそも笹塚らしくない」「問いの立て方が独善的」etc……。みんな少しは容