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【詩】まんまる

私は浮かんだことがある
心を逃した先に居た
完全な球体と一緒に

美化されがちな夏アルバムの
読み飛ばされる一ページに
名前を与えられることもなく
極彩色のクレヨンで塗り潰された
ちゃちな汚れ
神さまのこと

打ち上げ花火のせいで
宇宙が頭上にあるとは
とても信じられなかったから
信じなかったし吐いた
スマホもパソコンも部屋も書類も
みんな揃って四角いから嫌い

地球のにおいに触れたくて
でも叶わなくて
折目正しい人々の
了解可能な善意が出荷されていくのを
私は義務として記録した
あなたは剣呑に疲労していた
其処に馬鹿しかいない場合、
どこにも馬鹿は居ないことになるから
抱きあうって無駄だね
無駄ってたぶんまんまるだ

すべての始まりは
何処でもない空間に漂う
完全な一個の球体でした
万物はそれの模倣劣化版∴
寂しさも劣情も眼球も記入例も
みんなまんまるでお揃いなの

よくわからないな
細胞のまんなかもまんまるなのに
目に見えるものは乱数ばかり
あーこれだから分裂なんてしなきゃよかった!
(この後悔、意味ある?)

言葉に閉じ込められていた意味が
ついに意味であることを放棄した
それが夏の日だったか夢だったのか
夜だったのか鈍色だったのか
意味を失った言葉だけを
あなたが口走る優しい午後
耳を塞いでもミンミンゼミと
あなたがリエゾンし続ける
私のためだけの 悲鳴である

確かなことだけを知りたい
知ってどうするかはまだ決めてない
例えばコンビニでパンを買うとき
そこに生きて在るのはヒトと虫くらいで
そのことをそのまま伝えると
四角い建物で四角いカルテを書く人が
わたしにまあるいお薬をくれる

ありのままではだめらしいね

すべての間違いは
何時でもない時間に彷徨う
完全な一意の認識からでした∵
重力が優劣の物差しを滅ぼして
ダイヤモンドも逆恨みも虚言も絵日記も
みんなまんまるで無様なの

私知ってるよ
あなたが漏らし続ける声に
神さまの名前が混ざってること

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